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匂い付きの空気砲を自動発射させるデバイスを作った時の話 【企画篇】

備忘録を書きます

ピラミッドフィルム クアドラでプロトタイプ製作を生業にしている鵜飼です。
備忘録もかねて当時のことを思い出しながら過去のプロトタイプについて細かく綴っていけたらと思います。のシリーズです。
第1弾は2021年1発目に作った「香りに指向性を持たせられるかの実験」について記録していこうかと思います。

何故作ろうと思ったか〜

元を辿れば5年前くらいに遡り、「だるまオトす」という自社開発コンテンツを作るときの企画会議で自分が出した空気砲を視線でコントロールして声で発射するという案を作り終わってから思い出しました。この頃から空気砲への憧れがあったんだなと思うと感慨深い。と同時に顔の向きでコントロールして口を開けたら発射というまだシンプルな仕組みにしてよかったなと自分の成長を感じた。(視線コントロールとかもやりたいけど)
で、およそ五年ぐらい前から構想していた空気砲のアイデアですが、製作に踏み切ったのはテレビの「水曜日のダウンタウン」でやっていた「プロの歌手なら色ナシ臭いアリ空気砲を食らっても歌い切れる説」を観て俄然興味が出てきたので、ここはいっちょ作ってみるかと決心しました。

案件のフィージビリティ相談(技術的に可能かどうかの検証)などで嗅覚系の相談とかチョクチョクあるので、匂い飛ばすって結構ありだなと、それで匂い放出系のプロトタイプ(シーンにあわせた香りを噴射するデモ)は1個過去に作っていたので、いかに遠くに飛ばせるか・直線的に飛ぶやつを作って特定の人に当てれれば面白そうだな・何かに使えそうだなと思って企画し始めました。

どんなふうに企画・構想していくか

まず、どういうことが最低限実現できればいいかの要件をまとめます。

  • ある程度強力な風圧

  • 匂いを簡単に交換できる

  • 普通にボタンで撃つのではなくエンタメ性のあるインタラクション

この条件を絶対条件としつつ、あとは作りながら身を任せて足したり引いたりしていくのがだいたいのところ僕のやり方です。最初にあまり決めすぎず作りながら臨機応変にやっていくのがミソ。

・ある程度強力な風圧

まずは強力な風圧を実現するにはどうすればいいかを考えました。「空気砲 自作」と検索をかけると上記で言及している「水曜日のダウンタウン」でも使われている、いわゆるダンボールで作られた「でんじろう方式」とペットボトルの底を切って風船を引っ付けた「空気銃方式」が出てきます。

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左:でんじろう方式  右:空気銃方式

最初は「でんじろう方式」しか知らなかったのでぼんやり立方体の一面の真ん中に穴を開けて両サイドから何かで叩く機構を作ればできるなと思っていました。が、ペットボトルの方を簡易的に作ってみたところ、風圧も強そうで見た目もカッコよさげにできそうだったのでこの形を採用しました。


ちなみに調べる前に一旦無駄に3Dプリンターで「でんじろう方式」を作ってみましたが、強度とか耐久性が微妙だったので、今はペン立てになってます。

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これが
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こう!

・匂いを簡単に交換する

このプロトタイプのミソは、ただの空気砲ではなく、匂い付きだということ。汎用性を考えると1デバイス1匂いでは使い勝手が悪いので、銃のようにマガジンを変えることで匂いも変更できる工夫が必要です。「でんじろう方式」だとデバイス内部に匂いの元を忍ばせておくことができたかもしれませんが、ペットボトル式を採用したので外付けにする必要がありました。

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青写真

香りの元を装填できる外付けデバイスを作り、「シーンに合わせた香りを噴射させるデモ」でも使っているマイクロブロワでその香りを本体に注入する機構を考えました。装填する外付けデバイスを量産しておけばいろんな匂いを素早く交換できるのもポイントです。放出される空気に影響が出そうな感じもしたのですが考えうる方法でこれが一番良さそうだったので、この方法を採用しました。

・エンタメ感のあるインタラクション

エンタメ感のあるインタラクションといっても、なんでもいいわけではなくてある程度動作に紐づいた形にしないと納得感がないと思っていたので、体の一部で空気が出るところはどこかなと考えた時に「口」か「お尻の穴」だなと思い、一瞬ぐらっと揺らぎましたが口を開けると空気砲が発射されるようにしました。口の開閉の判定は以前、目をつむったかを画像解析で取得するプロトタイプ(非公開)を作ったことがありまして、それを応用すればできそうなので、手抜きができてええやんええやん!となったのでついでに顔の向きと同期して砲身が動くインタラクションも付加しました。コロナ禍だったのでマスクを外す必要があって企画的にどうだろうなと思いましたが、「コロナ禍だからこそのストレス発散」という謎のポジティブシンキングでプロトタイピングを進めることにしました。

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続く

PV数が減るのは重々承知なのですが、語り出したらすごく長くなりそうなので【実践篇】で続きは書きたいと思います。

あと、もう夏なので「プロトタイプTwitter始めました。」
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