タコスでボロ儲けした高校の文化祭
おっす。でゅーぐんです。
今回は高校生の頃に唯一私が輝いた瞬間があった
文化祭の模擬店についてのお話をさせてください。
もし文化祭の出店で何やろうか考えてる学生諸君は
あまり参考にしないでください。恥ずかしいので。
時は平成まで遡ります
言うてそこまで昔じゃねぇだろという声もありますが私からしたらめちゃくちゃ古い記憶になりますのでそう表現させていただいてます。
私の在学していた高校は模擬店が3年生のみクラスごとに出せるシステムになっており、1・2年生は死んだような目をしながらフランクフルト片手に茶道部の部員を遠くから見守るしかできないような生き地獄でした
そんな愚かな私もあっという間に3年生になり
いざ模擬店で何を売ろうか...と会議になりました。
もちろん料理経験の実績だけで私が調理班の中のリーダーに抜擢されました。生きてきた中で一番即決でした。
このぐらいのスピードで減税政策が決まればいいのになと思わされるほど即決でした。
なんせほぼ男子ばっかりのクラスだったので、
やれ焼きそばがいいだの、やれかき氷がいいだの...
お前らは海の家でもやる気なんか?と言いたくなるような意見しか出てこず締切り近くまでの日々を悶々としていたのですが
小学生の頃から一緒に柔道をやってたマイメンが
学校に内緒で某有名フライドチキン屋さんでバイトをしており、そこでメニューにあったトルティーヤ(小麦粉やトウモロコシ粉でできた薄い生地)でチキンを包んだ商品があるぞ!
と私の耳元で囁いてきたのでそこから私は
ASMRの存在と友情の尊さを学びました。
トルティーヤか...つまりタコスって事だな!!!
と、今では到底考えられないほどの安直さで
文化祭で私のクラスからはタコスを提供する事に決めました。
余談ではありますが
トルティーヤで具材を包んだものが全てタコス
という訳でなく
他にもケサディーヤ、ブリトー、エンチラーダなど
多種多様な表情を見せてくれます。
まさに食の鈴木亮平といったところだろう。
とここで一つ目の壁に当たります。
この体格ですので壁も最初に当たった段階でヒビは入っていたのですがギリギリ突破できませんでした。
学校内のルールで「野菜も含めナマものはNG」というタコスを作ろうとする人間の魂を全力で消しにかかる文章が書かれた紙を担任の先生から渡されました。生徒会恐るべし。。
怒りと焦りから手はおろか体全体が震えてしまい
危なく地震と間違えられるところでした。
その節はどうもすみませんでした。
結局、冷凍のトルティーヤは業務スーパーで
買うとして、中に何の具材を入れればいいのだ?
という語尾がハム太郎みたいな口調になってしまうほど疲弊しきった私をサポートしてくれたクラスの皆からの意見を集約すると
・ひき肉
・キャベツ
具材はシンプルにこの2つでいいだろうという事になりました。パッと見ヨーロッパの貧困層の晩ごはんみたいな組み合わせだが悪くはない。
ただ生はダメなのでキャベツも消し炭になる1歩手前までフライパンで加熱するのを条件にOKになりました。
あとはソースか...
サルサソース?あんなもん全部がナマものだろ
アボカド?そんなん俺が普通に嫌いな食べ物だろ
チーズ?絶対みんなつまみ食いするだろ
という2つ目の壁、ソースです
これはメキシカンという国籍を完全に無視して業務スーパーのチリソースで可決しました。私がシェフ担当に決まった次に即決でした。
残るは価格設定です
私は大した具材も挟んでいないのを理由に
当初から「200円で良いのでは」
という意見を提示していました。
ここで今まで黙秘を貫いていた生徒会からの紙を渡すだけだった担任の先生(187cm・当時新婚・顔がR藤本似のイケメン)が
「タコスにしちゃ200円は安すぎねぇか?」
という楽天モバイルのCMの
米倉涼子みたいなテンションで意見してきました
クラス中で揉めに揉めましたが
ここで現役学生の皆は冷静になってほしい。
いくらタコスと言えども
サルサソースはおろかチーズすらケチったこの物体でそんなに儲けれると思うだろうか?
