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エンジニアが課題解決者として向き合う文化を ーCTO坂東が語る地域交通をアップデートするために必要なこと

「スピード感を持って課題の解決を図ることで業界全体をより良いものにしていく。そのために、すべてのメンバーがともに考え、ともに課題解決を図ることが大切です」

CTOとして電脳交通のシステム開発を一手に担う坂東は「DXを通じてタクシー業界全体の底上げを図るために、エンジニアも現場の声を聞き共に手を動かし改善を図る。それが電脳交通の開発文化」と話します。 

現在も第一線で開発に携わっている坂東に、電脳交通が提供する地域交通の価値、電脳交通のエンジニアに求めるもの、その背景にある電脳交通の企業文化について話を聞きました。 

<プロフィール>
坂東 勇気(ばんどう・ゆうき)
取締役 CTO兼Founder
阿波市生まれ、株式会社ゼンリンデータコム、テクノモバイルを経てGTラボ設立 代表取締役就任、2015年近藤と共に電脳交通を創業し取締役CTOに就任。 


最初の配車システムが今の電脳交通の基盤となった

ーー坂東さんは近藤社長とともに電脳交通の創業メンバーでもあります。創業の経緯についておうかがいさせてください。

私は徳島出身で、都内のIT企業に勤務して、家族とともにUターンしました。スマホアプリ開発のベンチャーを立ち上げつつも、新しいことにチャレンジしたいと考えていました。

その頃、東京でCode for Japanというテクノロジーで地域課題解決を促すコミュニティがあったので、徳島でもITコミュニティを活性化するためCode for Tokushimaを立ち上げハッカソンなどを企画していました。そんな時、家業のタクシー会社を継いだ近藤が、タクシー向けの配車システムの開発者を探していたのが出会いのきっかけです。

車両の位置把握や個々のドライバーへの仕事の依頼といった仕様は、ゼンリンデータコム勤務時代に動態管理システム開発をした経験が活かされました。ここで開発したものが、今の電脳交通のシステムの基盤となっています。

当時のタクシー会社はサーバーを社内に置くオンプレミスが主流で、初期費用は数百万〜数千万円だったため、地方のタクシー会社が導入できる代物ではありませんでした。一方、すでにIT業界ではクラウドが主流でしたので、タクシー会社向けのクラウド配車システムの可能性はあると考えました。

テストユーザーに近藤自身がドライバーとして使ってくれたので、精度が高く迅速なフィードバックで改善が図れました。「これなら現場でも使える」と確信し、近藤と電脳交通を立ち上げ、今に至ります。SaaS系のシステムとして現場を持っている価値はとても高く、スムーズな立ち上げができたと感じています。 

創業当時の写真。吉野川タクシーの配車室の片隅をオフィスとして使用していた。

エンジニアも含めて「課題解決者」として現場に向き合う

ーー創業から7年ほど経ち、会社の規模や組織体制も拡大され、CTOとしての役割や組織を運営するなかで大切にしていることを教えてください。

CTOという肩書きがついていますが、今でも電脳交通のシステムのメインプログラム開発に携わっています。そのため、現場から上がってきた要望をすぐに開発し実装することができます。実際に、要望を受けて最短半日でリリースしたこともあります。交通業界の現場は変化が激しいので、スピーディに判断し実装することを心がけています。

最初は小さな配車システムだったものも、いまや中小のタクシー事業者のみならず1000台以上のタクシーを保有する大規模事業者にも導入いただけるほどになりました。大企業向けには、既存のシステムパッケージではなく個別のプロダクトも用意しています。時代の変化とともに、大企業もクラウド型で色々なデータやシステムと連携できる電脳交通のシステムを選んでいただいていると感じています。

現在の開発はプロダクトオーナー制で、責任者の裁量と判断で企画から開発、実装、運用まですべて任せる体制です。現在エンジニアの社員は5名程度ですが、プロダクト同士の横連携をする仕事も増えてきました。業務委託などを含めると10名程度ですが、よりスピーディに開発を進めるためにも開発体制は拡充していきたいですね。

