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#真相をお話しします「ヤリモク」「パンドラ」の感想

ヤリモクという言葉を初めて知った。性交目的という意味らしい。1991年生まれの作者には説明の必要もない単語なのだろう。

では昨日に続き、#真相をお話ししますの第二話「ヤリモク」と第三話「パンドラ」を読了後の感想を書きたい。
<以下ネタバレの可能性あり>三行空けます。


ネタバレを考慮して、具体的な登場人物名や舞台設定、出来事などを一切省いて、ただ私の感想だけを述べたいと思う。

第二話「ヤリモク」の感想

やはり意外な展開ではなかった。
むしろ騙されようとして読んでいるのだが、この人の作品は非常に親切に伏線を張ってくれていて、どうしてもすんなりミスリードに乗る事ができない。
そして何よりもミステリ好きには「ありがち」な展開だという点も騙されようのない理由になっている。そういった意味でもミステリ初心者向けと言えるかも知れない。
また、第一話同様オチの後がクドい。ラストの一文はインパクトを与えたつもりかも知れないが、主人公の目的を助長する内容だし本名を使うともかぎらない。前回も書いたが最後の一文で全てひっくり返すのが華麗などんでん返しだ。色々な意味で弱い。

第三話「パンドラ」の感想

これまで読んだ中では一番面白かった。
ほぼ会話は無く、記憶を辿るだけで時間の経過も無く、一人称の主人公が独りであれやこれやと考えている小説である。前二作のように意外性を狙った作品ではなく、確かめようもない真実を追求するのをやめ、日常の平穏のみをリアリティとして生きようと決める、判じ物としては些か歯切れの悪いラストだが、そこがむしろ魅力的とも言える。
隠蔽する理由が悪意ではなく優しさであるところも良い。日本国内でこういった話は、なかなか他人が立ち入れない個人的で機微な情報である。真実より優先される優しさが、日本人的だと感じる。
この作家の魅力はミステリ要素よりもこちらなのではないか?

以上。
第四話以降はまた明日。


2023.3.9


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