猫との対話

マリコ 5. 室外機でランデブー

猫が平日と休日を分けて考えているとは到底思えないのだけど、どうやらマリコは何らかの知恵で「今日が平日」で「昨日は休日だった」とそれぞれの日にちを分けて考えているらしい。


マリコが決まって室外機の上に現れるのは、平日の朝。しかも毎回毎回異なる男を連れて来る。
一時期子供を産んだ後は仔猫たちをぞろりと引き連れて巣と我が家の室外機の上を往復したものだったが、それも二ヶ月もすると仔猫たちを放り出して再び元の色気猫にキャラクターを戻したらしい。


飛べねぇ豚はただの豚..........
そんなセリフがかつて一世風靡したこともあったが、マリコの場合は「モテない猫はただの猫よ。」とでも言いたげで、目が合う度にこの私にさえも潤んだ瞳を向けて「あたし、色っぽいでしょ。」と訴えかけて来る。

ホントにこの子は動物枠の猫なのかと疑ってしまう程、誘い方は日々巧妙になっている。



先週末に一緒にいたのは、丁度この写真のようなドラ猫らしい猫の風格を持ったオス。
けっして「ミャー」などと鳴くことはなく、「ンギャー」と喚くようにのどを鳴らす。可愛いなどと言えるものではなく、どこか猫界のギャングのようにも見えて来るから猫も各々個性的である。


人間をどこか小馬鹿にしたような目は私にも同様に向けられる。なので私も同じように「ふん」と言う目で睨み返すとさっと目をそらした。

小心者よね、まったく 笑。



そしてどうやらこやつが我が家の大切なブルーベリーの貴重な実の半分を食べてしまったらしく、先日口元が紫に染まっていたので横っ面を引っぱたいてやろうと思ったが、やめた。

美味しいものは人間も猫もおんなじで、数分先に彼が美味しい餌にありついただけのこと。

許してあげるわ。


ひとしきり夏の早朝のランデブーを楽しんだマリコは、バーを立ち去る酔っ払い女のような腰つきで「また来るわね。」と心の中でつぶやいて室外機の上を後にした。


━ 早くきちんと結婚して決まった伴侶と生きた方がいいわ。
━ 家庭を持つのも悪くないわよ‥。


私の心の声が聴こえたように一瞬チラっと振り返ったマリコは既に、次の獲物を物色する時の目になっていた。

懲りないオンナである。


4 Aug. 2019 18:58 JST 😸


追記:
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