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331 原因不明が一番怖い


はじめに

今日の教育コラムでは、小林製薬が自主回収を進めている「紅麹」の健康被害についてお話してみたいと思います。
このサプリメントを摂取した人が腎疾患で死亡していたことが明らかになりました。しかし、何が原因でこのような健康被害が出ているかは現在調査中で不明です。
小林製薬は、腎疾患で亡くなった人が2021年4月から「紅麹コレステヘルプ」を購入していたことが明らかになっていますが、商品の摂取と死亡との関係性は分かっていません。

危機対応能力

問題が発生していると認識して2か月後に自主回収している小林製薬の対応に多くの人が疑問を持っています。問題が発生していることの公表と対応が早ければいくつもの健康被害が防げた可能性があるのです。
そして、ついに厚生労働省や消費者庁も調査を開始する動きになっていますので、次第にその原因物質や被害状況の全容が明らかになることと思います。特に食品や医薬品などの健康被害については、直接命の危機につながる問題に発展しがちです。
世界的な薬害問題と言えば、サリドマイド事件が有名です。社会の資料集などにも時折出てきますが、催眠・鎮静剤の一つであったサリドマイドを妊娠初期の女性が服用することによって生じる健康被害があります。胎児の四肢短縮などの障害を生じさせました。1960年の前後に発生したこの薬害事件は多くの人の人生を左右する出来事でした。この時も問題の発生初期の対応に遅れがあり、その被害は拡大してしまいました。薬害エイズ問題についてもその問題の発生自体を認めるのに時間がかかり、被害の賠償についても多くの課題が残りました。

拡大する影響

紅麹は、着色料としても麹菌としても多くの食品に使われています。基本的には、今回問題になっているサプリメントもある特定のロットの中の製品に何らかの問題があったわけです。
ですから長い期間服用していても、その時には発生せずその該当の時期につくられた限定的な製品を口にしたために健康被害が出ています。これは、何もかもが危険で健康被害が出るということではありません。基本的には口にして大丈夫なものがある中に毒があるという状況なのです。
これがとても恐ろしく、紅麹が毒化する状況があるのか、それとも別の物質が混じっているのかなど原因がわからないので怖くなるのです。
そのため、関連製品や類似商品などが次々に自主回収、廃棄処分などになっています。その被害の広がりは大変大きく国内にとどまらず海外の企業にも影響を及ぼしています。
この被害の拡大を食い止めるためには、やはり原因を解明することが重要なのでしょう。何がどのように含まれていてそれがどのように害を発生させ命を奪うまでの結果に至ったのかがわからなければ紅麹を用いた商品やこの問題を発生させた製薬会社に対して安心感は戻らないのではないでしょうか。

政治家は、記憶を飛ばして問題から逃げ、原因究明から逃げることができても社会の多くの企業は、重大な問題を生じさせた時にその原因を徹底的に明らかにして究明することが必要となります。
それは、問題の本質、原因がわからなければ対策は講じられないことを十分に理解しているからです。このことは、学習においても同様です。何ができないのか、どうしてできないのかという根本が究明できていなければ、必ず受験は失敗し、課題は克服できません。

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