田中泯さんと遭遇した話

遭遇したっていうか、泯さんが出る対談企画を見に行った時の話なんですけどね。

田中泯さんを知ったのは『メゾン・ド・ヒミコ』が初めてだったと思います。初めて見た時は、ただただオダギリジョーが美しいなという感想だったんですけど、そのあとDVDを買い、何回も見直してていくうちに元ゲイバーのママ・ヒミコを演じる田中泯さんの持つ雰囲気に惹かれていきました(これを書くにあたって、ついこの間、数年ぶりに見直したんですけど、やっぱりセクシーでした)。

泯さんが出展するからという理由だけで、仙台からわざわざ横浜トリエンナーレを見に行ったりしたこともあります(結局ライブパフォーマンスは生で見られなくて、見たのは映像でのみだったけど)(泯さんの踊りは私には早すぎた)(今でもわかんない)。

さて、大河ドラマ「龍馬伝」が放送されていた頃のことです。地元の県立美術館で、建築家の人の企画展があって(多分、安藤忠雄さんだったと思う)。 その特別企画で、田中泯さんとトークショーをするってのがありまして。

「龍馬伝」、もちろん当時毎週欠かさず見ておりまして。ご覧になっていた方は分かるかと思うんですけど、まあとにかく田中泯さん演じる吉田東洋がむちゃくちゃにかっこよかった! その企画展自体はさして興味はなかったのですが、泯さんを生で見てみたい。その気持ち一心で、同じく龍馬伝見ていた友達を誘い、そのトークショーを見に行きました。

その日はちょっと早く美術館に着いたので、友達と喫茶コーナーでお茶をすることにしました。喫茶コーナーには人はあまりおらず、奥の離れたところには、なんだかとてもエキセントリックな、おっしゃれぇぇな帽子とお洋服を着たオッサンがいます。いわゆるナチュラル系な、アースカラーな、自然派素材、みたいな感じの帽子と服だったんですけど、特に帽子のデザインが逸脱してた。それを着こなす、すげぇおひとがいるもんだと、友達と眺めておりましたら、もうお気づきの方いらっしゃると思いますが、そのエキセントリックおじさんが、田中泯さんでした。泯さんが、同じ空間でお茶をしています。同じ空間で、お茶をしているのです。

「とととととととと東洋先生だ……!!!??!?」

少し前まで、佐藤健くんの以蔵がめちゃくちゃに司馬遼太郎の描く岡田以蔵に忠実でとんでもなく可愛いとかクソオタクな話で盛り上がってたと思うんですけど(この話はいずれどこかで書きます)、そのお姿が目に入った途端、え?本物?いや、そんなことないでしょ、と自分たちの目を疑いながらも2人とも自然と声も小さくなります。ビビりなので縮こまります。龍馬と弥太郎が縮こまるのも頷ける。泯さんの霊圧にやられる2人。チャドくんの霊圧もきっと消える勢いです。

そのうちに泯さんが先に喫茶コーナーを後にされたのですが、近くで見たらやっぱり本物でした。席を立った泯さんはすらっと上背があって、美しく、かっこよかった。「イケおじ」なんてちゃちでチープな言葉で片付けられないくらい、独特の雰囲気を醸し出す、素敵な御仁でありました。

トークショーの内容はあまり覚えてません。泯さんが裸ん坊で踊ったとかなんとか、それくらいしか覚えてないです。前衛的なものは、頭固いからちょっとちんぷんかんぷんです。時折スライドを混じえながら、トークショーは進みました。淡々とお話をされる方だな、という印象でした。








久しぶりに始める創作活動費用に充てさせていただきたいと思います。