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絵本『ヒロシマ 消えたかぞく』~写真の力

読んだ絵本シリーズ。
絵本の読み聞かせグループに復帰しましたので、絵本をたくさん見ています。
その中から、この前借りてきた一冊。この表紙の写真が目を引きました。
『ヒロシマ 消えたかぞく』 指田 数:作
             写真:鈴木 六郎

太平洋戦争末期。昭和20年。
広島市に鈴木さん一家が暮らしていました。

とこやさんをしているおとうさん、お母さん、
お兄ちゃん、私。
それから弟と妹も生まれるの。

おとうさんは写真をとるのが好き。笑わせようとするから、うちはいつもにぎやか。

やさしいおとうさん、おかあさん。きょうだいが仲良く遊んでいる。嬉しそうな笑顔。犬も猫もいる。

そんな家族のイキイキとした様子を写した写真がたくさん。こちらも笑顔になるような写真の数々です。

そうやってページをめくっていくと。突然黒いページになります。
8月15日、原爆が落とされました。

家族全員、なにもかも、原爆は奪い去りました。

【私】
この絵本は、指田さんが、広島平和記念資料館に映し出されていた鈴木さん一家の記録写真に衝撃をうけたことから作られました。

写真を見ていると、あとがきにあるように、こちらが思わずにっこりしてしまいます。

おとうさんの六郎さんの、家族への愛が感じられるのです。家族もお父さんが大好き。写真とはそういうものなのだと思いました。
写真に写し出されるもの。写真の力。昭和も感じさせ、心にしみてきます。

それが原爆によってなにもかも奪い去られる。

でも、指田さんが書いているように、鈴木さん一家がみんなで賑やかに、穏やかに、楽しく暮らしていたという事実。きびしいこともあったかもしれないけど、それは決して奪えない。消えないのです。それは事実だから。確かにそこにあったから。

だからこそ、突然奪われたことへの大きな悲しみと憤りを感じました。

本文の最後のことばです。

すべてをうばいさった、あの原爆。
でも、このかぞくが生きたあかしを消すことまでは、
けっしてできません

本文より引用

この本は英訳も載せています。



*ヘッダー写真は近所の公園。
娘が小学校1年生の時、この桜の下で写真を撮った。
今、娘の娘も小学生だ。

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