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【2/14, 2024】米国デジタルヘルススタートアップ"Anatomy Financial"の資金調達ニュース

今回は少し前になりますが、2月中旬にシードラウンドでの資金調達のニュースが発表された「Anatomy Financial」です。 病院やクリニックでの利用を目的とした、AI を活用したファイナンス管理自動化のソリューションです。USに加えて欧州、東南アジア、イスラエル、中国、インドにもオフィスを構える著名なVC、Lightspeed Venture Partnersを含む投資家からの資金調達です。


About "Anatomy Financial"

・国:米国
・創立年:2022年
・資金調達ラウンド:シード
・主な投資家:Lightspeed Venture Partners
・総調達金額:約$12M
・サービス:病院の保険会社との医療費請求プロセス自動化ツール
・事業モデル:B2B - 主な顧客は病院・クリニック
・website:

解決しようとしている課題

困りごと1;USでは日本と異なり、皆保険のような公的保険の利用は高齢者などに限定的であり、基本的にはプライベートの保険会社が提供する医療保険に加入しています。その保険会社も人によって違えば、各保険会社から提供される保険内容・プランも様々です。医療機関は診療内容を整理してから保険会社に医療費の請求を行います。承認されれば後日医療機関に保険会社から支払いがされます。その詳細データ(EXPLANATION OF BENEFITS "EOB"と呼ぶらしい)が紙で病院へ送られてきて、それを医療事務スタッフさんがシステムに打ち込む。紙の記載をシステムに入力するという、なんとも間違いが起きやすいプロセスを踏んでいる場所がまだまだ多いとのことです。1クレームあたりその作業に7分もかかるとのこと。だいぶ負担大ですね。



困りごと2;どの保険会社から振り込みがあったかどうかの一元管理・会計の照合が負担。今はこれをExcel Spreadsheet等で各自バラバラに管理していること多いらしいです。大変!

ソリューションと事業モデル

これらの困りごとを、病院・クリニック向けの自動化ソフトウェアソリューションをB2Bのモデルで販売しているようです。非常にニッチな事業に見えるのですが果たしてスケールするビジネスなのか、これはスモールビジネスであってスタートアップビジネスではないのではないか、なぜLightspeed Venture Partnersが出資しているのか、など色々と疑問が湧いてきます。

ただこの事業を成立させるために必要なデータや手続きを良く見てみると、電子カルテ、請求データ、EOB、病院の会計システム、銀行口座情報などをAnatomy Financialが中心になって繋ぐことで解決するようです。ここからは想像ですが、つまり、事業が進捗するにつれて様々な病院の経営状態に関するデータが蓄積されることになり、また、医療データも一緒に溜まっていくことになります。もしかすると、ある時点から病院の医療費請求支援サービスという今の事業から大きく離れて、ビッグデータを扱った新たなスケールしそうな事業への展開を見据えているのかもしれません。それを踏まえて、このようなデータに自然とアクセスできるサービスは何かと考えた場合に、一見いぶし銀な現在のサービス形態が最善となったのかもしれません。(全く予想が外れているかもしれませんが。)



日本では皆保険であり、このような医療費支払い請求は米国ほど複雑化していないと思うので日本でのニーズは小さいかもしれませんが、将来目指す事業から逆算して短期的にどのようなサービスを立ち上げながらcapabilityやデータを獲得するかを考える必要がある点は、どの事業でも大事なのかなと思いました。(スタートアップ・新規事業の場合、そんな余裕がないことは多いと思いますが。)

経営チーム

SashaさんとCallumさんというご夫婦で創業されたようです。Sashaさんは、前職で医療費請求プロセスが大変なことに課題を感じていたそう。Callumさんは企業の従業員向けのフィンテク系プロットフォームサービスを販売する企業の創業者です。実際に課題を感じていた人と、その課題解決が可能な技術を持っている人の組み合わせですね。

最後に

著名な投資家のデジタルヘルス領域への投資分析を日々している中で、割となぜ一見このようなシンプルなサービスに著名な投資家と大きなお金がついてくるのか?、と不思議に思うケースに多く出くわします。恐らくほとんどの場合、私の見る目がないのとアクセスできている情報が相当限られているからだと思うのですが、その答え合わせのためにも、継続的に動向を見ていきたいと思います。

おしまい。

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