#430 魔王
伊坂幸太郎の「魔王」。
伊坂幸太郎らしさが散りばめられていてあっという間に読破。
自分の感情とか、昨今の世論に重ねることのできる文章に納得しました。
例えば。
「初回は大騒ぎでも、二度目以降は興味無し。この国の人間は怒り続けたり、反対し続けるのが苦手、もういいじゃないか、そのお祭りはもうやったじゃないかっていう、疲労混じりの軽蔑が漂う」
北朝鮮が発射するミサイルだって、最初の方こそ騒ぎがありましたが、近年では速報テロップには出るものの「なんだ、またか」とうんざりとも飽きたとも言えない感情になります。
若者が投票をしないのは、国に誇りをもてないのではなく、醜い大人を見せられているからだ、というような文章にも刺さりました。
声高にマニフェストを掲げても、いざ当選すれば知らん顔。
やがては汚職、過去の不倫が暴かれるなどなど。
「未来を変えるって思ってるのは、どうせ選挙の時だけでしょ」
という空気が若者に充満しているのも分かります。
ぼくもそうでしたから。
何が正しいか、何が正しくないかではなく、自分が生きている以上、自分の信念に基づいた行動をしないと、何のために生きているのか分からないと言った弟の潤也のセリフにも感嘆。
群衆の心理と、その中での個人の行動を書き散りばめた小説でした。
ぼくもスカートを直してあげられるくらいの人間にはなりたい。
(魔王を読んだらわかるよ♪)
さて、続きがきになるので、続編のモダンタイムスに手を伸ばしてみます。
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