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#306 カスタマー心理

前回の続きです。


悩みの種は尽きません。

最近の悩みは、カスタマーの心理についてです。

カスタマーの心理は深く、ですが、不動産業界においてはシンプルです。

ここでいうカスタマーとは、不動産の査定を依頼する売主について書きたいと思います。


そもそも、不動産の査定を依頼するのは、いつか来る売却に向けて金額を知るということです。

それが直近なのか、1年後なのかは売主さんとの会話の中で明らかになってきます。


前提として、不動産の市況は頻繁に動くため、早い話今日の査定額が3ヵ月後に保証される可能性はありません。

つまり、「1年後に売りたい!」という入口で来た売主さんに対して、今の査定額を提示してもあまり意味がないと考えることの方が多いです。

語弊を恐れず述べると、不動産会社が考える意味がないというのは、仕事にならない可能性が高いという意味合いです。

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不動産の査定はボランティアではないので、不動産会社も査定をする以上、仕事として見込めるものに対して取り組むわけです。

そうすると、1年後に売却を検討している売主さんから査定依頼を受けた不動産会社の心理としては、
・1年後の金額は変わる可能性があるから今査定を出しても意味がない
・すぐに売らないなら査定をする意味がない
・金額だけを知りたい要望なら対応してもしょうがない
といった心理が働きます。

査定の実務を知っているのでここはめっちゃわかります。

しかも、ノルマがある営業マンだと、確度の低い売主さんより、利益が上がる顧客を追客したいという背景も出てきます。

これが査定をする不動産会社側の心理です。


前提が長くなりましたが、次にカスタマーの心理について書いてみます。


「だって、金額を知らないと話が進まないから」

売主さんが金額を知りたいという背景はいくつかあります。

・今の金額を知らないと住み替え先の物件を検討できない
・相続で取得をしたが、金額によっては売るか所有するか決めたい
・興味本位
・離婚をしたため、遺産分割の参考として金額を知りたい
・他社にも声をかけており、相見積もりをとりたいから

ざっとこんなところでしょうか。

興味本位を除いて、共通するのは、次のアクションを取る為の材料にしたいからというものがあります。


・今の金額を知らないと住み替え先の物件を検討できない

→売却金額と同じくらいの金額に住み替える予定なのか、金額によっては住み続けることを検討する材料にしたいといったところですね。


・相続で取得をしたが、金額によっては売るか所有するか決めたい

→例えば兄弟で相続をした場合、まずは金額を知って、そのうえで兄弟間で今後の方針を決めて行くというケースもあります。


・離婚をしたため、遺産分割の参考として金額を知りたい

→結婚後に取得した不動産も分割の対象となります。その金額を把握し、売却してお金を半分こするのか、売却金額の半分を手渡しして、その家に住み続けるのかというところですね。


・他社にも声をかけており、相見積もりをとりたいから

→一番高く査定をしてくる会社を探しているパターンです。


わかります。

金額を知ってから動き出したいのは必ずといって必要だと思います。

そしてここから。

その話が長期なのか短期なのか。


長期と短期

前提にあるように、不動産の市況は動きやすいため、その背景が短期的なモノであれば不動産会社はそれを仕事として取り組むことでしょう。

長期的なものだと、査定をしても、いざ売却をするとなった時に、他の不動産会社に持っていかれる可能性もあると考えています。

逆も然りで、その当時に査定をしてもらって、1年後にまた戻ってきてくれる要素にもなるため、長期のものでも査定をすると考える不動産会社もあります。

実際にそういうケースは何度かあります。

しかしながら、1年後ないしは半年後、久々に連絡を取り、「その後状況はいかがでしょうか?」の返事に対しては「既に他社で売却をしてしまいました。」という回答か、返信がないのがほとんどです。

だから長期的な背景の査定はしたくないと不動産会社の心理が働いてしまいます。

統計的に、長期的な背景のものは浮気される率が高いと確認できるなら、短期的な背景のものに取り組みたくなりますよね。


不動産の査定って、少し下に見られる傾向があります。

査定報告した後に連絡がつかなくなっちゃう、とかね。

不透明なことが多い業界を変えるというのは、売主さんの心理にも寄り添って、最適解を見つけ出すことにもつながるのかなと思いました。

そんな日曜日の夕暮れでした。


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