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262 フェーズフリー


はじめに

今週の教育コラムは、防災週間、ボランティア週間に因んだお話を少しずつしてきました。今日のお話も防災に関わるお話を少ししてみたいと思います。今日取り上げるのは「フェーズフリー」という言葉です。この考え方は新しい防災意識の持ち方として注目を集めているもので、普段から使っている物やサービスを災害のときにも役立つようにするという考え方です。
特別に何かを備えておくような考え方も防災意識の持ち方としては一つですが、普段使いの延長が防災につながるという考え方もよかったら知ってほしいと思います。

備えない防災

フェーズフリーという言葉からまず理解していきましょう。
フェーズを日本語に訳すと段階と言う意味になります。日常の段階と災害時の段階では、生活の段階が違ってきます。この段階の違いを取り除いてしまい、どちらでも使うことができる物や仕組みを考えることがフェーズフリーとなるわけです。
フェイズフリーは、東日本大震災からの復興の中で多くの分野で施行されてきたもので、例えば、普段から使うボールペンを濡れた紙でもにじまずに書けるものを使っていれば、災害時に屋外で用いることもできます。
また、コンテナ型のビジネスホテル兼災害時用の仮設受託なども普段から利用できながらもいざというときに使えるものとなります。
こうした発想は、各地の道の駅などの公共施設にも取り入られています。普段から使えて、いざというときに災害復興の拠点や避難施設として使えるそうした考え方が全国に広まっています。

教育にもフェイズフリー

教育のフェーズフリーに力を入れている自治体も多く見られます。教育員会などを中心に教育にフェーズフリーを取り入れる手引書を作成している地域もあります。
例えば、数学で津波が進む速さと動物や人間が走る速さを比較する学習活動を通して、津波からの避難の仕方を日頃から考えるといった、学習内容を習得しつつその内容を生活に反映できるものにしている例もあります。
また、保健や体育の授業において倒壊した建物や危険な状況での安全な行動のとり方を学習指導要領の内容と合わせて日頃から学ぶようにするなど教育にもフェイズフリーが浸透してきている様子がうかがえます。

これからのこと

備蓄する食糧の運用の仕方についても、ローリングストックという考え方があります。日頃からフェイズフリーを取り入れ、保存できる食材や飲料水などを多めに備蓄し、期限を把握しながら古い順に食べ、消費した分をまた備蓄していくと言う考え方です。キャンプが好きな方は、備蓄している食材や飲料水をそうした際に使用してもいいと思います。また、普段からそうした保存食品や飲料水を使い慣れているという経験もいざというときに役立つものとなります。
フェーズフリーと言う考え方は普段使う物や仕組みを災害時に役立てるという思考なわけですが、結果として普段からいざというときに取るべき行動を考えたり、そうしたときに用いる道具に親しんだりしておくことが、災害に対して臨機応変に対応する、適切に行動をとる力を高めるのだと言えます。

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