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対照的なキャラクターをもつ2人の精神科医

2020/10/31、ハロウィン、4週間ぶりに遠方(中部地方)の精神科に通院してきた。今年で今の病院に通うようになってから、4回目の冬をまもなく迎えることになる。来月(11月下旬ごろ)に通院するころには移動中の車窓から雪景色が見える頃だなと思うなどして電車に乗っていた。

私が今通院している病院には(たしか)4人の医者が来診している。主に診察を行っているのは、院長と副院長の2人で私は現在副院長の診察を受けている。

この両者、対照的なキャラクターをしている。院長はどちらかというとふてぶてしくて高圧的な感じ。最初に院長の診察を受けたときに第一声で「どうなんだ!?、おまえ、死にたいのか?、あーん??(威圧)」って言われた(マジでこんな感じ)のが強烈に記憶に刻み込まれている。対して、副院長は柔和で人当たりの良い感じ。とにかく患者の話をよく聞く。いわゆる"傾聴"の姿勢だ。いつも診察室に入ると、「遠いところから来てくれてありがとね!元気してた!?」って気さくに声をかけてくれる、医者というよりサービスマンといった感じの人だ。対照的なキャラクターのふたり。

だから、最初、私は院長に対してあまり良い印象を持っていなかった。「なんや、コイツ。二度と診察受けたくないなあ…」っていうのが第一印象だった。だけど、たしか2018年の3月ごろだったか、私が仕事で追い込まれて自殺企図をして死にかけたときに、「希死念慮にはこれが効くんや!」って言って処方してくれた薬(それは躁うつの薬だった)が覿面に効いて命を救われた。結果的に院長の処方は当たっていたのである。

今、診察を受けている副院長は患者の話によく耳を傾けて処方も柔軟に調整してくれるのだけど、当時は私が実は双極性障害だったのに(そのときは判明しておらず、うつ病と診断を受けていた)、うつの薬を処方されて、それで一回死にかけたんだよね…(双極性障害の患者に一部のうつの薬を処方することで症状が悪化することがあるらしい)。その後、会社を辞める/辞めない、死ぬか/死なないかの狭間で追い込まれている時期に、毎日のように通院していたのだが、副院長が病院にいない日に診察を受けなくてはいけない日が発生して、たまたま院長の診察を受ける機会があった。そこで先ほどのようなやり取りがありつつ、私の本当の病名が双極性障害であることが判明したのである。

患者の話をよく聞いて色々試してみて、間違っていたら治療法を柔軟に変えて、その人に合った治療法を一緒になって模索してくれるという医者(副院長)と、自分の見立てに絶対の自信をもっていて高圧的な部分があるが、的確に患者の症状を見抜いてくる医者(院長)。どちらも良い医者だと思うが、私が命を救われたのは実は院長のおかげだったりもする。

ただ、普段思っていることとか、考えていることを打ち明けたり、腹を割って話しやすいのは副院長の方で、正直なところ、どちらを私のメインドクターにするか迷ったが、2018年4月ごろの段階で、私の診断(および治療法)も結構固まってきていたので、普段のコミュニケーションの取りやすさという観点から副院長を選択することにした。

その判断は決して間違っていたとは思っていない。最近は病院に行くたびに処方が変わっているが、今日も結構大きなチェンジがあった。うちの医者(副院長)はむやみやたらに多剤処方するタイプの医者ではない。患者の意見や主訴はしっかり聞くが、ダメなものはダメとハッキリ言う人だ。私が自殺未遂をして死にかけたときなんかは、「君には早急に入院を勧める」と言われて、私が拒否をしたら、「今の君には病識(自身が病気であることの認識)がない。これは非常に危険な状態だ。一刻も早く入院をするか、ここで死なないと一筆書いて約束するかしてもらう」とこれまでにない剣幕で迫られたのを覚えている。ただ、患者に甘いだけの医者ではない。処方の調整を相談してみてダメだったらハッキリダメって言ってくるし、ダメならダメで代替案とかも提示してくれる。そこら辺は割と柔軟に対応してくれる。

どちらの医者にも良いところがあり、悪いところがある。今はわりかし症状が安定しているから、副院長の診察を受けているが、本当に「ピンチでヤバい…」という状況になったら、院長の判断も仰ぐかもしれない。院内セカンドオピニオンみたいな感じで。

あと、副院長の名誉のためにも言っておくが、彼は決してヤブ医者ではない。むしろ、かなり良い医者だ。私は彼の腕を信頼している。だからこそ、遠方から毎月通院をしている。これまでの話だけを聞くと「副院長、肝心な所で処方ミスったヤブ医者じゃん…」って思う人もいるだろう。けれど、実は副院長も双極性障害の可能性を見越していて、それ用の薬も処方してくれていた。ただ、その薬だと私の希死念慮を抑えるには弱かった。院長も副院長の処方の履歴(カルテ)を見て私への処方薬を決めたんだと思う。

このように両者対照的なキャラクターをもった精神科医がいる病院に私は通っている。両者ともベクトルは違うが良い医者だと思う。正直なところ、今の主治医以上に信頼関係を築ける医者が地元ではなかなか見つからないだろうと思っており、私はわざわざ遠方に通院している。精神的な病の患者にとって、医者との相性は非常に大事だ(有効な治療にはかなりの自己開示が必要だからというのが大きい)。私には今の主治医がいちばん合っている(と考えている)。だから、当面の間は今の病院に通い続けるつもりだ。


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