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188 公式の意味


はじめに

受験勉強も佳境に差しかかっている今日この頃ですが、算数、数学の問題に苦労している子どもたちから公式が覚えられないという声を聞くことがあります。
今日の教育コラムでは、公式の意味を考えることで、公式を忘れないようにすることや覚えなくとも自分で確認できるようになることの大切さを少しお話してみたいと思います。

公式は考え、思い出すものである

算数や数学にはたくさんの公式があります。この公式はこれまでに数学者たちにより生み出されてきた研究の成果だと言えます。私たちはこの研究の成果の結晶である公式を用いて問題をいくつも解くことができます。
では、すべての公式を覚えることはできるのでしょうか。それは、特別な人間を除いては限界があります。ではどのようにしていくつもの公式を使い分けているのでしょうか。その答えは、解き方や公式が成り立つ原理を理解してきた経験をもとに、その都度、簡単に証明をしながら公式を思い出しながら、問題ごとに簡単に解決するために公式を用いているのです。
例えば、三角形の面積も「底辺×高さ÷2」を暗記している人は多いでしょうが、四角形として考えてその半分の三角形にして考えることさえ分かっていれば、言葉を覚えていなくとも、どことどこを掛けるかは理解できます、結果的にそれが、底辺と高さを掛け算して面積を出しておいて、半分にして三角形の面積にしているということになるわけです。

多角形の対角線の数の公式

まず、対角線とは何かというと「多角形で、隣り合わない2つの頂点を結ぶ線分」を意味します。また、多面体で同一の平面上にない2つの頂点を結ぶ線分を意味します。
では、平面の多角形の場合において、対角線と頂点の数にはどのような関係があるのでしょうか。多角形の場合、頂点の数は、そのまま【?】角形の?の数と同様になります。例えば、頂点が3つあれば三角形ですし、4つあれば四角形です。
このことをふまえて、四角形の場合は頂点と頂点を結ぶ対角線は2本になります。8角形の場合は、20本になります。18角形の場合は、135本になります。このように、8角形を超えると急にその数が増えていきますのでもしも問題に頂点の数が10を超える多角形の対角線の本数を聞かれるような場合には膨大な時間を費やすことになります。
そこで、我々は多角形の対角線の数を「頂点の数×(頂点の数ー3)÷2」という公式で求める手段をとります。これはとても便利な公式で、例に挙げた18角形の場合でも「18×(18-3)÷2」で計算すると135となります。
この公式の場合、(18-3)が自分とその両隣の頂点に対角線が引けないことを表していることを認識しなければいけません。だから三角形の対角線は0本です。公式で求めた場合も三角形の場合は「3×(3-3)÷2=0」となります。次になぜ÷2なのかというと頂点と頂点を結んだ場合、線を引き始めた頂点と線の終点の頂点は互いに行って帰ってこいの関係になるため、すべての頂点と頂点を結んだ場合、重複するので半分になるため2で割るわけです。
このように公式には意味があるのです。この意味があることが覚えやすさにつながるわけです。

マジカルナンバー

マジカルナンバーという心理学の言葉があります。人間が瞬間的に覚えることのできる限界数のことを意味します。その数は、およそ4つ程度ということです。つまり、算数や数学の学習でも勉強中で一度に覚えられる公式はさほど多くはないということです。むしろ一気にすべてを覚えるようなことでは対応できないということを意味します。
だからこそ、規則性や法則などをヒントに公式を思い出したり、その場で簡単に作って問題に適応させて解決していくわけです。
例えば、「545454545454」や「987654321」などといった数字の並びは覚えやすいはずです。しかし、「99875279」といった並びはどうでしょうか。きっと覚えにくいはずです。
このように、規則性がないものについてはよほど特別な能力がない限り暗記できないし、再現が難しいのです。
意味を理解するとは、規則性や法則性を手掛かりに、覚えやすいように解決しやすいように工夫する行為でもあるのです。学習とは、習得するためにこうした工夫を重ねたり、より簡単にしたりして進めていくとうまくいくことが多いということを理解しておくと、覚えるよりずっと楽ができるかもしれません。

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