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公務員と確定申告

2月は確定申告の季節です。
確定申告書等作成コーナー/e-Tax(国税電子申告・納税システム)|国税庁 (nta.go.jp)

私は税務関係に縁がない公務員のため、確定申告をはじめとした税金手続きは受け付ける側ではなく、もっぱら申告側になります。

公務員は基本的には年末調整を行うだけで税の手続きは完結し、確定申告は行わないことが多いようです。

その理由は、国税庁が確定申告を行う必要と挙げている以下の主な対象に該当する人が滅多にいないためと思われます。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 
給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人

No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁 (nta.go.jp)

2000万円を超える所得の公務員は滅多にいませんし、大体の副業は禁止されており2カ所以上の収入を得ることができる公務員も稀でしょう。

ただ、ここ3年ほど、私は公務員であるにもかかわらず確定申告を行っています。

納税の必要があるからというよりは、確定申告をすることによって支払い過ぎた税金を還付してもらうためです。

確定申告を行った方が公務員も得になる場合がいくつかあります。そのあたりを自分の備忘もかねてまとめてみようと思います。

1 公務員が確定申告をすると得になること

(1)医療費控除

医療費控除による還付は一番よく知られたものだと思います。すごく簡単に言えば、年間の医療費の自己負担額が10万円を超えた場合、10万円を超えた分について、払った税金が戻ってきます。年間12万円の自己負担があれば2万円が還付されます。
医療費控除を受ける方へ|令和5年分 確定申告特集 (nta.go.jp)

しかもこれは、世帯で医療費を合算できることがあるため、扶養者(子どもなど)にかかった医療費もまとめて自己負担額が10万円を超えればよいというものです。

我が家の場合、子どもが生まれた年は、大体医療費控除の対象になります。出産費用に加えて、出産前の検診のための検査費用や医療機関までの交通費、それに上の子が診療所に受診する費用等を加えると大体年間10万円はオーバーします。

また、医療費控除は、ドラッグストアで年間1.2万円以上の指定の市販薬等を購入した場合にも税が還付されるセルフメディケーション税制との選択制ですが、私はこの制度を利用したことは今のところありません。

(2)ふるさと納税

これは、所得税というよりは、むしろ住民税の還付の面が大きいのですが、都道府県や市区町村に対して寄付を行った場合、ふるさと納税の制度を利用すると、所得に応じて寄付分の税金が還付されます。(自己負担額の2000円を除く)

例えば、年収600万円で共働きでない世帯の場合、ふるさと納税の上限額は69,000円です。この金額までは、ふるさと納税として寄付しても2000円の自己負担を除いて税が還付されます。
総務省|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について (soumu.go.jp)

5自治体までの寄付であれば、特例制度があるため、確定申告をせずとも税金が還付されるのですが、我が家は細かな寄付が多く、大体オーバーすることが多いため、ふるさと納税のためだけに確定申告をすることもしばしばです。

もともとは、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という問題提起からスタートした制度であり、上京した現役世代を中心に、多くの方がこの制度を利用して居住地以外の自治体に寄付を行っています。
総務省|よくわかる!ふるさと納税|よくわかる!ふるさと納税 (soumu.go.jp)

ただ、よく知られているように、この制度の一番の魅力と言われているのが、納税に対する返礼品です。ふるさと納税を行った自治体から、その土地に由来のある特産品や農産物等が送られてきます。

我が家もご多分に漏れず、購入が大変な米や、子どもが喜ぶフルーツなどを中心に、年に何回か制度を利用しています。数千円の寄付でも返礼品を得られる自治体も多いことから、ワンストップ特例制度の適用除外となる6自治体以上となってしまうこともしばしばです。

一方で、このふるさと納税制度を使うことへの躊躇いもありました。公務員として税金を給料として得る立場でありながら、自分の居住地以外の自治体に活用してよいものなのか、思うところもありました。

ただ、個人として、税制上有効な制度を使わないのはただの機会損失ですし、自分の寄付金の使い道を指定できるふるさと納税に魅力を感じたことも確かです。

年間に一つは自分と関係の深い自治体への寄付をする、災害等が起きた際は必ず被災地への寄付をするという免罪符のようなルールを決めつつ、ふるさと納税をやっているため、毎年、確定申告を行っています。