サルサソースのないタコスは
体術はおろか努力すらしないロック・リーみたいなものなのだ。つまり最弱というわけよ。
そんなゲジ眉タコスを200円以上という破格では
販売したくない。遊びじゃないんだ。
お客様目線でしっかりと検討するべきだ。
俺のプライドはそんなにすぐには捨てれない。
私が人生で初めてお客様のニーズに応えようとした瞬間である。
私も必死になって担任の先生とディベートしました。
でゅぐ「先生!これは単価を上げて儲けようとするよりも販売の母数で勝負するべきです。つまり200円が妥当と思います」
R藤本「え〜、じゃあ...350円!」
でゅぐ「高すぎますって!あとお釣りの50円玉の準備だるいです!」
R藤本「じゃあ.........300円でどうだ!」
でゅぐ「オークションじゃないんですよ!」
R藤本「でも250円なら...」
でゅぐ「50円玉の準備ィィィ!!!!」
という水掛け論で危なげなく勝利しました。
ディベートにしては気が遠くなるほど低レベルなものでしたが少し楽しかったです。
先生、本当にありがとうございました。
先生がケーズデンキで稀に見る値切り野郎みたいに
粘らなければもしかしたらタコスを100円という最初からタイムセールみたいな値段で販売するところでした。お身体に気をつけてこれからもお過ごしください。立場が逆かもしれませんが応援してます。
※結果として手抜きタコスは200円で販売することになりました。
そして最後の壁にぶち当たります。
それがデザートです。
流石にタコス1本で勝負は漢らしすぎる。
いくら私がお菓子作りを趣味としているとはいえ、
流石にハンドメイドはちょっと......
という真顔で通り魔する人みたいな顔をしながら土曜日に業務スーパーを徘徊していると
↑これだ。↑
白玉団子が大量に売ってた。
業務スーパーとは名ばかりではないことを白玉団子が証明してくれたのだ。
当時は確か1kg入って200円台だった。
これは安すぎる。
この商品だけまだ昭和初期の金銭感覚で設定されたのか?と疑いたくなるほど安かった。
冷静になってもみてくれ。
団子が100gで20円ちょっとだぞ?
麻雀牌3個分くらいのサイズしかないブラックサンダー1個より安いんだぞ?
タコスで安く設定した分
ここで儲けを考えるようになりました。
当時の案としては
紙コップに白玉を3〜4個ほど入れて
上にチョコソースとホイップクリーム、そしてカラースプレー的な何かをトッピングして100円で売れば作るのも簡単だし儲けも出るし貴重な女子が集まってくるし
もう最高じゃねぇかァ(⊙◞౪◟⊙)ンフンフ
と1人ンフンフしてたのを今思い出しました。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
二度とンフンフする感情にはならないんだろうなぁ
またンフンフしてぇなぁ
一応生クリームとかチョコが苦手な人もいるだろうという高校生離れした配慮を見せつけたくて、みたらしのタレをかけたバージョンも作ることにしました。
ということで
私のクラスからは
貧困無国籍タコス ¥200
白玉パフェ(チョコ) ¥100
白玉パフェ(みたらし) ¥100
を提供する事に確定しました。
そしたらいよいよ事前の買い出しです
業務スーパーで全部揃うので予算を握りしめ
いざ入店
店員さん達は「先週の土曜日に通り魔みたいな目した肩幅人間が歩いてたから気をつけるように」
と言われたのか何なのか
すごくコチラを見ていた。
こんなにもかというほど私を見ていた。
そんなに見るな。照れるだろ。
兎にも角にもトルティーヤが無ければ何も始まらないので購入。
何枚買えばいいのか皆目見当もつかないため
1袋12枚入りのものを12セット
つまり1ダースという何とも業者じみた単位で購入。
タコスが144食だぞ?
1日目はそんなにすぐ売れないだろう...
