透明水彩

若き日の兄は
印象派を解体するんだと
台所に駆け込んでいった

かれのみずいろの睡蓮は

(透明水彩の滲む様は

その眼差しにおいて
抽象的だ

あの日
詩を書いていくんだと
砂丘に誓った

(そこでは

水彩画が雨に濡れることがなく
兄は絵筆を折ってしまったが

これからは、
詩を書いていくんだ

祈るような
灯火が雨に濡れることがない



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