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【能動的三分間#8】仕事2.0 人生100年時代の変身力

【能動的三分間】8回目は佐藤留美の「仕事2.0 人生100年時代の変身力」です。

NewsPicks Bookの8月最新刊になります。佐藤留美さんはNewsPicks副編集長です。

「仕事2.0」というタイトルの通り、働き方をアップデートする必要があるというのが主題です。「一生サラリーマンで良いのか」と終始問いかけられる内容になっています。

そのような危機感を抱かざるを得ない現代社会の状況については、出生率の低下、高齢化による社会保障制度の崩壊と、反面健康寿命が伸び退職後に働かざるを得ない時間が伸びること等が挙げられています。そして、その時になって会社に頼りきっていた「働き方」に後悔するであろうと。

本書では「ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>」の著者リンダ・グラットン氏の考えが多く紹介されています。中でも重要だと感じたのは、「お金(有形資産)を蓄えることではなくスキルや知識、健康や良好な友人関係、人的ネットワークや意欲といった無形資産を蓄えることが重要である」という考えです。本書のみならず、この「無形資産」の重要性を説く本が最近とても多い印象です。

佐藤さんはこの「無形資産」を蓄えるために勉強することの重要性を説いています。大人になると勉強をやめてしまう人が多いと。
”学ぶことを放棄した大人は、次世代の子ども以下に『劣化』する。私たちは、そういう変化の激しい時代を生き抜かなくてはなりません」”

日本のサラリーマンは先進国一勉強をしていない。短期高等教育機関へ入学している大人は一位のスウェーデンで54%、日本は4.6%だそうです。この理由も的確に指摘しています。
”社会人は勉強しても、報酬や待遇という形でその見返りが期待しにくい側面が多いにあるからです。いや、それどころか、日本の会社ではいまだ、社外で活動する余裕があるなら仕事をしなさいといった圧力が働く場合さえあります。”  全くその通りですね。

ただ、日本にも大人の学びのための学校制度として「実践的専門職業大学」なるものが導入されるとのこと。受講者には補助金も支払われるとのことでどのような講座があるのか非常に興味があります。

本書は仕事に人生の時間を取られてしまい、半ば生気を失っている(私のような)サラリーマンにより良く生きるヒント、そして危機感を与えてくれています。

こちらの記事にも書きましたが、学びの記録がブロックチェーンに記録され、キャリア台帳を持つことになるという予測もあるそうです。(中国では既に似たようなシステムが導入されているとのこと)。その時に自分は社会から価値を見出される存在なのか。かなりの危機感を持ちました。

少し堅苦しい内容に感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、最後に勉強することの本質を捉えた引用で締めくくります。本書の「肝」はここにあるような気がします。

”「幸せ」と聞くと、潤沢な資金があり、遊んで暮らす高等遊民のようなイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、幸せの因子を科学的に検証したところ、そんなイメージではまったくなく、目標を持って努力をしている人こそ、幸福度が最も高いことが判明したのです。”


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