という私の浅はかな勘がそうさせた。
※そういえば文化祭は2日間開催されます
他にも冷凍ひき肉を144食に合わせた分をザックリで購入しました。牛豚の合い挽きだったか豚のみだったかは忘れました。笑
無国籍タコスのため、チリソースを2種類購入。
ちょっと甘いヤツと
めちゃくちゃ甘いヤツという
チリソースとは何なのか概念を考えさせられる液体で味はクセになる美味しさでした。
ちなみに保冷する場所がない!ヤバい!
という話になりましたが
そこは流石の柔道部です。部室にあるいつから存在するか誰も知らない古い業務用冷凍庫があったので許可を取ってお借りしました。幼稚園児が6人くらい入れるほど大きい冷凍庫なので助かりました。たぶん未だに存在してるはずです。
そして遂にいよいよ文化祭当日になりました。
ここで事件です。
ドキドキしすぎて朝早くに目が覚め何か違和感がありました。
...
......
.........
あ!みたらしのタレ用意してねぇ!!!
マジでやらかしました。
始発で高校まで全速力で登校し
話したこともない当番の先生に
"家庭科室を貸してくれ!"
"みたらしのタレを作るんじゃ!"
と迫真の表情で訴え
何とかタレ作りをスタートしました。
急患が搬送されてきた深夜の病院ってああいう雰囲気になるんだろうな。
過去にいましたか?
自発的に朝6時台に家庭科室を借りて
キャベツの千切りとみたらしのタレを仕込む
高校3年生(柔道部)が。
ええ、もちろん
早くから家庭科室にいたPTAのお母さん達に
なんだコイツ...みたいな顔されましたよ。
私がジョイマン高木みたいな顔してたら
多分なんだコイツ〜!って実際に叫ばれてました。
芋洗坂係長みたいな顔でよかったぜ。ふぅ。
でも分かってほしいです。
当時の私からしたら遊びじゃなかったんです。
M-1グランプリに挑む無名の若手芸人くらい
真剣な目つきで取り組んでいたんです。
そして出店スタートの時間になり徐々にお客さんがブースに集まってきました。
右隣は王道のフランクフルトやポテト、
左隣は玄人感が一気に出るおでんを主戦力にしてました。そしてその間に国籍という概念を全て消し飛ばしたタコスと白玉パフェというカオスな雰囲気。
このままデスゲームが始まってもおかしくないくらいカオスでした。
トルティーヤ144枚もあるんだぞ...そんなに売れるのか...?と思いながら裏で仕込みしていたら
開始して10分もしないでPTA関係者のお父さん達が来て一言。
んーと、タコス60人分お願い(^^)
耳を疑いました。
というかPTA側の神経を疑いそうになりました。
危ない危ない。大人を敵に回すところでした。
警視庁とPTAだけは敵に回したくないからな。
確かに結構な大人たちが頑張って準備してたもんな...
と疑いを生唾と一緒に飲み込みました。
にしても60個。
ある程度準備していた私の計画は1太刀で崩されました。私が洋画に出てくるPCハッカーなら頭をグシャグシャ掻き回してるところですが生憎当時は丸坊主だったのでとりあえず発注者(PTAの人)に一言。
ぁい了解しやした!
少々お時間いただきますけど
いいすか!?
こう言いました。
ここだけ切り取られたら間違いなく今勢いに乗ってるラーメン屋の店長くらい貫禄があったと思います。絶対に切り取らないでくださいね。
そこで同時に確信しました。
絶対にトルティーヤが足りない。と。
あとさっきの一言が全然メキシカンじゃない。と。
急いで調理班じゃないクラスメイトを招集して
業務スーパーに買い出しさせに行きました。
「とりあえずありったけ!」という私の雑なリクエストに皆も協力してくれました。本当にありがとう。
ちなみにテスト前にノートの写真を送ってほしいとだけ毎回LINEしてきた連中です。テスト前以外は何も連絡が無いんだこれが。
すみません少し脱線しましたが
当初購入してたトルティーヤ144枚は昼過ぎには全て売れてしまいました。
マジかよとんでもねぇな
と思っていたら今度は白玉パフェが底を付きそうになってました。桃鉄ならフィーバーで歓喜してますが現実は喜んでる暇がありません。口角なんか1mmも上がらないまま追加発注をして...自分はタコスの具材を炒めて挟めてつまみ食いされて...また作って...
