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夢のアート自科学館

私は科学館が好きだ。子供の頃ももちろん大好きだったが、大人になった今でも好きなのは変わらない。今でも科学館に足を運んでちびっ子たちに紛れて楽しんでしまっている。科学館の定番の体験型の展示や科学実験ショーは、本で学ぶのとは違ってよりリアルに科学を感じられ、刺激的でワクワクするものだ。大人になった今は純粋に科学館を楽しむだけでなく、『難しい科学』をわかりやすくさらに楽しく魅せる展示方法やショーを見ながら学芸員さんたちの苦労や工夫をひしひしと感じることができ、科学館に行くといつも感動させられる。

科学館というのはきっかけにすぎないと思う。展示物は自然現象の不思議に気付いたり新しい技術を知るきっかけとなるだけであって、本格的に深く科学を知ろうと思えばきりがない。ただ、このきっかけが大切で、科学というと難しい知識の集合体のように思われがちだが、私の大学の恩師からいただいた言葉で印象に残っているものがある。「『なんでだろう』と疑問に思うことが科学の始まりなんだよ」。例えばニュートンとリンゴの話。リンゴが木から落ちるところを見て、ニュートンは万有引力の法則に気が付いた。その時代であっても『リンゴが木から落ちる』ということはなんら当然のことであり、その現象について普段の生活をしていたら何も疑問に思うことはないだろう。しかしニュートンはその現象に疑問を持ち、そこからこの歴史的な法則を導き出した。このような疑問に気付き『科学をする』きっかけとなるような科学館ができたらなと夢を描いている。

ところで最近ハマっているのは、ミーハーだがチームラボが手掛けるデジタルアートだ。今まさにどんどん進化しているデジタル技術を使ったアート。我々の生活に身近だけど、なんとなく専門的なイメージのあるデジタル技術。それをアートと組む合わせることで、誰でも最新のデジタル技術のすごさを感じることができるだけでなく、非現実的なアート空間という楽しい体験を提供している。一見かけ離れている『科学技術』と『美術』というのを組み合わせることで、革新的なものを世に生み出したというところに感動した。

専門知識を本などで文字で吸収しようと思っても難しく感じてしまい、なかなかとっかかりをつかむことができない。興味のない分野なら猶更だ。だけど、人は美しいもの、きれいなものには興味をもつことができる。チームラボのように『科学のすばらしさ』をアートで伝えることで科学を身近に感じるきっかけになるのではないかなと思い、そんな科学館を開きたいとここ数年ずっと考えてきた。
そう思っていつか、自分が科学館を開くなら。。といくつかの展示方法を温めていた。プロジェクションマッピングなど最新の映像技術を使えば、アーティスティックな空間を作れる時代だが、敢えていずれもデジタルに頼らず、自然の力でアートで非現実的な空間や展示物を作れないかと考えている。私なりに温めているこんなアート空間や展示はできないか?というものを具体的に下記にしたためていこうと思う。

虹の道

太陽光は一見すると白い、透明な色だが、じつはその中にはたくさんの色が含まれていて、これが私たちが色をみることができる仕組みである。まず考えたアート空間が『虹の道』である。部屋の小窓から、太陽光が漏れていて、さらにそれが、プリズムを通ることで、7色を床に映し出す。プリズムや太陽光は透明なのに、床に映る色は7色。この矛盾に気づき、科学が生み出す自然現象の美しさを感じてもらいたい。

虹の道

自由な植物

花の茎は基本的にまっすぐ上に伸びていく。当たり前のようだが、実はきちんと理由がある。花はあるシグナルを自然界から受けているからこそまっすぐ上に伸びる。それが光と重力である。上から注ぐ太陽に向かって伸びる特性、そして地面に向かって下向きに働く重力とは逆向きに伸びる特性がある。それらはそれぞれ光屈性、重力屈性と呼ばれるものである。この特性があるからこそ、花の茎はまっすぐ上向きに伸びていく。窓際においてある花がまっすぐではなく、太陽に向かって横向きに窓に向かって伸びていくのはそのせいである。そのおかげか、自然界でもたまに奇跡的に不思議な形の茎の伸び方にであうことがある。まっすぐ伸びた優等生の茎ではなく、曲がりくねった独創的な茎を持つ花。私はそんな個性的な花が好きだ。その個性を生み出す特性をうまく使って、人為的に面白い茎の形を持つ花を作れたら面白いし、『まっすぐ上に伸びる』という当たり前のことにきちんと理由があることに気づいてもらいたい。

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魔法の炎

炎といえば、赤。またはガスコンロなどでは青色というのがよく思い浮かぶのではないだろうか。だけど、ハリーポッターなどファンタジー映画などで出てくるのは、ピンクだったり、グリーンだったり。。いろんな色の炎がでてくることで、その不思議な世界観を作り出しているのかなと思う。ただそんな不思議な色の炎を実際につくりだすことができる。それが炎色反応だ。カリウムを燃やせば赤紫、銅を燃やせば緑、ナトリウムを燃やせば黄色。
炎といえば、赤色というイメージが小さい頃あった。ピンク、グリーン、黄色。。。そんな炎は空想の魔法使いが使う色で現実にはないものだと思っていた。そんなとき、学校の授業で、炎にはいろいろな色があり、燃やすものによって色が変わることを知った時の衝撃たるや。その炎色反応を用いて、不思議な炎を作り出したい。炎が燃えているところに、いろいろな物質を加えていくことで、色が変化するまるで魔法のような炎をつくる。そしてそれによって科学の『美しさ』、『不思議』を知ってもらいたい。

魔法の炎2



科学というと『限られた理系の思考をもった人間がするもの』と思われ、科学の話をするとすぐに敬遠する人もいる。私の両親がそうだ。私が科学の話をすると、『なんだか難しそうな話ね』という顔をして、あまり乗り気にならない。ただ、科学というのは私たちの生活の基盤である。その科学に対して『なんだか難しそうだな』と遠巻きに見ているのではなく、誰にでも少しでも興味をもつきっかけがあればよいなと前から思っていた。だから、いつか自然が持つ科学の面白さ、そして自然の美しさがわかるような科学館ができたらなと思う。こんな科学館を実現するというのは夢のまた夢だと思うが、人の心を動かせる、そして科学者を目指したいという子供が出てくるきっかけとなり、将来への希望となる科学館。こんな科学館ができたらいいなと思ったりするのである。一般的な科学館はもう少し詳しく科学について触れているとは思うけれど、あまたある中で、あくまで『興味のきっかけ』のみとなるこんな科学館もあってもいいんじゃないかなんて妄想したりする。科学は楽しくて、美しい。そんなことが伝わればなと思う。

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