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地方公務員ってどんな残業をしているのか。

「公務員って何で残業するの?」と先日知人に聞かれました。

「いや、好きで残業するわけでもないし…」と、どう説明したらよいか言葉に詰まっていると、どうやらその人の思っている公務員の像と、最近の公務員の働き方にギャップを感じているらしいです。

公務員は定時帰りが大半というイメージをしていたのだけれども、最近の災害関係の対応や、数年前からの新型コロナウイルス関連の報道を見ると、公務員も忙しそうだと思ったので、実際、何で残業をすることになるのか知りたいとのことでした。

確かに、「残業はないのか?」と聞かれることはよくありますが、「何の仕事で残業するんだ」は、深く考えたことはない気がします。

1 実際残業はどれくらいしているのか

ちなみに、総務省の令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要によると、地方公務員全体の平均年間残業時間数は149.6時間です。月だと12.5時間なので、2日に1回1時間弱残業するかどうかというレベルです。そんなに多いわけではなさそうですね。

「一般論はそうだけど、実態は分からんじゃないか。」
まあ、そのとおりです。実際に、私も大体平均以上の残業を毎年しています。

特に近年は、地方自治体は新型コロナの対応もあり、振り返ってみると結構な時間、残業をしていたようです。

残業時間を記録している自分の手帳を見返すと、過去5年間の一番多い年で年280時間ほどで、月45時間を超えた時も数度ありました。ただ、10年前に働き方改革が始まる前は、この倍ほど残業をしていましたので、「多いけれども、何とかなる」という感覚です。

ただ、今はコロナ対応もひと段落ついた感があり、自治体としての通常業務にシフトしてきたこともあって、年々残業時間も減ってきています。まだ3月は終わっていないのですが、このままいけば、平均未満の残業時間で年度末を迎えられそうです。

2 実際に残業して何をしているのか

多くの場合は日中出来なかった事務作業です。

かつては、残業の代表格であった「遅くまで会議!」も、働き方改革の号令がかかり、時間外に会議や打合せが入ることは少なくなりました。

もちろん急ぎの仕事もありますし、外部委員を招いた会議の場合、日中に開催することが困難な場合もあるため、時間外会議もゼロではありませんが、10年前と比べて5~8割ほど減っているような感覚があります。

しかし、時間外の会議は減少していますが、会議自体も同じくらいなくなっているわけではありません。確かに少なくなっていますが、夜に会議を組もうとした分を短くして日中に詰め込むといったことも結構あります。

そういったこともあり、今も昔も残業はあるときは結構あります。その残業の中身は所属先によって異なります。

私の場合、外部派遣の期間を除けば、主に議会と土木系の業務に携わっていました。

(1)議会で残業する場合

まず、議会の場合ですが、日中に議員からのヒアリングや様々な調整など、できるだけ議員がいる日中に打合せ系を詰め込みます。繁忙期は2~3議員を同時並行となったりするので、打合せに次ぐ打合せで、気がつけば夕方ということもしょっちゅうです。

予定していたすべての打合せが終わると、その後に対応記録の作成作業に入ります。議員が気にしていたことや、こちらが答えたこと、懸案事項の進捗状況など、自治体幹部が後で見ても分かるようにまとめておきます。

議会関係の業務が終わっても、他の仕事がなくなってくれるわけではないので、記録作成が終わると、自分の持っている他の業務を捌きます。国や県からの照会、団体からの要望事項への回答作成依頼など、日中溜まっていた照会物を適切なところに割り振ります。

議会関係で残業する場合、日中は打合せで席にいることができず、夕方以降、日中溜まっていた事務作業を行うために残業する、このパターンがほとんどです。

議会の開催が近くなると、答弁の調整などで、会議自体が遅くなることもありますが、それはあくまでも集中的なことです。

(2)土木系業務で残業すること

道路関係の所属にいたときは出張が多く、日中に出ている分、夕方以降にそのつけが回ってきて、残業することになるというパターンが大半でした。

高速道路やバイパスなどの早期整備を近隣自治体とともに、国や高速道路会社に陳情する業務を担っていたため、国や公的道路会社の事務所、そして近隣市町村や県へ、月に何度も通う所属でした。

訪問して、そのまま帰宅できることはあまりなく、その日の成果を上司に報告したり、相手方とのやり取りの記録をまとめたりと、所属に帰ってやることは山積みです。

議会関係と同じく、自分の出張中に、自分の他の業務が片付いていることもなく、夕方に所属先に戻って照会物を片づけたり明日の出張の準備をしたりと、これもまた、あっという間に時間が経ちます。

また、土木関係は、当時は市町村や国・県の関係者との懇親会という名の飲み会も多かったため、そうした予定が入っている時は、机に残っている仕事を置いて、全てを明日以降にゆだねて参加していました。これが、翌日以降の残業の種となります。

3 わざと残業している人っているのか

全くいないとは言い切れませんが、わずかだと思います。

自分が、結構遅くなったと思っていても、周りにまだ人が残って仕事しているという経験は結構あります。皆、だらだらと仕事をしているわけではなく、電話も鳴らなくなった18時以降黙々とパソコンをたたいています。

もしかしたら、仕事をしている振りをしていて、残業代をもらおうとしている人がいるのではないか?
このように聞かれたこともあります。

正直なことを言えば、あまり割に合わない行為だと思います。体調面でも精神面でも、長時間の残業は負担が大きいです。個人的な感覚として、残業時間が月50時間を超えると、体調に悪い変化が現れます。

残業が多くなると、まず慢性的な寝不足になります。

大体、平均して日に3時間の残業なので、業務が終わるのが20:30として、帰り支度をして家につくのが22時近くになります。そこから、夕飯を食べて、お風呂に入り、床についたところで、どう頑張っても24時近くになります。6時間ほどしか睡眠時間が取れません。

夕飯を食べてから寝るまでの感覚も短く、消化不良です。胃腸にも良くないでしょう。若い時なら、無理をしてどうにかなりますが、年齢を重ねると夜間の食事は胃が食べ物を受け付けなくなります。

家族とも会話がありません、さすがに夜遅くに帰ってきても皆寝ています。起こすのも忍びないので、そっと寝顔を見るだけです。

これが数カ月続くと、日中ずっと眠くなるし、食事も楽しくなくなります。そして、慢性的に疲労が重なって、気持ちも滅入ってきます。

1時間無理やり残業しても、たかが数千円です。心身に多大なダメージを負うリスクを背負ってやるほどのものではありません。

少なくとも私も私の周りで残業している人も、「一刻も早く仕事を終えて帰りたい」という気持ちは一緒だと思います。

仕事を放りっぱなしにするという訳ではなく、今日やらなくてはいけないことはしっかりとやり切ったうえで、早く帰りたいというものです。

人によって、「今日やらなくてはいけないこと」の定義は異なってくると思いますが、好きで残業する人は結構なレアケースではないかと、自分の周りを見ると思います。

4 まとめ

先日、以下の記事を拝見しました。
夫は公務員ですが、残業の日の帰宅は「22時」です。市役所は17時に閉まるので結婚すれば「家事・育児」を分担できると思っていたのですが、なぜこんなに「残業」が多いのでしょうか? (msn.com)

今時、公務員は9-17時が絶対ということを信じている人は、そう多くないと思いますが、じゃあ、具体的に残業して何しているのかを考えたことってあまりなかったと思い、まとめてみました。

来年以降、個人的な残業時間がどうなるかは分かりませんが、できる限り早く帰れるよう仕事をしていきたいものです。

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