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映画「春に散る」~今しかねえんだよ

沢木耕太郎原作、映画「春に散る」見てきました。
チラシを見た瞬間に「見る!」と決めました。

いつも行く映画館のうち、大きい方です。

沢木さんの新聞小説。連載時は読んでいたと思うけど、ほぼ忘れています。(よく忘れるね)

ストーリー

40年前、ボクシングをやめてアメリカに渡った仁一。日本に帰ってきたところに、翔吾が「ボクシングを教えてくれ」と頼みこむ。断り続けた仁一だったが、心を動かされ、世界を目指してトレーニングを始める・・・。

感想

横浜流星が演じる翔吾がとにかくかっこいい!

身体能力抜群。本当のボクサーみたい。空手で世界チャンピオンになったことがあるとか。この出演が決まってから、トレーニングしてプロテストに合格したそうです。そりゃすごいわ。ストイックさに惚れます。流星くんじゃなかったら、この映画は成立しなかったと思う。

またひとり、応援したい若者ができました。

②俳優陣がいい味出している。

佐藤浩市はもちろん、片岡鶴太郎、哀川翔、山口智子、坂井真紀・・・。みんな個性的です。


③ボクシングの場面が迫力あった

これはすごかった。試合の場面。作り物じゃないと思いました。
ボクシング指導と監修は松浦慎一郎。

ボクシングのシーンは撮るの大変と思います。映画では試合のシーンはひとつ一つの手が決まっているのだそうです。肝心の場面なので、ウソっぽくなったらいけない。

最後の世界タッグマッチ戦。映画を見ているというより、実際にボクシングの試合を見ているようでした。12ラウンドあったし。ボクサーの心理が描けていたと思います。トレーナーたちや観客の熱気、臨場感。

試合の中で翔吾が言うのです。「楽しい!」
見ながら思いました。ボクシングって、身体を極限にまで鍛え、わざを磨き上げたボクサーが、自分を賭けて、お互いに真剣にぶつかり合うものだと。殴り合いなのだけど、血まみれなんだけど、顔もボコボコだけど、容赦なくって大丈夫かとハラハラするけど、その姿は美しいと思った。
 そんなこと、今まで思ったことなかった。映画なんだけど。いや、映画だからかもしれない。

「今しかねえんだよ!」


翔吾のセリフです。今しかない。命さえも賭ける。いや、命だけは守ってほしいけど、それだけの覚悟をすることが日常にあるだろうか。

それが仁一の心を動かした。仁一も命を賭けることになる。

そこがこの映画の神髄だと思います。

《寄り道》

映画でもドラマでも、突っ込みどころが満載でも、突っ込まないで見ることにしています。その方が素直に楽しめる。たとえば、西岡は世界チャンピオンなのに、あの振る舞いはなぜ?とか。いや、いいんです。きっと意味がある。チャンピオンだって怖いんだ。


原作と映画の違い

沢木耕太郎原作ですが、沢木さんは、タイトル名と主人公の「広岡仁一」の名前を使うことは許可したけど、「その他はどう変えても構わない」と言われたそうです。

そうなんだ。やはり、原作と映画は別物ですよね。登場人物も設定も、筋書きさえも変わってくる。

原作と映画。その両方ともというのは、できていない事が多いです。どっちかで満足してしまう。「春に散る」近いうちに原作を読んでみようと思います。「一瞬の夏」も。



ガラガラ

でも、この映画、ガラガラだったんです。たぶん、6人!その日で終わりと聞いて慌てていったのですが、たぶん、その映画館では打ち切りになったのでしょう。こんなにいい映画なのに、と思ったら、いつも行く小さい方の映画館で上映することが分かりました。良かった。



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