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公務員家を買う⑥(土地の目途が立つ)

前回、住宅展示場のハウスメーカーに好感触を得たので、住宅購入に向けて、カードが一枚増えたと感じました。12月時点の自分の手札は以下のとおりでした。
 ・地元の不動産業者に紹介を頼んだ中古のマンション
 ・住宅展示場のハウスメーカーに依頼
 ・今度訪問を予定していた新築の建売

今後は新築の建売を見学に行って、ピンと来なかったら、他の地元の不動産業者を訪問するかと考えていたところ、妻の両親から土地を使わないかと提案がありました。

1 土地に関する提案

提案内容は、私たちが今住んでいる家から遠くない場所に、妻の両親が家屋付きの土地を持っており、そこに住宅を建てないかというものです。話を詳しく聞くと、以下のような背景があるようです。
 ・家屋は空き家になっているため治安の面で心配がある。
 ・定期的な近所への挨拶の負担が大きい。
 ・相続の際に争いにならないよう土地の問題をはっきりさせておきたい。

確かに私たちが住むことによって、課題は解決されるだろうし、私たちにとっても悪い話ではないように思えました。メリットとデメリットを整理します。

2 両親の土地に建てるメリット

 ・想定よりも広い住宅を建てられる。
 ・妻の両親の心配が取り除ける。

土地の購入費用を考える必要がなくなり、その分を住宅建築に充てることができます。提案のあった土地は、相当程度広かったため、家の間取りや内装をグレードアップすることもできます。

そして、妻の両親にとって、土地の問題は長年の懸案事項であり、今後どうするかを悩まれていました。定期的に状況を確認したり、ご近所へのあいさつ回りをするのも負担になっているようです。

3 両親の土地に建てるデメリット

一方で、全く問題がないわけではなく、以下のデメリットもあると感じました。
・使用貸借の不安定さ
・相続の新たな問題
・解体及び造成の費用

親族の土地の上に住居を構えるため、地代を払わないのであれば、使用貸借という形になります。使用貸借は、民法593条に基づき、費用を負担せずに使用することを想定しているため、土地を借りる側の立場が強くありません。

つまり、何らかの理由があり立ち退きを要求された場合は、退去することもあり得ることになります。想像したくないケースですが、離婚することになった場合、または死別した場合に、購入した住居を手放さなくてはいけません。

参考 民法593条
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
第五百九十三条の二 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。

また、相続の際にも争いの種になります。相続される遺産の大部分を、当該土地が占めていた場合には、他の兄弟からすると不公平感があり、金品による補償を求めるなどの事態に発展する可能性もあり得ます。

加えて、解体や造成の費用も負担する必要があります。旧家屋が残っているため、取り壊しを行い、その後、新しく住居を建てるための造成費用として、合計600万円ほど要するだろうと妻の両親から伝えられました。

4 土地の使用の結論

メリットデメリットはありましたが、結論としては土地を借りて、その上に住居を立てることを決めました。理由は2つです。
 ・住宅購入の目的を満たせること
 ・デメリットにはリスク低減策があること

もともと、住宅購入における譲れないものは以下のような住宅でした。
・3LDK以上の住空間
・職場とも互いの実家とも適度な距離
・趣味が充実できる

2階建ての戸建てを立てるのであれば、3LDK以上の住空間は優に確保することができます。

また、土地購入の資金を、妻が茶道のために使用する和室に費やしたり、私の書斎を作ったりするなど、趣味の充実を図ることもできます。

そして、たまたまですが、立地も申し分なく、当初の目的を果たすには十分の住宅を手に入れることができそうです。

一方で、デメリットに対しては、以下のとおり対応することとしました。
・使用貸借契約書を作成して、一定期間、土地を使用することを明記する。
・相続の際に問題にならないよう、遺産の分割案を関係者で共有する。
・最悪の事態(家に住めず、オーバーローン※となる)に備えて、住宅ローンの借入は最低限にする。

※オーバーローン:住宅ローンの残債が当該住宅の売却価格を上回っている状態。

以上の点を考慮しつつ、注文住宅を建てる依頼先を決めることとしました。

5 依頼先を決める

そもそも、注文住宅を建てる場合、3つの依頼先から選択することになります。「ハウスメーカー」「地域の工務店」「建築家(設計事務所)」であり、それぞれ特徴・強みがあります。

ハウスメーカーは、幅広い分野に知見があります。設計から施工に加えて、資金計画からアフターサービスまで、家づくりの一から十を網羅しているため、「この課題については誰に聞こう?」といったことがないのが特徴です。また、経営基盤や材料調達も強いため、工期が遅れにくいことにも強みがあります。

地域の工務店は、地域の状況を把握しており、その土地にあった住宅を建築してくれます。ハウスメーカーに比べて地域密着・小規模で動いていることが多いことから、機動力が高く、トラブルや緊急の打合せ等の対応が素早いところが特徴です。

建築家(設計事務所)は施工関係の会社から独立しているため、依頼主の思いを100%具体化してくれるところに強みがあります。設計だけでなく、実際に施工を行う工務店の手配を行うことも多く、依頼主とともに完成していく住宅をチェックしてくれることもできます。

それぞれ、強みがありますが、私たちはハウスメーカーにお願いすることに決めました。理由としては、地元の工務店及び、建築家は、依頼先によって善し悪しが分かれることが多く、信頼できるところを見つけるまでに時間がかかりそうと判断したためです。

子供の進学等を考えると、来年の2月までに建築を終える必要があることから、工期のズレが生じにくいと思われるハウスメーカーを選択することとしました。逆に言えば、多くのお金をかける買い物であるため、時間さえ許せば、工務店や設計事務所に依頼することもありだと感じました。

どこのハウスメーカーとするかは、住宅展示場で好印象を持った二つのメーカーを重点に置いて、以下の3点で比較することとしました。
・今の時点で、どのような間取りとなりそうか。
・外構等も含めて、どれくらいの予算になりそうか。
・来年2月の引き渡しまで、どのようなサポートをしてくれるのか。

土地の目途がついたことをハウスメーカーにも伝え、間取りと見積書、今後のスケジュールの資料作成を依頼したところ、どちらのメーカーも2週間ほど時間があれば、説明できると返信が来たので、両者の説明を聞いて、メーカーを決めることとしました。

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