電飾の月書房

架空の書店。人と本をつなぎます。 書店員、古物商、現在図書館司書。 読み聞かせのボラ…

電飾の月書房

架空の書店。人と本をつなぎます。 書店員、古物商、現在図書館司書。 読み聞かせのボランティア。 犬のアムくんにおはなし会をしています。 時々ボイスポコチャで配信。 https://t.co/VY9KLzMJ1N https://ameblo.jp/bangbedo/

マガジン

  • 📕絵本のじかん📚

    書店員の時、 図書館員の時、 お母さんの時、 子どもだった時、 出会った選りすぐりの絵本を紹介します✨✨

  • 箱の中の箱の中の箱の

    記憶が戻った時に書いてみています。読まない方がいいやつです。かび臭いし。

最近の記事

  • 固定された記事

青年さんに助けられた話その5

名前を呼ばれて診察室に入ると、その人はまっすぐに私を見た。 そして、「いい目になってきた。光が入ってる」といった。 この8月から通い始めたクリニックで、ぶっきらぼうな先生というのが、第一印象だけれど、その見立てと調剤には、ものすごく信頼している。そういう心持ちになれたのは、うつ病で光る青年さんのおかげだ。 うつ病で光る青年さんとは? Twitter「うつ病で光る青年」@tatiagareseinen TikTok「うつ病で光る青年」@tatiagare note

    • 若い世代の人たちが「あーあったあったー」って世代共通の懐かしい話をしているのを聞いていた。 羨ましいな〜って思いながら。もし、自分と同じ世代の人で集まったらどうだろう?楽しくお話しできるかな?と一瞬思ったけど、違った。同世代の人たちと同じことなんてできない環境にいた。寂しいな。

      • 苦痛がなくなってきたら、自分の中の空洞を見なきゃならない。怖いし寂しい。空虚。 こんなに寂しいことってあるんかな、と思うほどに寂しい。お祭り騒ぎを続けるか。虚しい。 微かなニオイに敏感になって、嫉妬して、その姿を客観的に見たら醜悪で、惨めになった。

        • ちび竜

          おはなし会のボランティアの仲間で、持ち寄った絵本を読み合うというサークルをやっている。そこで読んでもらったのが、この「ちび竜」自分では絶対に手に取らない。なんとなく。表紙が黒いから(笑)。でも読んでもらったら、ものすごく気に入って、次の日には本屋さんで買っていた。 ぼうふらみたいだったちび竜が、地球を抱きしめるくらい大きくなる。成長と冒険のストーリー。でか竜になったちび竜が宇宙で地球を抱く姿は、見開きページがさらに広がって大きな大きなでか竜の姿が見れる。 出会いと別れを繰

        • 固定された記事

        青年さんに助けられた話その5

        • 若い世代の人たちが「あーあったあったー」って世代共通の懐かしい話をしているのを聞いていた。 羨ましいな〜って思いながら。もし、自分と同じ世代の人で集まったらどうだろう?楽しくお話しできるかな?と一瞬思ったけど、違った。同世代の人たちと同じことなんてできない環境にいた。寂しいな。

        • 苦痛がなくなってきたら、自分の中の空洞を見なきゃならない。怖いし寂しい。空虚。 こんなに寂しいことってあるんかな、と思うほどに寂しい。お祭り騒ぎを続けるか。虚しい。 微かなニオイに敏感になって、嫉妬して、その姿を客観的に見たら醜悪で、惨めになった。

        マガジン

        • 📕絵本のじかん📚
          6本
        • 箱の中の箱の中の箱の
          14本

        記事

          リズム系えほん♪樋勝朋巳さんの絵本

          「きょうはマラカスのひ」という絵本に出会ってから、ひそかに樋勝朋巳さ んの絵本のファンである。それはそれはしずかに衝撃を受けた。衝撃的だったのだけれど、ひそやかに、しずかに、触れていたいのだ。こっそり。 実に奇妙なキャラクターたちが登場する。服装も、趣味も、全体の色合いも、何とも言えない雰囲気を醸し出している。 なかでも「たいこ」が大好き。リズムに寄ってくるみんなと、それを蹴散らかしてしまったワニクンの孤独も。でも、それもリズムの楽しさが勝って、最後はみんなで楽しく「ワァ

          リズム系えほん♪樋勝朋巳さんの絵本

          神さまの貨物

          最後の情景が、愛の表現が、新しかった。 とてつもなく大きな愛を見た。 赤ちゃんを授かりたい貧しい木こりのおかみさんがいた。 強制収容所行きの 貨車から放られた赤ん坊がいた。 その赤ん坊の命は、次々と 愛のバトンで繋がれる。 最後は、絶望を知った者故の本当の愛。正真正銘の、愛でしかない行動を見ることができる。 第二次世界大戦で起きたユダヤ人のホロコーストがベースにある物語だけれど、その惨状はほとんど描写されていない。 当時、強制収容所というシステムを、付近住民は知らな

          神さまの貨物

          接遇に満たされる

          マクドナルドのスマイル0円は正しい。 そして、100円ショップの無人レジも正しい。 いろんな人が言っているだろうけれど、 いろんなことが自動化されて、無人化される中、 ダントツでその価値が変わらないのは、 接遇だろうと思う。 しかも、無料でその価値は高めることができて、 減らない。 その価値は目に見えない分、おろそかにされることもあるけれど、 「あの店で買いたい」「あの人から買いたい」につながって、 長期的にみたら、ものすごいことなのだ。 慰謝料自己回収システムの実

