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映画アラジンを見に行ったらおばさんが「ウィルったら!」って言ってた

アラジンおもしろいらしいから、見に行こうよ!

当時思いを寄せていた女性と一緒に、ディズニーの名作「アラジン」の実写映画を見に行った時のこと。

恋人同士ではありませんが「2人で映画に行く」というのは誰が何と言おうとデートです。

デートでは男らしくしろ、という父親からの教えを守るため、気合を入れて当日に臨みました。




映画が始まりました。

アラジンとは、願いを叶えてくれるランプの精「ジーニー」と、そんなランプを手に入れたアラジンとジャスミン姫のラブストーリー。

「これ以外ないな」ってほどしっくりくる映像とキャスト陣。笑いに音楽。全てが素晴らしい。

特にジャスミン姫を演じたナオミ・スコットは完璧すぎて「NAOMI」ってタトゥー入れたろかと思いました。

そして話題となっていたウィル・スミスのジーニー。仕草から動きまで本当にアニメのよう。笑わせてくれます。

歌やダンスのシーンでは、映画館全体がディズニーランドの一部になったような錯覚に。

映画とデート。俺はすっかり夢の中に浸っていました。

そんな中、


『アッハハハハ!』


しっかり笑ってます。

真後ろのおばさんがしっかり声だして笑ってます。

うちの母ちゃんが「イッテQ!」みてる時の声のデカさで笑ってます。


いや、もちろん悪いことではないんですよ。わかります。笑っちゃいますよね、おもしろいから。

でも、ここは映画館。

家のリビングとは違うわけで。「くすくす」ぐらいならまだしも、しっかり笑われると気になるというか。


チラッと目を合わせる俺と愛しの女性。

無言で「めっちゃ笑ってるね…」という意思疎通をします。


そしてその笑い声は止まることを知らず。

「そんなおもしろくないだろ」ってシーンでも『ンフッ!』『ヒッヒ!』など声を発しているんです。


俺は気になって隣に座る愛しの女性をチラッと見ます。

そこには明らかにウンザリ感を隠せていない顔が。

うーん。これはマズい。やはり言ったほうがいいよな。でも他の人に注意するとはなかなか勇気のいる行為。

しかし・・・こんなときこそ男らしくしなくては。

どげんかせんといかん。

東国原知事みたいな顔で後ろを振り返ろうとした瞬間、



『 ほんと…ウィルったら!』

…!!!



いやウィル・スミスのこと「ウィル」って呼ぶやつ、います?


いやもちろん彼の名前だから間違ってはないんですけど…ウィル・スミスをファーストネームで呼ぶ?

おばさんのまさかのセリフに動揺し注意するタイミングを完璧に逃した俺。

そのまんま東ならぬ、そのまんま映画鑑賞。

結局、彼女の横に座ってたイケメンのお兄さんが爽やかに注意しておばさんは静かになりました。




映画終了後、そそくさと帰っていった俺のジャスミン姫。

その背中を見て思いましたね。

もし今ジーニーが来て『好きな願い事を叶えてやろう!』って言ってきたら、こう言うだろうな。


「俺もウィル・スミスに『ウィルったら!』って言いたい」と。

-終劇-

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