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「泣く子はいねぇが」感想

吉岡里帆の映画は観に行くことにしているので、「泣く子はいねぇが」も封切りすぐの週末に観に行った。

愛媛県では、松山市中心部の大街道にある「シネマサンシャイン大街道」だけで上映している。この映画館は、割とマイナーな映画を上演する事が多く、ここでしかやっていない作品を観るために何度も来たが、来年早々に閉館が決まった。上演する映画のジャンルのせいか、駐車場がないからなのかわからないが残念だ。

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親になることからも、大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描く。

1ミリも共感できないダメな主人公と、離婚した元妻(吉岡里帆)と、優しい周囲の人々、そして守るべき伝統である「ナマハゲ」。

少ないセリフ、説明がほとんどなくて抑え気味の演出、BGMも少なくて道路や風の音が聞こえるシーンが多く、言ってしまえば「マイナーな邦画のパターン」で作られた映画である。まさに単館系の映画っぽい。

公式サイトの説明によると「主人公(仲野太賀)が大人へ成長する姿を描く」とあるが、始まってすぐに大失敗して全てを失い東京へ行き、ウジウジと煮え切らないまま秋田に帰り、元妻(吉岡里帆)との復縁を夢見て日々を過ごし、結局どうにもならず…、と特に成長したとは思えない描かれ方だと思う。

仲野太賀に吉岡里穂、柳葉敏郎、余貴美子、古川琴音、板橋駿谷とキャストも充実していて、もっと面白くもできた題材だと思うが、そういう映画を作りたかったわけではないのだろう。

最後に主人公がナマハゲになって感情を爆発させるシーンがあり、そのカタルシスに至るために、それまでの退屈なシーンをあえて続けていたのか?とも思える。

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吉岡里帆は、そんな映画の中でシングルマザーの強さとつらさをリアルに演じていた。テレビドラマだと割と画一的なキャラクターを演じさせられている気がするが、こんな映画を観ると「引き出し多いな」と実感する。

娯楽作ではなく、秋田に行きたくなるような観光映画でもないが、テレビで見られないタイプの吉岡里帆のためにお金を払って観に行く価値はある作品だとは思う。


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