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大学落ちたら人生終わりだと思っていた話


いとこが大学に落ちた。
かくいう私も第一志望の大学に落ちて、滑り止めの大学に進学した。
でも、似たような経験をしていても、いとこになんて声をかけていいか、分からない。
だからせめて、私は私の大学受験の失敗談を書こうと思った。
この話を、いとこが読んでくれるかは分からない。そもそもこんなタイトルにしてしまったから、大学を落ちたばかりのいとこには読んでもらえないかもしれない。
でも、こんな人もいるんだなって、馬鹿な話だなって、いとこが少しでもそう思って、笑ってくれたら嬉しい。
 
さてさて、大学に落ちたといってもどこから話し出したらよいのやら。
私はいわゆるガリ勉で、評定平均も4.9だった。大学落ちたら人生終わりだと思っていて、日々ZARDの「負けないで」を頭の中に流しながらひたすら勉強していた。腹も特別弱いこともなく、ごく普通の女子高生だった。
しかし、これが高3になると一変する。私の高3は波乱万丈で、腹に司どられ、腹に踊らされたといっても過言ではないものとなってしまったのだ・・・。

腹のエピソードその1
「盲腸」


そう、あれは5月、新緑のまぶしいころだった。私は自転車で片道40分の通学途中に、いつもとは違う腹痛を感じた。気合で学校まで自転車をこぎ切ったが、ついた途端腹痛は一層激しくなり、あろうことかそのまま来た道を自転車で引き返すという荒業を成し遂げた。
これを読んでいる人で盲腸になった人はいるだろうか。とりあえず、めちゃくちゃ痛い。あの激痛の中、トータル80分も自転車をこげたのは奇跡だと思う。
あまりの痛さに、私は思った。
「これは・・・不治の病だ・・・」と。
ふざけているわけではない。本気でこう思ったのだ。
その後病院で「盲腸」と診断された時は、これからも生きていけることに心底安心して喜んだのを覚えている。

腹のエピソードその2
「ノロウイルス」


お前どんだけ腹弱いんだと思った人も多いだろう。自分でもそう思う。でも、ノロウイルスに罹ったのなんて、今のところこの1回だけだ。
しかも罹った時期が悪かった。・・・年末だったのだ。センター試験まであと3週間というときに、私は机に向かって座ることすらできなかった。

腹のエピソードその3
「腸閉塞」


もういい加減に腹の話はいらないといわれそうだが、腹の話はまだ続く。私の波乱の高3の腹事情のフィナーレは、原因不明の腹痛で始まった。
お正月の頃、私はあまりの腹の痛さに自宅で倒れ、気づけば救急車で大学病院に運ばれていた。
とりあえず、腸閉塞と診断されたが、原因不明のこともいくつかあったので1週間入院を余儀なくされた。
当時ギャル曾根さん並みに食べていたが、さすがに入院中は食事もできず、点滴生活だった。衝撃的だったのは、入院や絶食生活よりも、カロリー不足で点滴に脂肪が追加されたことだ。
私は看護師さんが雪のような真っ白な脂肪を注入してくれる様子を見ながら、心の中で叫んでいた。『わざわざ追加しなくても、たんまりため込んだ脂肪がこんなに腹の周りついていますよ!!!!自給自足できるから十分ですよーーーー!!』
その後、点滴と脂肪のおかげで無事退院した。
幸い、脂肪を追加されても体重が増えることはなく、受験ストレスでぷくぷくに太っていた私は、入院生活のおかげでRIZAPもびっくりの1週間で-3kgを実現した。そう、パツパツだった制服のスカートもすんなり入るほどに!!
こうして勉強よりもボディの結果にコミットした私は、無事センター試験に向かったのだった・・・。

その後


本当はこのまま何事もなく終わったといいたい。
しかし、人生そんなに甘くない!私の高3の試練は腹だけではなかったのだ!!!
なんと受験したセンター試験が「戦後最難関」としいうあだ名がつくほど、受験生にとって過酷なものだったのだ。おかげで試験結果は荒れに荒れ、本来の第一志望よりレベルを2.3ほど落とす人も多く、どの大学に行きたいかよりも、どこだったら受かる確率が高いか、という事態になってしまった。
私も例外ではなく、センター試験の結果が思ったほどよくなかったので、泣きながら志望校のレベルを落とした。そうして、安全圏と言われた大学を受験した。
しかし、結果は不合格。え、安全圏って言ったじゃん・・・。
人生って甘くなくてしょっぱいのだと知った18歳の春・・・。
あんだけ腹に踊らされて、結果も不合格ってどういうこと?!
もちろん落ちた後は号泣したし、神様はなんて理不尽なんだ・・・・と思った。

でも今となっては、案外落ちてよかったんじゃないかと思っている。

なぜなら、社会人になると、努力しても報われないこともなんてたくさんあるし、挫折を経験した強さに救われたことが何度もあったからだ。
あのまま合格していたら、学力で人を見下す、いやな奴になっていたかもしれない。
進学先の大学も楽しかったし、私は本当に自分の考え方次第でいくらでも人生は楽しくできると知った。
死ぬほど勉強して、結果は報われなかった。でも、勉強した努力は無駄になっていない。例えば受験で培った応用力が仕事に活かせたり、世界史や日本史の知識で上司と話が弾んで博識だと褒められたりした。
そして、私は大学落ちた後の自分の方が好きだったりする。
私は今まで大学を合格する為に、ずっと自分を追い詰めていた。でも、大学に落ちたら肩の力が抜けて、自分自身に優しくなれた。自分に優しくなれると、人に対しても優しくなれた。
そして、挫折や失敗をダメな事と捉えず、人生に必要なことだと考えられるようになった。
自分で言うのもなんだが、ちょっといい奴になれたと思う。
 
余談だが、いとこは浪人の道を進んだと聞いた。私は、いとこが浪人の選択ができたことをすごいと思った。受験から逃げずに、向き合い続けるいとこを尊敬する。
いとこが勉強するその先に、明るくて楽しい未来があってほしいと思う。
「大学落ちたからって、人生終わりじゃない。」これが私が唯一、いとこに言えることかもしれない。

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