電脳交通の開発メンバーは、特定の技術やスキルに特化したスペシャリストなエンジニアよりも、いわゆるフルスタックエンジニアと呼ばれる顧客と直接話をして企画から開発、リリースまで全部できる人が電脳交通に合っています。課題に対して迅速にプロトタイプを開発することで、少しでも課題解決に貢献しようとする姿勢が重要だと捉えています。 

ーー課題解決に直結することを前提に、スピード感をとても大切にされています。そのような開発体制になった経緯や理由はどのようなものでしょうか?

ITの世界は新規参入や競争が激しい市場ですが、タクシー業界は新規参入の多さや競合の激しさよりも、業界そのものを支え業界全体の課題を解決していくことが求められる市場です。そのため、交通の課題にエンジニアも含めてすべてのメンバーが「課題解決者」として向き合わなければいけません。

現場の課題は営業やCS(カスタマーサクセス)から開発に上がってきます。一社ではなく複数社から上がってきた改善や要望を参照しながら、解決のための機能改善や改修を図ります。

「この課題を解決するとタクシー何百台にメリットがあるか、何人のタクシー会社で働く方が楽になるか」といった視点に気をつけながら取り組んでいます。課題が山積している現場において、いち早く課題を解決することで、少しずつ業界全体をより良いものにしていくことが電脳交通のミッションです。 

電脳交通の配車システムは年間1,000回を超えるシステム更新を実施している。
社内ツールには顧客から寄せられる機能要望やエンジニア自身が気づいた改善点などが毎日何件も登録され、使いやすいシステムへの改善が日々行われている。

ーー現場の課題にエンジニア自身も向き合い、ともに解決に向けた糸口を探るというのは、一般的なシステム開発と違う思想や姿勢がありそうです。

常に課題解決ができているか、という揺るぎない軸からすべてを起案します。例えば、社内のエンジニアからの発案で、先日電脳交通の一部のシステムをオープンソース化しGitHubに公開しました。タクシーが一台もないような地域において、電脳交通のシステムが地域交通の役に立つのではないか、という考えです。

この取り組みそのものは売上に直接影響しないかもしれません。しかし、地域交通の課題に向き合うなかで、会社の指示ではなく必要だと感じたものを社内のエンジニアが自発的に立ち上げたということが価値ですし、これらの取り組みを推奨していきたいです。自発的な活動の余地と課題解決に向けて自律的な人がいることは電脳交通の魅力だと感じています。

こうした積極的な姿勢は、プロダクトだけでなく技術面においても同様です。最近ではChatGPTをシステム開発に活かせないか色々と検討しています。新しい技術も積極的に採用しながら、課題解決にどのように寄与できるかを検討する文化が社内にはありますね。 

ーー社内で新しい技術を取り入れる一方、タクシー業界におけるDXの本格化はまだこれからで、現場ではITそのものへの抵抗感があることも否めません。システム導入においてその点に苦労はありますか?

会社を立ち上げて最初の数年間、新規のタクシー会社への導入が進まなかった時期もありました。そうした経験も踏まえて、電脳交通はSaaS企業ではありつつも現場のサポートがとても手厚いのが特徴です。

現場のフロントに立つ営業やCSは、事業者やドライバーに寄り添い課題をともに解決する姿勢を大切にしています。それこそ、パソコンやメールの操作といった基本的な部分も含めて、DXのためのありとあらゆるサポートを行っています。

傍から見ると、売上に直結していないような無駄なことが多いかもしれません。しかし、電脳交通はタクシー事業者やドライバーのために必要な環境をいかに提供できるか、現場の課題を常に拾い上げシステムやサービスにどのように活かすか、といったことを大切にする企業文化なのです。

