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121 ハムエッグ


はじめに

今日の教育コラムはとある食堂のハムエッグ定食についてお話ししたいと思います。この食堂は、ある卸売市場の近くにありました。
20年以上も前の話になりますが、学校もバイトも休みの日に少しぶらぶらと街を散策していると卸売市場の中にある食堂の入口にのれんがかかっていたのを見つけたところから話が始まります。

ふと立ち寄った店内で

時刻は、朝の5時半ごろでした。早朝の町はいつもと違う街の表情を見せていました。食堂の前を通り過ぎようとしたとき、道の前までいい香りがただよっていました。
香りに誘われ店内に入ると、市場で働く人たちの活気ある食事の光景が広がっていました。肉うどん、ラーメン、野菜炒め定食などなど朝からボリュームのあるメニューをだれもかれも食べていました。
壁にびっしり貼られたメニューの中から私が選択したのは、ハムエッグ定食でした。トッピングで納豆を注文し、席で待っていると大盛のご飯に豆腐とわかめの味噌汁、ハムエッグに千切りキャベツとポテトサラダが添えられた立派な定食が運ばれてきました。

大盛ご飯から味噌汁へ

目玉焼きの黄身をおはしの先でそっと割るとキャベツにも黄身が広がります。そうして、醤油をさっと全体にかけます。特にドレッシングをかけなくとも、千切りキャベツも立派なおかずになります。
ご飯にハムエッグを半分乗せて、熱々の白飯と一緒に食べればそれこそもう最高の朝食の始まりです。ハムエッグが姿を消しても、ご飯に付いた卵と醤油のソースがおかずになってご飯がさらに進みます。
残りのハムエッグをもう一度、ご飯にのせて一口食べ、味噌汁を口にすれば朝食の締めくくりが見えてきます。最後に残った二口分のご飯に納豆をたっぷりかけて贅沢に食べ、ポテトサラダを食べ終わり店を出るころには、すっかり満足感で満たされていました。活気ある朝の市場で働く多くの人々のおなかを満たす食事とは、かくもうまいものかと感心しました。

支えられているものに気づく

帰り道、人を支える仕事が教育であるとすれば、この活気ある市場を支えるこの食堂のような存在になりたいと思ったことをよく覚えています。
夏休みが明けて、少し弱気になっている友だちに活気が戻るような声がけや関りを子どもたちが考え、実践していくこともあるかと思います。そんな時何をしたら相手が元気になるのか、少し楽になれるのかを考えることは社会性やコミュニケーションスキルを学ぶ重要な機会になります。
もしかすると「おいしい物」を食べた時に少し心がわくような体験がよいヒントになるのかもしれません。

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