(3)住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

確定申告によって居住とするために家を取得したり増改築した場合に、要件に合致すれば、その取得のために組んだ住宅ローンの前年の年末残高の一定割合が、税金から控除されます。
No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)

控除の額は、前年の住宅ローンの年末残高の0.7%です。3000万円の住宅ローンを組んで、7月から毎月10万円ずつ支払いをスタートした場合、単純計算で年末残高は2940万円で、その0.7%のため20.58万円と、20万円以上も税金が還付されることになります。

住宅ローン控除は、控除の対象者かどうかを様々な書類で確認するために、初回のみ確定申告を行う必要があります。

ちなみに、今回、私が控除を受けるために必要となった書類は、以下の4つです。
① 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
② 家屋の工事請負契約書 
③ 市区町村からの補助金決定通知書などの補助金等の額を証する書類
④ 市区町村等の長期優良住宅建築等計画の「認定通知書」

通常は、登記事項証明書も必要となるようですが、不動産番号さえわかるのであれば添付を省略できるようでした。

この書類を後日郵送して、住宅ローン控除の対象者であることが確認出来たら、2年目以降は年末調整にて事が済むことになります。そのため、住宅ローン控除を受けるために必要となる確定申告は新築したときまたは増改築したときの次の年一回のみとなります。

(4)株や不動産で収入があった時

公務員も資産運用は行うことが認められており、不動産経営も大規模でなければ許されると言われています。
大規模の定義:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について (jinji.go.jp)

不動産収入が20万円以上ある場合は、「給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」に該当することから、確定申告の対象となり、必ず実施しなければなりませんが、株や投資信託等の場合は少し特殊です。

株等によって収入があった場合は、税金の申告の仕方をどのように設定しているかで確定申告を行う必要があるかが変わります。

私は、大規模に売買を行っているわけでもなく、月に数度買ったり売ったりであるため、計算の手間がない「源泉徴収ありの特定口座」で投資をしています。この場合は、売買時にすでに税金が徴収されているため確定申告は不要となります。

ただし、「源泉徴収ありの特定口座」で取引をしていても、確定申告をすることで、損失が出た場合に、その損失を繰り越すことが出来ます。そして損失が出た場合も損益通算ができるため、他の口座等で利益が出た場合に相殺して、税金を減らすことも可能です。

ただし、個人的には無用な心配ですが、この口座で得た利益が多額になった場合、他の所得と合算されることで、配偶者控除や国民健康保険料などの計算で不利な影響を受ける場合があります。

株等の利益について、確定申告を行った方が得か否かは、かなり面倒なシミュレーションをする必要があるので、一般人は「源泉徴収ありの特定口座」にしておき、基本的には確定申告をしないスタンスをとる方が無難なのではないかと思います。

2 公務員が確定申告を今後することはあるのか

確定申告について、今年は例年になくマイナスのイメージが強いようです。
「納税アホらしくなる」“確定申告”来ているのに… 裏金問題めぐり政治家へ不満の声【新潟】 (msn.com)

ただし、高所得者や個人事業主の方は納税をするためであるのに対して、私のような公務員やサラリーマンは、住宅ローン控除をはじめ確定申告を行うことで税金が還付される、つまりは確定申告は行うことで得となるケースがほとんどです。

家も買わないし、医療費もそこまで行くことはきっとないという場合は、公務員で確定申告を行うことはないかと思います。

ただ、ふるさと納税や被災したときの雑損控除など、確定申告を行うことで、お金が戻ってきて得をするケースも多々あります。

最近はマイナンバーカードとスマホさえあれば、面倒な手書きを行わず、長蛇の列にも並ばずに、数十分で確定申告も完結します。
個人でご利用の方 | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)

特に今年からは、写真をとれば自動入力してくれる範囲が広がり、利便性が段違いに良くなった印象です。

面倒、お金がとられるといったネガティブな印象のある確定申告ですが、意外とやってみると簡単で、手間の割に得るものが多いと思うことが多々あります。

公務員であっても例外ではなく、一度やってみると、自分のお金がどのくらい徴収されているかも把握できるので、色々な面で一度確定申告をやってみることはお勧めです。

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