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小説『もしも僕が神様だったら』

僕は、本川義徳。
流川西高校に通うしがない高校生だ。

今は6月上旬で、梅雨の季節の到来を告げるように連日雨が降り続いている。学校でも家でも目立たない、正しく「日陰者」のような存在だが想像力は豊かだ。

梅雨の時期が、一年で最も嫌いなのは誰でもそうだろう。それでも、良いこともある。それは紫陽花が映える季節だということ。紫陽花は露に濡れてこそ、綺麗に写真映えする。鬱陶しい季節で唯一好きな瞬間だ。

6月8日、この日は珍しく晴天だった。学校が終わって帰宅する中、僕はひとり妄想の世界に入っていった。

*   *   *   *   *

「もしも僕が神様になったら…」

小さいときに、自分がスーパーマンになることを夢みたことは誰しもあるだろう。これも、そういった類いの一つだ。

神様・・・・

それはすごい権力を持った、雲の上より遙か彼方の存在であろう。人間が及ぶ境地ではない。だからこそ、ある種の憧れがある。

「僕も神様になっていろいろな事をしたい!」

具体的にどんなことをしたいか? それは、”イタズラ”だ。

神様は僕ら人間と違って、法律で裁かれない。当たり前だ。証明できないし、逮捕するという概念さえもない。
だから、一見悪い事でもやりたい放題出来る!

「僕がもし神様になったら、地上の人間にシャワーなりバケツなりで水をぶっかけてやりたい」

きっと、急に雨に降られたと勘違いして、慌てふためくだろう笑 その光景を見て楽しむのだ。
こちらの存在に気づくこともない。なにせ神様なのだから、人間から見えないのは当然である。

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「いろんなシチュエーションで雨、いや水をぶっかけてやりたい」

家から出てきた瞬間を狙って、巨大なシャワーで水を噴射! 
⇨せっかくお出かけのために着替えたのに台無しに… そのまま家の中にUターンだ笑

渋谷でタピオカを買って、これから飲み歩きをしようとしたJKに向かって、高圧洗浄機でタピオカを吹き飛ばす! 
⇨楽しみのタピオカが台無しになるどころか、折角のお洒落もミルクティーまみれで汚れるだろう笑

新橋の仕事帰りであろうサラリーマンに向かって、バケツでゲリラ豪雨をお見舞い! 
⇨ずぶ濡れになったまま、電車で家に帰る気分は最悪だろう笑

オープンカーでイキっているお兄さん目掛けて、雨を降らす! 
⇨大金はたいて買った車が台無しに… 少なくとも、彼女を助手席に乗せることはしばらく無理だろう笑

道ばたで口論しているカップルを狙って、集中豪雨をプレゼント! 
⇨お互い頭に血が上っていると思うので、頭を冷やす丁度いい機会になったのでは(物理)?笑

このようなイタズラ、ないしドッキリは神様だからこそ出来る業だ。きっと、人間共は惨めな姿を晒して、滑稽な動きをして楽しませてくれるだろう。これだからイタズラはやめられない。
まぁ傍から見たら、碌でもない神様だろうねー。

*   *   *   *   *

とまぁ、こんな下らない妄想をしながら帰っていくのであった・・・


ポツ、ポツ、ポツ…

おや? 雨が降ってきたような。
これも神様のイタズラなのかな…

ー 完 ー 

 

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