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短歌

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『自己の放し飼い』

 ある短歌賞に送っていないも同然の連作です。

表裏それぞれに「天使」か「屑」と書き人と会うとき財布から出す

怒らせた上司に叱られることに不満を抱く放し飼いの自己

雑談もソシャゲもしない僕だけが、あの隕石に気付き、逃げられる。

研ぎ澄ました誠意の剣で斬りつけろ客の笑顔は傷と捉えろ

居眠りをしているだけの中年が詩人に悲劇の素材にされる

なぐさめに買ったアイスの底面に、疲れた僕がまだ凍ってる

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ンンンン

本当は大量虐殺したいけどミュージシャンで妥協している

せめてもの手向けに彼の愛してた小動物に遺骸を食わす

心スポに行きたがらないあいつらは俺が死ぬのを覚悟している

核の火に包まれ愚かな人類は恋をしてない者のみ滅ぶ

ゴミ拾う刹那、終末くるのなら僕は良い子で生涯終える

チョークサインの精霊がいなくなり、人は残らず青白くなる。

通り魔に刺されるくらいなら、どうせなら裁判所で死刑にして。

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2015/8/2

 この日のととととライブというイベントで付け句大会をやっていたんです。ある短歌を虫食いにして、そこに文章を入れて別の短歌にする大会です。お題は「そうだとは知らずに~すき」でした。私も参加していました。提出したものを覚えている分だけ以下に載せます。

そうだとは知らずにホラー映画見せ二度と会わないところがすき

そうだとは知らずに疑いもせずに一人で苦しむような人がすき

そうだとは知らずに神様を殺し

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カンカン

空白の今日がウザくて面倒な今日に切り替わる。カーズよりマシ。

将来は社長になろう。気配りや思いやりとか面倒だから。

かっ課長数百件のクレームが届いていますかゆいところに

明日死ぬ予定を今日に早めますそれでどうにかお願いします

うれしくて自動ドアにお辞儀する。彼に感謝し明日も生きる。

逆ギレもできない奴が街中を歩いているぞ恥ずかしげなく

自転車を置いたところがすぐわかる、おもしろくない用

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タンタン

この町で石を投げると上島か肥後か南部か寺田に当たる

つめ先の垢の記憶を四六時中読み取っているサイコメトラー

4番のボタンを押せば四階に着くしBなら仏壇に着く

弾丸に「ヒゲ剃りの気持ちよさ」を込め、サンタクロースに百発放つ。

過去三月ひとりも宿題してこないことから闇のクラスと呼ばれる

カーテンの柄を必死に見続けて自分に何か暗示をかける

我こそは足して二で割る能力者真逆のふたりセットで集え

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