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西野流呼吸法:こころをからだに繋ぐ呼吸法Bodywork第1章 V 身体軸の回旋と体幹と四肢の連携-西野流呼吸法「華輪」1)最初は中段での振り

西野流呼吸法:こころをからだに繋ぐ呼吸法Bodywork
第1章 V 身体軸の回旋と体幹と四肢の連携-西野流呼吸法「華輪」

 
これもまた「不思議」な呼吸法動作である。
60分程度かかる西野流呼吸法基礎の稽古では、その半分の時間を前述した「足芯呼吸」が身体各部をイメージで確かめながら何巡もするという不思議な訓練を行う。
それと並んで基礎中の基礎として重要な稽古がこの「華輪」である。
エピソードを交え、その「不思議」その背景も説明しながら解説したい。
 

西野流呼吸法を習い始めて35年弱になる。この不思議さに関して、最近新たに考えている。
呼吸法という東洋系のBodyworkであるが、西野流呼吸法には東洋系にないものがある。

それは一つはこの「華輪」に見られる動作から身体で感じる脊椎、あるいはその中の脊髄への働きかけである。同時に身体軸を構成する体幹筋群へのBodyworkでもある。
もう一つは「華輪」動作に見る、西欧バレエの要素である。
ここに東洋とは異質の身体観が融合されている。
こうした観点でバレエを考えれば、宮廷芸術でありながら、その身体操作は体幹筋群操作であるとも言える。

華輪に見られる、脊柱・脊髄とバレエの2要素を考えると、西野流呼吸法そのものが、西野先生でなければ構成できなかったオリジナル性を強く感じる。
 

華輪は三つの高さで身体軸を回転する。
それぞれで左右60回ぐらい、計約200回位の回転である。
初心者に200回は多すぎる?しかし一日1000回振る人もいる。
振っていて嫌になる。嫌になるから「力み」が消えるようだ。
 
初めは誰でも、ラジオ体操のように腕を回転するイメージで始める。
それでは当然身体はガチガチで、軸はすっとは通らない。
この稽古はある程度は時間がかかる。どのくらいの時間がかかるか?
まずまず回旋が安定するのに数ヶ月、自分の体に身に付いて気持ちよくなるのに数年、さらに数十年で深まっていく。
焦らず各自のレベルで続ければいい。
身体を解きほぐしているのだと思いながら。
 

1)最初は中段での振り
この華輪の動作の初めにもイメージを使う。これが重要な導入になる。
身体や腕を回転するのは、意図すれば動く。なぜわざわざイメージから始めるのか?
 
三元充足(丹田と両手)のイメージが、丹田から腰の周辺に広がって行く。
エネルギーがどんどん周辺に広がって、広がりきれなくなる頃から腰(丹田)が回り始め、腕はそれを追って付いて行く
言いかえれば体軸を中心に回旋することになる。この体軸感覚が重要である。
こうしたイメージは華輪の動作の最後、回転が止まるときにも用いる。
 
身体感覚を意識することはやってみると面白い。
またその身体意識そのものが実は西野流呼吸法の訓練でもある(エピソード(16):余りに不思議な呼吸法、リンク、https://note.com/deepbody_nukiwat/n/ne7861934ad9d)。
この身体軸の回旋運動は後述するように、脱力の訓練でもある。
むしろ脱力した身体の中に本来の身体軸(体幹)が自ら現れるという感覚がある。
この身体軸を確認する方法は、目の前に姿見の鏡を置いて、華輪動作で身体軸がスーット自然に通っているかどうかを見られるのが大変参考になる。窓ガラスに写る姿をみて回旋するのもいい。
 
「華輪」稽古の姿見の鏡には、私の興味深い経験の記憶がある。
私が西野流呼吸法を始め1年半ほどした頃のことである。
指導員補佐として一般塾生と「対気」稽古が許可された。相手にSignalを送る側になる。
その頃複数の塾生がそうした機会を得た。
そうした塾生達に身体軸の回転を確認する稽古を受けた。
直角に置いた2枚の鏡の間に立って華輪を振った事を覚えている。
これを自宅でも簡便にできるのは、姿見を使うことである。
 
身体軸がいかに重要か?
「対気」の指導補佐をしてしばらくすると、相手の軸を感取できるようになる。
不思議なことに、こうした相手は「華輪」での身体軸ができている。
華輪は場所を取るので、2回に分けて行う。この時多くの人達の華輪をみるのも勉強である。
それぞれの習熟レベルで如何にその人の身体軸が華輪で生まれているか?
また後述することになるが、西野流呼吸法というBodyworkは単に呼吸運動だけでない+αがある。この+αと考えられる身体Bodyworkが「呼吸」と「体幹」の結びつきとなる。
 
当初、西野流呼吸法では指導員稽古が年何度かあった(後には大晦日の「越年稽古」のみ)。
それにも複数の指導員補佐の塾生とともに私は参加を許された。
必ず西野皓三先生による華輪の動きから稽古が始まる。
身体が天井から吊るされていて、それをストンと地面に置いた状況から丹田周辺のエネルギーを広げる感覚で、回転に入る。(YouTube西野流呼吸法、華輪リンク、https://www.youtube.com/watch?v=GUX25du55j8
 
この時に耳にした西野先生の言葉がメモに残っている。
「背骨をリラックスして脳を活性化する」
「肛門から息を吸いながら華輪を回す」
不思議な貴重なBodywork工夫である。

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