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【シン・仮面ライダー感想】 庵野は好きにした ※ネタバレあり

シン・仮面ライダーを見てきました。
シン・ゴジラにハマってから、何だかんだ「シン・シリーズ」は劇場で全部見てきた。結構思い入れもある。
でも、仮面ライダーシリーズはほぼ初見。年の離れた兄の影響で、なぜか『仮面ライダーBLACK RX』とかV3を少し見たことがあったくらい。

なので、仮面ライダーの劇場版というよりも、庵野監督が描く「シン・シリーズ」の最新作として、ワクワクとドキドキで劇場に向かった。


私は好きにした

見たあとに一番最初に思った感想、それはシン・ゴジラのこのセリフである。

庵野監督のやりたいことを、やりきった作品なんだろうなと思った。
この作品の評価で微妙ポイントとされているのは、全部彼の拘りポイント。監督のオタク心が暴走した結果だ。


トンネルでの暗闇すぎてハッキリと見れない戦闘シーン。ブレまくりなカメラ演出。
自分は仮面ライダーオタクではないので、気づけていないが、他にも様々なオマージュ、演出があったのだろう。

正直、自分もその演出に感動したわけではない。変なカメラアングルは違和感しかなかったし、せっかくのカッコいい戦闘シーンはやっぱり明るい場所で見たかった。流石にラストの戦闘シーンはブレ演出がすごすぎて、クドいなと思ってしまった。作品の評価としては、マイナスポイント。


でも、まぁ庵野が楽しそうだからいっか、って最終的には思ってしまった。
個性もクソもない量産作品よりも、監督のやりたいことがはっきりと示されている作品は、それだけで面白い。

それが自分に合うか合わないかだけの話だ。
自分には合わなかったが、彼の強い個性は大事にし続けてほしい。日本の映画界においては唯一無二の存在なのだから。


テンポが早いのは良いけど…

相変わらずの超高速展開だ。Youtubeの冒頭公開シーンだけでも、この作品の異常なテンポの良さがわかるだろう。

このテンポの良さ、見ていて確かに気持ちがよい。この作品で伝えたいことはこれ、それ以外は重要じゃないからスキップします。そんなメッセージがハッキリと伝わってくるので、個人的には凄い好き。

特に、ヒューマンドラマよりも、人々の知恵と努力を集結して、巨大な怪獣を打ち倒すという、「ずっとヤシマ作戦」な、シン・ゴジラにはこのやり方は非常に合っていた。凄まじいテンポで問題が発生、その解決。これを繰り返していくこと自体が大きな作品の魅力になっていた。


でも、シン・仮面ライダーはこれがマイナスポイントになっていたと思う。
色んな怪人を出して、バトルシーンをたくさん描きたいのはわかる。そのためにハイテンポな作品にしないとダメなのもわかる。

気持ちはわかるが、この作品は人間ドラマをしっかりと描かないと行けなかったはず。
主人公がなぜ、怪物となって悪と戦わないといけないのか。何を思って人々のために戦うのか。ヒロインや周りの怪人たちとの対話で、どんな変化が起きるのか。

そこが非常に重要なのではないだろうか。もちろん、これはどんな作品でも重要なことだ。主人公を始め、各キャラが、物語の中で成長・変化し、それによって新たなドラマが起きる。
この論法だと、今までのシン・シリーズもこれにあてはまり、テンポのよさがマイナスポイントになるはずである。


各作品の登場人物、そこから期待されるドラマを見ていくと、むしろ、シン・仮面ライダーが今までのシン・シリーズと異なっているということがわかる。

シン・ゴジラでは、成熟した大人たちが、自分の職務を全うする話で、そこに成長や心の迷いは必要はない。

シン・ウルトラマンはそもそも主人公であるウルトラマンは宇宙人だし、敵も宇宙人。もちろん、ウルトラマンの周りの禍特隊のメンバーは人間だが、彼らも成熟した大人だし、禍異獣(怪獣)を倒す動機はハッキリとしている。ウルトラマンと彼ら禍特隊との信頼関係の構築、というドラマさえ描ききれば、作品としては成り立っていた。


一方で、シン仮面ライダーの主人公は悩み、傷つく人間らしいキャラ。そんな彼の、仮面ライダーとしての成長、ヒロインとの関係性、そういった人間ドラマを、もう少し見たかった気もする。ちょっと総集編感を感じてしまった。
でも1本の映画できれいにまとめるなら、しょうがないかもしれない。難しいところである。


CG映像に少し違和感

シンウルトラマンの戦闘シーンは完璧だった。
CGに何も違和感を感じなかったし、ギミックやビームエフェクトなども最高。多分、ぎごちない動き、不自然な動きを宇宙人っぽさ、という演出にできていたのも大きいかも。


今作品も、映像の中で、特撮部分は最高だった。でも、逆にCGに部分はかなり違和感が。
特に、一番盛り上がる場所になりそうだった1号ライダーと2号ライダーの戦闘シーン。ここのCGシーンがちょいと微妙…

なんかヘンテコリンなドラゴンボール始まったな…と思ってしまった。こここそ、泥臭い肉弾戦が見たかったのだが。


でも、サイクロンから風を受けての変身シーン。
重厚感しかないライダーキック。
こうした演出のカッコよさは、さすが、と言わざるを得ない演出力でした。

一番好きなシーンは、蜂オーグ戦闘前の、無人機を活用した超高度からの変身・ライダーキック。あーいうとんでもギミックを書かせたら、庵野は日本一だ。


好きなキャラ

あとは、今作品は好きなキャラがほぼいなかったなぁ…シン・ゴジラはモブまで含めて、ほぼ全ての登場人物好きだったのに。
竹野内豊も、あまり政治的な話というか、「大人のかっこよさ」が必要となるシーンが少なかったので、いつもの魅力が半減してた印象。


結局のところ、少ない尺でクセを出そうとすると、セリフに拘るしかない。そういった意味だと、序盤の蜘蛛オーグ、仮面ライダー2号こと一文字隼人。この2人はセリフの1つ1つに拘りを感じられたし、だから好きになれた。

あとのキャラは…正直あまり覚えていないです。
その人が幸せだと感じる社会を作る、というショッカーの設定であればもう少し怪人の登場数を少なくして、掘り下げても良かったんじゃないかなと思ったけども…

まぁ、色んなライダーキック見せたかったんだろうから、しょうがないね。


なんかんだ言って面白いです。

クセが強い作品なのは間違いない。
シン・ゴジラは、一種のジャンルの映画として完璧だと思っている。
シンウルトラマンは、刺さる人に確実に刺さるよう、特撮のウルトラマンの良さを、できる限りポップにした内容で、個人的にはぶっ刺さった。

一方で、シン・仮面ライダーは、最初に言った通り、庵野の仮面ライダーとしてやりたいことを全面にだした作品。だから、賛否両論になるのもわかる。


自分としては、シン・シリーズの中では、「ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダー、エヴァ」という順番であり、この映画の評価としてはクセが強いが、カッコいいところもあるということで、70点くらい。

もしかしたら、何かがあなたの心に火をつけるかもしれない。そんな作品。
大きな期待はせずに見に行くくらいがちょうど良いと思う。

ちなみに、バイク好きなら絶対に見に行ったほうがよい。
仮面「ライダー」であることの魅力がたっぷり詰まった作品だと思う。
詳細はこのYoutubeレビューを見ていただければ。かなり端的に分かりやすくレビューしているので、コレ見て判断しても良いかもですね。

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