CS担当がシステムを導入予定の地方事業者に訪問し、配車室を視察する様子。
現地従業員向けのレクチャーやシステムのセットアップ等幅広い業務を行う

システムで生まれた交通データを活用して課題に取り組む

ーー社内におけるコミュニケーションや勤務スタイルについておうかがいさせてください。

社内のコミュニケーションはBacklogなどを中心にチケット管理ツールで進行しています。徹底しているのは、常に情報をオープンにし、個別に会話しないこと。そして、口頭ベースの仕事依頼ではなく、チケット管理と文章にして仕事を依頼すること。これによって、メンバー全員がすべての情報にアクセスすることができます。チケット管理はエンジニアだけでなく、営業からの要望を上げてもらう際も活用しており、他の部署とのコミュニケーションにおいても徹底しています。

これにより開発陣はすべてフルリモート対応可能で、徳島や東京、九州など全国各地で働いています。もちろん、今後入ってくる開発者も同様で、全国どこで働いていてもかまいません。それぞれがやりやすい開発環境で仕事をしてもらいたいと考えています。

ーーエンジニアは日々生まれる新しい技術をすぐさま学習し自身のスキルにするための場が必要です。各地で開催される勉強会やITコミュニティへの参加を後押しする制度はありますか?

はい。積極的に向上心を持って色んなものを学習し、そこで得た知見やスキル、経験を持ち帰って社内に還元してもらいたいので、いくつかの支援制度を設けています。例えば、勉強会は自由に参加できるだけの経費を用意しています。それこそ、徳島から月に一度東京を往復できるほどです。 

現場のフィードバックによる課題解決もたしかに大事ですが、新しい技術から生まれる課題解決のインパクトは計り知れません。新しい技術によって、これまで10個の課題を解決していたものが、一気に1000個の課題を解決に導くものがでてくるかもしれません。それこそ技術革新の醍醐味です。

ーー日々、技術を更新していきながらより良いシステム開発に取り組んでいます。電脳交通のシステムによって生まれる価値は、どのようなところにあると改めてお考えでしょうか?

これまでになかったデータが取れるようになったのは大きいです。システムを通じてタクシーの位置情報や稼働状況が把握できるようになりました。今までになかったデータをいかに活用して課題解決を促すか。その面白さが電脳交通にはあります。

タクシーが周辺の交通やサービスとシステム上で連携可能になる「電脳コネクト」構想

あらゆるものとつながる「電脳コネクト」という思想

ーー電脳交通のこれからについて、坂東さんなりのお考えをお聞かせください。

タクシーのみならず、あらゆる地域交通と連携していきたいですね。電車やバスなど、他の交通事業者、交通機関が持つ資産とタクシーを組み合わせながら、地域交通そのものをアップデートしていきたいです。

私たちの根幹には「電脳コネクト」という経営思想があります。例えば、他の会社がすでに実践しているものがあれば、電脳交通で新たに開発せずに互いの資産を活かして積極的に連携して課題に取り組もうという発想です。それが、結果として課題解決に最短で進めるからです。

電脳交通自身も他社と積極的につながっています。一般にはオープンにしていませんが、システムのAPIも用意していて、今後「電脳交通オープンAPI」のような形で対企業向けに公開できたらと考えています。

ーー最後に、エンジニアの採用に向けて一言お願いいたします。

まだまだ地域交通は課題が山積みです。技術的な能力よりも、地域交通の課題を面白がり、課題解決に向けて主体的に動けるエンジニアを求めています。自身のスキルや経験をもとに、実社会にある本質的な課題解決に取り組む仲間を求めています。今後、プロダクト開発が進展していく上で、プロダクトオーナー同士の連携やマネジメントに携わる人材も募集しています。

エンジニアは引き続きフルリモートで勤務可能です。それこそ、副業で電脳交通に関わるも良し、電脳交通に勤務しながら副業や自身のプロジェクトをやるのも良し。大切なのは自立して課題解決できる人であるかどうかです。各々のエンジニアの価値観を尊重して働ける場所を構築していきたいと考えています。

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