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クトゥルフ神話はお好き?

1.はじめに

 やぁ。

 今日はぼくが愛読するアメリカの怪奇小説家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトを紹介したい。

 氏はもはや説明不要の世界、クトゥルフ神話というオリジナル世界を創出した人だ。この世界については幅広い作品が参加しているのでご存じの方は多いはずだ。デモンベイン、FGO、ニャル子さんetcetc。

 ニコニコ動画とかでクトゥルフ神話TRPGのリプレイ動画をご覧になったこともあると思う。ぼくもそういった動画が好きで、『登山家たちのクトゥルフ神話TRPG』『風変わりな旅行』『ラフヘローの結末』『闇をゆく者達の宴』『沼男は誰だ?』等の作品を何度も見ている。

というわけで今回、氏の作品の中からこれは!と思うものを紹介しようと思う。

2.超オススメの短編

『宇宙からの色』(The Colour Out of Space)

あらすじ
 私はアメリカ合衆国ニューイングランドの地方都市アーカムへ生活用水を提供するための貯水池を建設する計画のため、予定地の調査に赴いた。
 そこは『焼け野』という地元民誰もが恐れる土地であった。ネイハム家が消えたか、死んだかしたというその場所について、アミ・ピアースという老人から話を聞くことができるという。
 『焼け野』に落ちたという『やわらかい隕石』。それがもたらした事態と顛末についてを・・・。

本編について
 
TRPG的に言えば、はTRPG動画視聴者の立場に近く、探索者(PC)は若き日のアミ・ピアースだ。
 調査!調査!調査!ファンブル!調査!聞き耳!調査!幸運!SANチェック!的な感じで!(うろおぼえの物語中イベントを順番に並べた)

 TRPGシナリオとして読むと短いと感じるかもしれないが、ラヴクラフト作品に流れる急流のような文章の色合い、物語の筋立てを震えるほど感じることができる良品。
 クライマックスにおいて脳内にまざまざと情景が浮かび、鳥肌がたつほどの臨場感を感じた。何度も読んでも良い!
 要素、用語、事件について複雑なところがなく、ともかく取っ付きやすい。ラヴクラフトを始めるならこれが収録されている第4巻をオススメしたいくらいだ。

 ある程度クトゥルフ神話を知っている人向けに、本タイトルを収録するラヴクラフト全集4巻がオススメである根拠を、収録作品ごとに『タイトル』『おすすめポイント』『個人的五段階評価』でまとめる。

・宇宙からの色/読んでくれ!たのむ!/☆☆☆☆☆
・眠りの壁の彼方/冒涜的ウルトラマン/☆☆☆
・故アーサー・ジャーミン(略)/血塗られた一族の秘密/☆☆
・冷気/お前ドクターウェストの友達だろ/☆
・彼方より/お前ドクターウェストの友達だろ/☆
・ピックマンのモデル/怪談話/☆☆☆☆
・狂気の山脈にて/テケリリ!テケリリ!/☆☆☆☆☆

3.超オススメの長編

時間からの影』(The Shadow Out of Time)

あらすじ
 ナサニエル・ウィンゲイト・ピースリー教授アーカムミスカトニック大学において政治経済学の権威だった。しかし授業中、原因不明の昏睡状態に陥り、自意識が回復したのは5年以上の歳月を経たあとのことだった。
 だが5年間眠り続けていたのではない。彼が周囲に聞いたところによると、彼はすぐに目を覚まし、世界を駆け回って何かを調べていたというのだ。いったいどのような心理学的精神分裂がこのようなことを成さしめたのか?
 それを調べるさなか、オーストラリアのとある発掘現場から写真が届く。それはこのところ彼の夢を悩ます情景に現れる建築物の一部だった。
 なぜ夢の中の情景とそっくりおなじものが太古の遺跡から発掘されたのか?5年間の記憶喪失との関係は?

本編について
 PCはあらすじでも紹介したピースリー教授。
SANチェック!SANチェック!まだSANチェック!
調査!目星!調査!またもSANチェック!最後にSANチェック!
教授が可愛そうだろ!いいかげんにしろ!(訳注:もっとやれ)

 大長編。これ一本読めばラヴクラフトの考えたクトゥルフ神話世界がどんなものか大体分かる優れもの。『狂気の山脈にて』も読めばほぼ完璧じゃなかろうか。
 畳み掛ける文明論、政治論と技術への夢。宇宙のスケール感と人間のちっぽけさ。こころせよ、にんげんなんてうちゅうからみりゃ、ふいてとぶようなもんだ!
 これぞラヴクラフトの真骨頂。20世紀初頭版『これがやりたかっただけだろうシリーズ』(褒め言葉)。

 ある程度クトゥルフ神話を知っている人向けに、本タイトルを収録するラヴクラフト全集3巻をまとめる。

・ダゴン/この名前にピンときたらああ窓に!窓に!/☆☆☆
・家の中の絵/怪談/☆☆
・無名都市/怪談/☆
・潜み棲む恐怖/館もの/☆☆☆☆
・アウトサイダー/怪談/☆
・戸口にあらわれたもの
 /いかにも私は親友の頭に6発の弾丸を撃ち込んだ/☆☆☆☆☆
・闇をさまようもの/館もの/☆☆☆
・時間からの影/フライングポリプ/☆☆☆☆☆

4.個人的なオススメ

・インスマウスの影/探索TRPGのシナリオ見本になる、かも
・闇に囁くもの/彼は結局、なんだったのか
(ラヴクラフト全集1より)

・チャールズウォードの奇怪な事件/なんで『彼』を主人公にした魔狩人伝説奇譚が書かれないのか不思議でならない
(ラヴクラフト全集2より)

・ダニッチの怪/イグナイイ・イグナイイ
(ラヴクラフト全集5より)

・番外 
 地を穿つ魔/ラヴクラフト没後にラヴクラフトの新刊が読めるなんて…!
(タイタスクロウサーガ・地を穿つ魔)

5.結論

ラヴクラフトって、ほんとうに良いものですね!

ほぼ全集全巻振り返ったぞオイ。

 なお一言も触れてない6,7巻ですが、6巻は『ランドルフ・カーター・ユニバース』で7巻は『ラヴクラフトによる毛色の違う短編集』なので選外としました。
 6巻はまた趣深い世界です。一言で言えば
『や さ し い せ か い』と言ったところでしょうか。
ご興味を持たれた方は是非。

 今回突発的にこんな紹介記事を書いたのは、C96打ち上げの出張バー・メキシコにて遊行剣禅氏より発せられた「興味がある」の一言によります。
またタイラダでん氏と『宇宙からの色』が最推しである点で一致したので自信と天啓を得ました。

以上だ。
じゃあね。

次回はおバカSFの話をする。

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