『世界一やさしい問題解決の授業』著者・渡辺健介氏に聞く
起点は「こうしたい! ああしたい!」という思い
そもそも問題解決とは何か。『世界一やさしい問題解決の授業』では、渡辺氏はこう表現している。
だが、この問題解決の前提は、「下がってきた数学の成績を上げたい」という思いがあってこそだ。渡辺氏はインタビューで「思い」の重要性についてこう語った。
「問題解決をする起点には、『こうしたい! ああしたい!』という思いが必要です。野球少年であれば甲子園に出場したい、バンドマンなら武道館でコンサートをしたい、ビジネスパーソンなら鳥肌が立つほど人を感動させるような商品を生み出したい……。テーマは人それぞれですが、その思いなしには問題解決のプロセスはそもそも始まりません」
表面的なスキルとしてだけ捉えられる危険性
『世界一やさしい問題解決の授業』は、またたく間に大ヒットし、取材が殺到した。しかし、渡辺氏はその取り上げられ方に関して少し違和感を持ったという。
「もちろん問題解決力は重要なんですが、表面的なスキルとしてだけ捉えられてしまっている印象がありました」
こうしたい、ああしたい、という気持ちがあるからこそ、問題解決のスキルは生きてくる。スキルのところばかりが取り上げられ、頭でっかちなスキルブームのようなものになってしまうことを心配していた。
だからこそ渡辺氏は、子どもたちに問題解決力を教えるときは、同時にワクワクする挑戦に取り組んでもらっているという。
「ゼロから移動式飲食店を立ち上げる、チャリティーオークションを企画・運営するなど、ワクワクする挑戦を通じて、問題解決を実践してもらっています」
こうした挑戦を繰り返していくことで、主体的に実現したい絵を描き、問題解決をする習慣と自信が身に付いていくのである。
より主体的に生きることができるようになる
本のまえがきの冒頭にも、夢や思いの重要性について書かかれていた。
問題解決がテーマの本で、こんな文章が書き出しにあるのである。まさに「こうしたい、ああしたい」から始まっていたのだ。多くの読者、とりわけ子どもたちは、この本が単なるスキルについて書かれた本ではないと早々と気づくことができたのではないか。
あとがきには、こうも書かれている。
渡辺氏のメッセージは、読者にはきっと伝わっていたに違いない。
(次回に続く)