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読書感想:「なぜ、これがアートなの?」

いつも「アートって何かしら?」と思っている私にうってつけの本!

「なんじゃこりゃ?」と感じがちの現代美術を題材として、アートとは何なのかを考えていく本です。 著者はアメリア・アレナスさん。ニューヨーク近代美術館の教育プログラムの担当者でギャラリートークの達人だそう。 そのせいか文章は平易で堅苦しくなく、スイスイと読んでいけます。

題材となる 69点の美術作品は全てカラーで掲載されています。 本の大きさからしても鑑賞目的ではなく参考としての掲載ですが、これがあるのは本当にありがたい。
『誰々の何々という作品のように』など、文で言及されているだけだと読むのを止めてその作品をネットで調べたりすることになり、それがとてもストレスに感じられます。 この本ではそれがなく、文章と図版をめくりながら「なるほど、なるほど」とリズムを崩さずに読み進めることができました。

第二章でいきなり核心に!

抽象絵画を見ての「一体アーティストは何が言いたいんだ?」という疑問。 これに対する著者からの回答がここで示されます。

この章だけで私にとってはこの本を読んでよかった、買ってお釣りが来た!という気持ちになりました。 『作品の意味や内容をそのまま言葉に「翻訳」出来るとしたら、作品を見る必要があるだろうか?』など、はっとさせられる文章がいろいろと綴られています。

さらに終章では、プリニウスのコリントスの娘の神話と、盲目の人に「美とは何か?」を問うというインスタレーション作品を通して、アートとは何か?アートを感じるとはどういうことなのかが語られます。

私の好きな画家パウル・クレーが「芸術とは見えないものを見えるようにするもの」と語ったといいますが、その言葉の意味が段々とわかってくる気がして、この終章と第二章を繰返し読んでいます。

同じ著者の本をもう一冊

「なぜ、これがアートなの?」がとてもよかったので、もう一冊「人はなぜ傑作に夢中になるの」も読んでみました。

アルタミラの壁画からピカソのゲルニカまで、傑作と呼ばれる 14点の絵画・彫刻について、人々がそれらに何を見て何を求めてきたのか、こちらも平易な言葉で関連する作家や作品、エピソードを交えてアメリアさんが語ってくれます。

作品がただそこにあるだけでは傑作にはなり得ない。 傑作を傑作たらしめるのは大衆の想像力であるというところに、「なぜ、これがアートなの?」の第二章と終章に通ずるアメリアさんのアートに対する考え方が感じられました。


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