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『月獅』章ごとのまとめマガジン

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大河ファンタジー小説『月獅』の各話を章ごとにまとめた<全文>を収納したマガジンです。まとめ読みをされるには、最適です。
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記事一覧

大河ファンタジー小説『月獅』第1幕「ルチル」<全文>

第1幕「ルチル」第1章「白の森」  ヴェスピオラ火山の火口から、何かがまっすぐに天に向か…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』             第2幕「隠された島」<全文…

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」第5章「漂着」  海から駆…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』             第3幕「迷宮」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」は、こちらから、どうぞ。 …

deko
2か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』    第1幕「ルチル」第1章「白の森」全文

第1幕「ルチル」第1章:「白の森」    ヴェスピオラ火山の火口から、何かがまっすぐに天…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』     第1幕:第2章「天卵」<全文>

第1章「白の森」は、こちらから、どうぞ。 第1幕「ルチル」第2章:「天卵」  異変を報せ…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』    第1幕:第3章「森の民」<全文>

第1章「白の森」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第2章「天卵」<全文>は、こちらから、…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』    第1幕:第4章「蝕」<全文>

第1章「白の森」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第2章「天卵」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第3章「森の民」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第1幕「ルチル」第4章「蝕」  森の心臓部にある「萌の褥」は王の玉座だけあって、川原の荒廃とは隔絶し、濃く深い緑に包まれ清らかな光が降りそそいでいた。  六歳の夏に見た白の森と変わらず、懐かしさと安堵がない交ぜになりルチルの目尻から熱いものが溢れる。銀苔も厚く層をなしている。白銀に光る鹿の王がそのすらりとした四本の脚で下草を踏

『月獅』第2幕「隠された島」    第5章「漂着」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 * * * * *  海から駆けあがってくる風…

deko
1年前
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『月獅』第2幕「隠された島」    第6章「孵化」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 「何もないが、昨日しとめた猪のシチューだ。猪は…

deko
1年前
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『月獅』第2幕「隠された島」    第7章「もうひとつの卵」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第6章「孵化」<全文>は、こちらから、どうぞ。 …

deko
1年前
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『月獅』第2幕「隠された島」    第8章「嘆きの山」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第7章「もうひとつの卵」<全文>は、こちらから…

deko
1年前
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『月獅』第2幕「隠された島」        第9章「嵐」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第8章「嘆きの山」<全文>は、こちらから、どう…

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1年前
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『月獅』第3幕「迷宮」          第10章「星夜見の塔」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」は、こちらから、どうぞ。 第…

deko
1年前
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『月獅』第3幕「迷宮」          第11章「禍の鎖」<全文>

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」は、こちらから、どうぞ。 第10章は、こちらから、どうぞ。  禍のはじまりは、十八歳の王太子アランのとつぜんの死だった。  レルム暦六百三十三年三月、二年前の早春だ。  冬眠からめざめたアナウサギの狩に出かけた王太子が馬もろとも崖から転落した。  まだ岩肌には根雪が残っていた。それが陽をあびて表面から透明にほどけ、ときに結晶の形を露わにしながら溶けていく。雪解け水で地盤がゆるんでいたのだろう。犬や馬が何頭も駆け抜