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自分の知らない世界を垣間見る

居酒屋のおかみさん。
娘さんが市の職員をしておられるそう。
福祉課で、いわゆる“ごみ屋敷”に住む高齢の方の施設入所のサポートをしたり、身寄りの無い方が孤独死された時の家の片付けなどをされている。
「ごみ屋敷に住んでいる方のところに何度も足を運んで説得して、施設に入居していただいて、そのあとそのお家を掃除しているときが一番楽しい、って言っているの。
何か達成感があるんでしょうね。仕事がきつくて辞めたいと思ったことなんて、一度もないって言うのよ」
と誇らしげにお話してくださった。
それから、施設に入所する際、必要なお金だけ手元に残して残りは銀行に預けたままになっていた結果、数年出し入れが無く、銀行口座が凍結され、ご本人も認知で何千万というお金が引き出しが出来なくなってしまった話とか、
施設で亡くなられた旨連絡したところ迷惑そうな対応をされたが、遺産の話になると飛んでくる、一度もお見舞いに来なかった親戚の話とか。

県外に住む年上のお友達。
民生委員を昔されていて、地域の子どもたちの見守りもされていた。
娘さんが中学生で、同級生に何人か、不登校の子たちがいるらしい。
不登校の子たちの不登校の理由も様々で、意外だったけれど、親の都合の子たちも多いとのこと。
親が夜間仕事をしており、昼まで寝ている生活。
子どもも夜型の生活にシフトしていって、朝起きることが出来ない→学校にいけないが繰り返され、やがて不登校に。
親も子どもを学校に行かせなくてはという思いが無いことが多いそう。
「平日のお昼間に、スーパーで買い物しているのを見かけたんだけれど、中学生の子と、その下の弟も連れて荷物を持たせてるの。
学校にも行かせないで何をしているんだとこっちは思うのだけど、本人はそんな考え無いのよね。なんだかなと思うのだけれど」

私が知らないだけで、世の中には小さい影が身近に潜んでいる。
その影は、自分の身の回りに無いからしっかり見えないだけで、でもちゃんと、そこここに存在している。
何が正しくて何が間違っているのかは、当事者にしか分からないけれども。
人と話すと、そういった自分の知らない世界を垣間見ることが出来る。

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