気づいたら両手で自前のフライパンを振っていました。パエリアの鍋みたいなデカいのを両手で振るんじゃないですよ?2つのフライパンを同時に振ってるんですよ?
現場の雰囲気が完全に中華です。
メキシコはどこ行ったんじゃメキシコは!!
と自分でも思いながらやってました。
途中で手伝ってくれるクラスメイトもいましたが大半は体育館で身内ノリのカラオケ大会を見に行くか
パズドラをリセマラしてました。
いいんだ。これぞ男子高校生。自由にやれ。
と同じ立場の私が思っていました。
もうちょっと頑張れば私もPTA側に混ざれたかもしれませんね。
結局1日目、2日目ともに順調に売れ行きは好調でした。
そして2日目の半ば頃...
母校の伝統行事である「模擬-1グランプリ」が開催される時間になりました。
これは簡単に言うと全日制の3年生の7クラスと定時制1クラスがそれぞれの料理を先生方に試食してもらい順位をつけられるという
ある意味では勝ち誇れる、そしてある意味では晒し首にされるリスクがある非常にロッケンロールなイベントです。
私は高校3年間の目標
・柔道でインターハイ出場
・彼女を作る
・模擬-1グランプリで優勝する
この3つが目標でした
前2つは気持ちいいくらい早くに夢破れましたが
最後の砦である模擬-1グランプリは手が届きそう。
だから頑張っていたんです。
ぞろぞろと重鎮(先生方)が席につきます。
料理長の私は8組中4番目。ちょうどいい頃合です。
いざタコスを提出。
全然話したことない校長、校長より校長みたいなオーラを纏う教頭、普段温厚な社会の先生、いつも気さくに話しかけてくれる進路相談のジジイ、事務のババア
みんなが真剣な目つきです。
私もたぶん緊張しすぎて演技終盤の羽生結弦みたいな目つきをして対抗してました。
そして味の感想は
・美味しい
・ピリ辛加減がほどよい
・もう1個食べたくなる
・キャベツの火の通りがプロ
・このトルティーヤはまさか手作りか!?
・料理長が本職の人みたいで面白い
・毎朝俺にこれを作ってくれよ
途中よく分かんないの混ざってたけど
すげぇ褒められるじゃん。
おいおい何だよ高評価の嵐じゃねぇか。
HIKAKINじゃねぇんだからwww
と演技後の羽生結弦みたいな顔になってしまいました。めちゃくちゃ嬉しかったなぁ。
そして結果発表...!
私のクラスはなんと...
2位!!!
ふざけんなァァァ
こんだけ持ち上げといて何で2位!?
乱闘寸前になる前に
先生達にコメントをもらいました。
教師A「私はタコスが珍しいし美味しかったのでタコスを出したクラスに投票しました」
教師B「私もタコスのクラスに入れました」
教師C「私も辛いものが好きなのでタコスに1票」
教師D「このトルティーヤは手作りか!?」
おうおう。タコス派がほとんどじゃねぇか。
黒幕は誰だよ?あぁ?
校長「私の大好物はおでんなんです。なので隣のクラスのおでんに投票しちゃいました☆」
校長ォォォォォォォ!!!!
周り関係なくお前の1票で
グランプリ決まるんかい
この野郎ォォォォ!!!!
というオチでした。
その後私は放心状態になってしまい
「ショーシャンクの空に」の表紙みたいに
なってしまいました。
まぁこれも青春ですよね。
ちなみになんですけど店名は「BIG Body」でした。
完全にビッグボーイのパロディですがメキシコはどこ行っ
まぁそれはいいとして
売上げ額を精算していたのですが
生徒には現金では配らずペンやノート等で還元するというルールがあったのですが
ボロ儲けすぎてペンとノートを配ってもウチのクラスだけは余ってしまったので
1人500円をめちゃくちゃコッソリ配るという最終手段を取りました。
その500円を足しに文化祭の後に食べたラーメン
すげぇしょっぱかったなぁ(意味深)
※クラスの合計売上げ金額が後の自分の初任給の手取りより高かったのはここだけの話ですわ♡
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