戦場の子連れ狼映画『ネイビーシールズ:ラスト・ソルジャー』
唐突だが、
君はジョニー・ストロングを知っているか?
そうか!!
知らないか!!!
じゃあ、こんな駄文を読むのは一旦お辞めなさい!
今すぐ各自調べるように!!
…と言いたいところだが、日本のwikipediaには項目がないんだな!!これが!!!
知らない人からしたら、
とりあえず名前が強そう。
そんなイメージを持たれるかもしれん。
…という訳で、まずは米俳優ジョニー・ストロングの簡単な略歴をご紹介しようと思います。
デビュー当時、有名どころだとセガールの『グリマーマン』スタローンの『追撃者』の2本でも脇役を演じた実績もある彼氏。
上記の2本は俺的な傑作なわけだが、すまん!ストロング!
全然記憶に残ってねえや!
このように俺の見る目のなさもあるもしれんが、この時点ではストロングはまだまだストロングではなかった。
しかし、無印『ワイルド・スピード』にてレティを病院に送り届けるというナイスアシスト(その後出番なし)をこなし、続く戦争大作『ブラックホーク・ダウン』では鬼のようなM14捌きで狙撃するデルタ隊員を演じるなど、どちらも脇役ながら劇中で確かな仕事ぶりを披露。
特に彼が『ブラックホーク・ダウン』で演じたシュガート軍曹の鬼エイムに一部のミリオタは黄色い歓声を上げたのであった。
一気に名を挙げたストロングであったが、肝心の主演作は中々作られず仕舞い。
悲しいかな、知ってる人は知っている…知らねえ人は全然知らねえ状態が長らく続いていた。
かくいう俺もキャスト欄でジョニー・ストロングという名前を見つけたかと思いきや、よく見るとマーク・ストロングだった機会が一度や二度ではなかった。
同じ強し(ストロング)という名なのに、どこで差がついたのか…と遠い目になりそうであったが、そんな彼氏が満を持して『ルール無法都市』にて念願の主演をゲット!
日本では思いっきりDVDスルーな作品ながら、やたら凝ったマグチェンジ、車のタイヤホイールをバリケードにした痺れる銃撃戦を披露!
ストロングのストロングゼロ(ややこしい)と言わんばかりに、ガンアクション度数の高い作品だ。
本作の監督ウィリアム・カウフマンの演出を見るにつけ「ジョニー・ストロングを活かせるのは、彼しかいない!!」という印象をファンに根付かせたのであった。
そして、いよいよ印象から確信に至ったのが二度目のタッグ作『デイライツエンド』である。
一応ジャンルとしてはホラー作品でありながら、ゾンビとヴァンパイアを足して二で割った化け物相手にゴリゴリのCQBを繰り出し、『ブラックホーク・ダウン』以来のM14捌きを披露!
ホラー模写よりタクティカル仕草にトゥーマッチな気合を感じる仕上がりになった。
この作品で安心と信頼のストロング&カウフマン印を確立。
「また組んでくれ!頼む!」なんて俺も神社の絵馬や七夕の短冊に書く勢いであったが、果たしてその願いは思いがけなく叶った。
それが今年2024年にシレっと公開された『ネイビーシールズ :ラスト・ソルジャー』だ!!
戦場で孤立無援になった特殊部隊員と幼女がサバイブすべく、戦場を駆けるのが主なあらすじの本作。
『13時間』、『ローンサバイバー』、『アメリカンスナイパー』、『タイラー・レイク命の奪還』をジョニー・ストロングで割りました、とでも言わんばかりの作品に仕上がっている。
気が付けば、劇中の鬼気迫る逃避行、いよいよ始まる限界子連れ狼サバゲーに目を見張ってしまうだろう。
原題は『WAR HORSE ONE』
本国での公開の際に「もし日本で公開されたらネイビーシールズ〇〇〇なんて邦題がつくのかなあ!」などと冗談で思っていたら、マジで予想通りになったのであった。
出来れば予想が外れて欲しかったなあ!
ともすれば十把一絡げな激安タイトルだが、舐めてもらっては困る。
かつてスコット・アドキンスの傑作『ONE SHOT』が『ネイビーシールズ:ローグネイション』というタイトルを冠した経緯もあるが、本作も同様だ。
通算3度目、久しぶりのタッグだが、ストロング&カウフマン印のミリタリー模写は本作でも健在!!
実際やってみると地味に難しいライフルを構えた際のスイッチング、弾詰まりしたM4の排莢動作、サイレンサーの銃撃音、凶悪な性能を発揮するガバメント…
といった、ミリオタならビリビリに痺れるムーブを「これでもか!」と繰り出す。
いわば『細かすぎて伝わらないタクティカル仕草選手権』の様相を呈している。
そして、タダの痛快丸かじりミリタリー映画で済ませないドラマも必見だ。
仲間を失った男と、家族を失った幼女の不器用かつ無骨なやり取りは実にグッとくる。
そして最初はただの任務としての警護対象であったが幼女が、いつしか任務以上に彼自身の人としての尊厳を守る対象に変わっていく。
そして血だらけ傷だらけになりながらも修羅場に突入していくジョニー・ストロング。
さっきまで他人だった幼女の為に命を張っていく。
これに熱くなれねえ奴はいないはずだ!!
おかげさまで後半の生きるか死ぬかのヤケクソな戦闘模写がキラリと光っている。
泥臭さMAX、スタイリッシュさは皆無だが、死生眼を持つ子役アシーナ・ダーナーの演技が本作の一服の清涼剤になっている。
戦場のロッタちゃんと化す彼女の演技もジョニー・ストロングにひけを取っていない。
今回は共同監督・脚本・主演・作曲・VFX監修、メイク監修、ロケハン…と、五秒に一回はエンドロールでジョニー・ストロングの名前を見かける本作。
こんなに一つの作品のスタッフ枠で主演の人の名前を見かけるのは中々ない。
本作に掛ける彼の並々ならぬ気合を感じられる。
同じくらいの頻度でウィリアム・カウフマンの名前も見かけるわけだが、予算は確かに大作に比べれば低いかもしれん。
だが画は決して負けていない。
『観た後にサバゲーへ行きたくなる映画は傑作』という個人的な基準があるのだが、本作は見事に150点で満たしている。
実に血湧き肉躍る作品だ。
たとえメジャーじゃない中規模な作品でも、大作を喰いかねないド迫力のアクションを作れる。
それを改めてジョニー・ストロングは本作で証明した。
脇役での下積みが多かった彼のキャリアだからこそ、実に感慨深い。
日本では未体験ゾーンの映画たち特集の一本として地域限定、短い期間でしか上映されなかったのが悲しいところだが、是非配信が来たら是非チェックして頂きたい。
そして何より、余計なお世話かもしれんが今後もストロングになってくれ!ジョニー・ストロング!!
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