          接遇に満たされる

          ダウンタイム後の診察

          先生との15分の診察だった。 薬を処方している方の先生に新しく処方箋を組みなおしていただいたのち、診察室に入るなり「いいじゃない」と言われた話をした。「へぇ~そうなんだ」と先生は楽しそうだった。その週から涙がよくでできていたし、寝にくいし、起きにくい感じがしていた。でもその代わり、動悸や、鳥肌がなくなっていた。「よかったねぇ」と言ってくれた。 これをしたい、あれをしたい、という欲に行動も少し起こせるようにもなっていた。自分でも、めそめそしているわりに調子の良さを感じていた

          有料
          500

          ダウンタイム後の診察

          少しずつ、本が読めるようになった

          顔を見るなり、その人(薬を処方してくれる医師・4回目)は言った。 「調子よさそうだね」 直前、待合室でメソメソしていた。涙も拭かずに診察室に入った。それにも関わらず、そういった。 「昼間眠たくて仕方がないんです」と訴えると、眠くなる薬を半分量にしてくれた。 私以上に私のことをわかってくれているように感じた。なんとなく。 ここのところ、朝起きたら泣いて、コーヒーを飲みながら泣いて、少し心が動くと泣いた。一見調子が悪いようにも思えるが、よくなっているのがわかる。欲が出て

          少しずつ、本が読めるようになった

          不幸でありたいの

          白が基調の待合室。観葉植物がたくさん。静かで、整っている。時間はピッタリと守られる。 時間になると、先生が部屋から出てきて、「どうぞ」と声をかけてくれる。ソファから立ち上がって部屋に向かうと、ドアの内側で先生が立って待っていてくれる。穏やかな声で「こんにちは。どうぞ」と招き入れてくれる。いつも。いつも同じ。 お父さんの部屋に特別に入れてもらったような、むずがゆさを感じながら、するりと部屋に入る。鞄を置く。ドアを静かに閉める先生を待って椅子に座る。「どう過ごしていましたか」

          不幸でありたいの

          傷を可視化してみた

          機体が大きく揺れた。そしてガクンドシンという衝撃と共に体が浮き上がった。案外落ち着いている自分が面白かった。 乗り物が嫌いだ。たいてい気持ち悪くなる。パニック障害のケもあるから、逃げ場のないことに不安にもなる。緊張でぐったりする。 何十年も飛行機に乗ったことがなかった。鉄の塊が飛ぶわけがない。そして離陸してしまえば、落ちるしかない。 今はなるべく飛行機に乗る。乗り物に長く乗るのが嫌なのと、もしかしたら落ちるかもって思うから。事故なら仕方ない。家族も大して傷つかないだろう

          傷を可視化してみた

          ふたりの読書会

          今日、三男が夕食に親子丼を作ってくれた。スマホでレシピを見ながら、作ってくれて、とても美味しかった。食後にチョコモナカのアイスを半分こして食べた。 三男は中1の2学期から学校に行かなくなった。部屋に鍵をかけてしまい、滅多に出てこない。そのうち昼夜も逆転したり、気が気じゃない状態だった。 それでも起きていればご飯を食べるし、おやつに誘えば部屋から出てきた。だから、食事とお茶の時間は貴重だった。 パン屋さんの菓子パンや、コンビニのスイーツを二つ違うものを買ってきて、半分こし

          ふたりの読書会

          先生に会ってきた。 なかったことにならないように、腕の傷を見てもらった。

          先生に会ってきた。 なかったことにならないように、腕の傷を見てもらった。

          くすりのはなし

          せっかくの療養休暇を有意義に過ごそうということで、一週間に一度通院して、薬を見直して調整しようということにした。治す気満々。 日常のことが何もできない、希死念慮がバリバリにあることを伝えると、抗うつ剤を少し増量しようという話になった。 一週間信じて飲んだ。初日眠気が強すぎて一日中寝たり起きたりしていた。二日目からあら不思議、立つことすら苦痛だった台所に立った。口の渇き、ふらつき、立ちくらみ、手足の痺れ、震え、入眠時の大恐怖など副作用も感じていた。 それでも、食事の準備が

          くすりのはなし

          しあわせって

          肯定されることなんじゃないかと思った。 もっと言えば、大切な誰かと同じ景色を見て、きれいだと言い合うこと。 一人で旭川をテクテク歩いていたら四つ葉のクローバーを見つけた。 青年さんと過ごした時間を、もらった愛みたいなもの(ジェネリックの愛)を、ふわふわと抱えて歩いていた。せっかく上がった気分を下げてしまうのはもったいない。 四つ葉のクローバーが 「そうだよ」って言ってる気がした。 とことこきつねが歩いてきた。写真を撮ろうとゴソゴソしているうちに、どこかへ行ってしまっ

          しあわせって

          ヘイト•オーガスト

          動物病院を出ると、ひぐらしが鳴いていた。カナカナカナ…ともうすぐ日が沈む空に、まとわりついていた。湿った落ち葉の色と匂いがする鳴き声。 勘弁してくれ、と思う。 先月から、仕事を休んでいる。カウンセリングがうまくいきすぎて、感情や記憶が戻ってきている。調子が悪い。ほどよく、調子が悪い。多分。 今まで感じていなかった、嫌なことがわかるようになった。 8月が嫌いだ。 クマゼミの声にゾッとする。関西にいられなかった大きな理由は、この合唱だ。保育園までの最後の坂を登りきると、

          ヘイト•オーガスト