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段ボールを運んだ日々 事務現場のアナログ業務に想うこと

 つい最近、定年退職をしたNさんのサポート業務が終わりをむかえた。サポートした業務の内容は重たい段ボールを棚に収めること。この段ボールは、事務作業で出た書類が隙間なく詰まっているのでとてつもなく重い。

 脚と腰に若干の違和感があるNさんが怪我をするとまずいと言うことで、筋トレが趣味な私に話が回ってきた。普段からバーベルを上げるのに喜びを感じる私は二つ返事でOKをした。そしてこの仕事がNさんが定年退職するまで7年間続くとは思っていなかった。

 今はDX化が叫ばれる世の中で、業務効率化や紙の書類をなくす動きが加速している。私も業務改善という大義の元に、業務効率化をするためのプログラムを日々書いている。もうほとんどの仕事がPCで完結しているので、基本的には机に座りっぱなし。それだからか、Nさんとの段ボール運びは意外と楽しいひととき。DX化と段ボール運び。対照にある仕事で何だか不思議な組み合わせである。

 なんと言っても、この仕事の醍醐味はNさんと段ボールを倉庫に運んだ後、休憩場所で一緒にお茶をして昔の仕事の話を聞くこと。自分にとっての頭の清涼剤であり、この時だけ業務効率化やDX化なんて頭から消失した。

 そして段ボール運びが終わって、PCの前に座った時、DX化や業務効率化をして皆んな幸せになったっけと頭に色々な考えがよぎる。業務を効率化して仕事の効率は上がっているのに減らない仕事。挙句の果てに効率化した分、人を減らすだけの施策に走ったり。。。

 DX化や業務効率化の波に飲み込まれている私たちはどこへ向かうのか。定年を迎えたNさんは新しいフィールドに向かって行った。Nさんが良い時代に定年を迎えられたと言えばそれだけかもしれないが、それでも大切なものを忘れて、時代が進んで行っていないだろうか。

 まだ私の中で忘れ物はなんなのか答えは出ていないが、まだまだ考え続けたいと思う。

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