ハタチすぎてからもキャンプはたのしい
前回の記事にてチラッと書いた、約20年ぶりのキャンプが無事終了しました。
約20年ぶりと書いたものの、よくよく考えてみたら15年ぶりくらいだったかもしれません。でも最後はバンガローとか多くなってったから、テント泊は約20年ぶりかと思います。
ハタチすぎてからのキャンプも、同世代とのキャンプも初めてだったので、いろいろと発見がありました。
わたしのキャンプの思い出
まず、わたしの家はアウトドア派でした。両親はバイクツーリングがきっかけで出会い、結婚(既に離婚済みですが)。年に数回キャンプをし、あと山に連れて行かれて散策したり、そういうのが好きな家族でした。
キャンプは育った東北の各地で行いましたが、特に思い出深いのは年に1回、毎年同じ場所で親の(かなり)アウトローなバイク仲間たちが集うキャンプでした。わたしの中のキャンプの原風景と言っても良いくらいのものです。
町営の、最低限の設備しかない林間キャンプ場でした。昼間はキャンプ場からすぐの川で水遊びして、温泉入りに行って、夜はほぼ貸切状態の炊事場のかまどに集まって火をくべる。大人たちはお酒を呑んで、わたしはりんごジュースとか幼児用スポロンなんかを飲みました。子どもはわたしくらいしかいなかったので、みんなに遊んでもらいました。親父が寸胴鍋で作ったコーンスープや、朝にいつも作ってくれたコンビーフのサンドイッチ。飛び込み禁止の滝つぼに飛び込んで金の鯉を捕まえようとした馬鹿な大人たち。
夏の楽しみと言えば、これでした。
今もやってるんですかね? 両親の離婚後も父と参加したりしてたんですけど、次第に行かなくなり、父とも絶縁してしまったので今は知る術もありません。
と、まあ、わたしは、クセの強い馬鹿な大人たちとキャンプして育ってしまった為か、他の誰かとキャンプをしてもあのキャンプ以上に楽しめることはないだろうな。と心のどこかで思うようになりました。大きくなるにつれて、キャンプへ行く回数も、減ったので、自然とアウトドアへの興味も薄れていきました。
それが、今回へのキャンプへの不安へ繋がった
そんな中で始まる同世代キャンプ。
メンバーはわたしと彼と、その彼の同僚たちの計5人です。1度や2度、顔を合わせたことがあるとは言っても、わたしと彼らとの間には共通の話題など限られていたし、人見知りなのもあり、ろくすっぽマトモに会話などしたことがありません。
しかも2泊3日。
車は同僚さんたちが出してくれるといいます。
逃げ場ないじゃん
アウェイな環境で、しかも職場の話になんかなったら完璧蚊帳の外になるし(実際何度かなった)、彼は気使って仲取り持ったり、会話へ引き込んでくれたりするようなタイプではない。参加女性はわたしと、もう1人だけ。突然「女子2人でどうぞ」なんてポイッとふたりきりにされる可能性だってある。不安は募るばかりです。
ゆるキャンで気持ちをごまかす
怖さが勝って、キャンプへのモチベーションが上がらない。
ので、アニメ『ゆるキャン』を見てモチベーションをあげる作戦を思いつきました。
…ゆるキャン、面白かったです。数年前、身延に行ったことがあったので、ロケーションもわんこもそのまんまでテンション上がりました。
しかし、
静かにソロキャンプがしてえ
キャンプはしたい。りんちゃんみたく、ソロキャンプがしたい。むしろ、ベランダとか近所の川辺でメタル賽銭箱(ちいちゃい焚き火台です)で火くべられれば満足できそう。
また不安が募っていきます。
予感的中
「女子はその辺で座ってて良いよ」
テント設営は男性陣がやってくれるといいます。その間、女性陣はその辺で座っておいてくれと。
キャンプが始まって早々、予感的中です。
まあ、グループワークも苦手なので、どちらにしても地獄でしかなかったんですけどね。えへへ。
予想外、話しかけてくれた
1,2回会ったことはあっても、お話らしいお話はしたことがありませんでした。
