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君たちはどう生きるか、の感想


黒澤明監督の『夢』という映画の宮崎駿監督版…

たぶん似たような事を感じた人は多いと思います。

ネタバレ無しで説明しようとしたら、
例えとしては、一番イメージしやすいかもしれません。

面白いか面白くないかで言えば、
ジブリ映画好きなら十分に楽しめる内容でした。
正直、ラストのカタルシスの無さや後を引かれないぶつ切り感は、なるほど、こういう風に作っても許されるのか、って力のある監督がフィーリングで作ってる風で、アッサリしすぎて少し苦手です。

ただ、それが問題かというと、それすらも、ザ、ジブリって世界観のプロモーション映像を10分で作るのではなくて、逆に並の大作映画を超える分数で作ったような感じで、楽しめます。

へんな例えになりますが、全力でジブリをオマージュした新海誠監督の『星を追う子ども』から新海誠監督らしさを全て抜き、なぜかオマージュされた側のジブリで丁寧にセルフオマージュ的に作り直したとしたら、こんな感じになるのでしょうか…


映画館で観るべき映画か…


個人的には、映画館で観て良かったと思います。
たぶん無いとは思いますが、Netflixとかで観たら、途中で集中力が途絶えてしまい、後で続きを観ようかと考えているうちに、そのままになってしまう、Netflixでseason2が打ち切りになるドラマのデータ元となる一視聴者化するでしょう。

けっしてつまらない映画では無いけど、
たぶん、もっとエンタテインメントで楽しめる未見の動画コンテンツは溢れており、お金払って映画館で観るとかハードル一旦越えない限りは、私にはこの映画を楽しめなかったと思います。


この映画の一番の良さは…


やはり、ジブリらしい映像ですね。

すごく、過去に観たジブリ作品を思い出し、ジブリっぽいとか楽しめました。

『ハウルの動く城』の映画が始まる前の宣伝ポスターで、脚の生えた城が動く絵を見て、期待にワクワクしてくるようなジブリらしさを、事前広告ではなく、映画の映像の中でシーンが切り替わるごとに、この後は、この後は、とかワクワクさせ、楽しませます。

今回、事前のワクワクプロモーションをしようと思えば出来たと思うけど、それをやるとハウル以上に、観終わった後の事前のイメージと違った感のギャップが強くなったと思います。

そういう意味では、事前広告無しを、映像の中での期待感の連続にすり替えた手法は、鈴木敏夫プロデューサーの冴えたセンスだと思います。


最後に…

なんか自分で書いてて、
皮肉の多い嫌味でつまらない感想だな、とか感じています。

たぶん、分かる人には分かる自伝的要素とか読み解くと、また違った感じ方が有るのだと思います。

やはり、繰り返しになりますが、あのラストは苦手です。
でも、逆にあのラストだから、こういう感想を書きたくなる、ある意味、心に残ったのかもしれません。

良い意味よりも悪い意味で、次のシーンへの期待感が裏切られ、分からせたいのか、分からせたくないのか、答え合わせを期待してないような達観した謎かけや脈絡のなさに溢れている感じです。

でも、それでも溢れてくるというか、紡ぎ出しちゃう娯楽性の残滓みたいな、ある種のセンスが薄くもなく深くもなく、続いて行く映画です。

宮崎駿監督の還暦以降の作品は、どれもそんな感じじゃないかとか思わなくもないですが、それでも今まで作品に振り撒いていたコダワリと言うか物語への魔法のようなモノが、今回の映画では少しアッサリしていて、それなのに今まで以上に広げたイメージや個人の想いを2時間の映画に無理やり収めたら、シナリオやアクションにあるフィクションと言うかシュールな作りが、万人受け出来なくなってしまい人を選ぶ映画になってしまった。

これが、今回の映画で大きく評価を分けている原因かもしれません。



2023/08追記
この感想の後に、以下、ネタバレ考察の記事も書いてみました。😅

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