少し難しそうな人かな、と思ってたんですけど(たぶんわたしの方がよっぽど難しい人間なくせに)、意外や意外、話しかけてくれました。
話しかけてもらえれば話せるのでこれは大変助かりました。
設営中のテントの中から「会話してる…」なんて声が聞こえました。
やることがない
食事の準備などもほとんど男性陣がやってくれるような雰囲気なので、いよいよやることがなくなってきます。暗くもなってきたし、持ってきた文庫本読むにもつらい。子どもの頃のキャンプってご飯までの時間なにしてたっけ。思い出せない。文明の利器(スマホ)に触るのも野暮な気がする。そして何より寒い。
「…酒でも呑むか」
周りに断りを入れ、あらかじめ持ってきていた純米酒を取り出し、呑み始めることにしました。元々、家で冷やしてきていたものではあったのですが、保冷してなくとも外気のおかげでちょうど良い冷え具合です。
これがめちゃくちゃに美味かった。
ビアガーデンとかに縁のなかった人生なので(アングラ生物)、外呑みは初めてだったのですが、なんだこれやばすぎる。小高いテントサイトから見下ろす湖と、少しずつ色づいてきている木々。貼るカイロを数箇所に仕込み、セーターをダウンジャケットを着込み、ブランケットを膝に掛け、完全防備だけど、顔にあたる冷たい風。そしてなにより開放感。家で呑むよりずっと美味しいように感じる(確かに子どもの頃のキャンプでも外で飲む幼児用スポロンはいつもより美味しく感じた)。上野とかで外でロング缶片手にふらふらしてるおっちゃんらの気持ちも今ならわかる気がします。
大人になって良かった
ふと、そう思いました。
大人になってからのキャンプにはこんな楽しみ方があるのかと。
あの時の大人たちはこれを楽しむためにキャンプをしていたのかもしれないなあ。父の血を濃く継いでいたらお酒一滴も呑めなかったんだろうけど、母の血がそうはさせなかったみたいです。私もお酒が美味しく呑める、大人になれて良かった。
男性陣が準備してくれた男飯も最高でした。串焼きも水餃子も芋の子汁もアヒージョも、めちゃくちゃに酒が進みます。普段なら1合ないくらいで十分なのに、持ってきた300mlの日本酒はその日のうちにあっという間になくなってしまいました。ビールあるよ、て言われたのでビールに移行したんですけど、コロナビールだったのであまり呑んだ気はしませんでした。
余談ですが、個人的にはビールはキリンが好きです。そろそろキリンの冬ビール買いだめしなければいけない時期ですね。
大人になってからのキャンプも悪くない。
次の日は温泉に行って、道の駅で日本酒を追加して、15時からまたお酒を呑みました(これもすぐ溶けた)。
↑2日目 完全なるぐび姉と化した私。
明るいうちから呑むのって、好きなんですけど、なんもしないで、山の中で静かに呑むのはとても気持ちが良かったです。
「なにもしない」をする
『プーと大人になった僕』という映画があります。大人になった『くまのプーさん』のクリストファーロビンが、プーさんたち100エーカーの森に住むみんなと再会する話です。
その映画の中で、プーは「『なにもしない』ということする」ことを仕事人間になってしまったクリストファーロビンに教え、そして思い出させます。当時勤め人だったわたしはこの作品に大泣きさせられたんですけど、お酒呑みながらこのことをふと思い出しました。
「なにもしない」をするって、いいなあ。
まあ、現在無職なんで、毎日「なにもしない」をしているくせになに言ってんだって感じなんですけど。
キャンプはやっぱりたのしい
結果的に、キャンプたのしかったです。
ごはん美味しかったし、お酒も美味しかったし。
前日まで駄々こねたりして本当に申し訳なかった。初めてのことに対してこわい想像をしてしまうのが小さい頃からのわたしのわるいくせです。
暖かくなった頃にでもまたキャンプ出来ればなと思います。
やっぱりメタル賽銭箱(ミニ焚き火台)買おうかなあ〜
久しぶりに始める創作活動費用に充てさせていただきたいと思います。