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筋膜(からFasciaに変えていこう)の歴史2

コチラの続きを書いていきましょう。

前回のStecco博士の声明は、

「Fasciaは、筋肉とその他の臓器をつなぎ、囲み、分けるために皮下で形成された鞘やシート、あるいは剖出可能な結合組織の集合体である」
Stecco C (2015)Anatomy consensus in nomenclature. 2015 Fascia Research Congress Video Content.[Online]

でした。ここに対する異論が噴出した理由。気になりますよね?

ということで書いていきます。

20世紀後半から盛んになり、先日挙げたレビュー論文でも「更に検討すべき」と言われていました

それは組織としての特徴だけでなく、機能的な面から見ても非常に興味深いものであったから。
・機能(78%)
・筋膜の特徴(44%)

これが証明でしょう。

ところがStecco博士の定義では、Fasciaの「組織的側面」しか入っていないかのような内容だったからです。

Fasciaは組織でありながら機能も有しているはずなのに、なぜ!?という不満、と言ったほうがいいでしょうか。そういう意見が出たのです。

徒手療法家にとっても同様に不満な人もいたのではないでしょうか(いや、未だに組織の変化に拘っている人もたくさんいるけどそれはまたの機会に、、)。

そして2016年、これらの課題を解決すべく新たな発表がありました。なんと、解剖学的なFasciaと機能的なFasciaを分けたのです!
それをStecco博士と、これまた有名なSchleip先生は「Fascial System」と表現しました(なんでもFasciaつけるんだな、、)。

そしてさらに2018年にはその定義のアップデートも行われました。それがコチラ。

“The fascial system consists of the three-dimensional continuum of soft, collagen containing, loose and dense fibrous connective tissues that permeate the body. It incorporates elements such as adipose tissue, adventitiae and neurovascular sheaths, aponeuroses, deep and superficial fasciae, epineurium, joint capsules, ligaments, membranes, meninges, myofascial expansions, periostea, retinacula, septa, tendons, visceral fasciae, and all the intramuscular and intermuscular connective tissues including endo-/peri-/epimysium. The fascial system surrounds, interweaves between, and interpenetrates all organs, muscles, bones and nerve fibers, endowing the body with a functional structure, and providing an environment that enables all body systems to operate in an integrated manner.”
Stecco, C., & Schleip, R. (2016). A fascia and the fascial system. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 20(1), 139–140.
Stecco, Carla et al. (2018). Update on fascial nomenclature. Journal of Bodywork and Movement Therapies, Volume 22, Issue 2, 354

超直訳すると

「筋膜システムは、体に浸透する柔らかく、コラーゲンを含む、緩く、密な線維状の結合組織の3次元連続体で構成されている。それは、脂肪組織、外膜、神経血管鞘、腱膜、深部および表在性筋膜、棘突起、関節包、靭帯、膜、髄膜、筋膜拡張部、骨膜、網膜、隔膜、腱、内臓筋膜、そして筋肉内および筋肉間のすべての結合組織などの要素を組み込んでいる。筋膜システムは、すべての臓器、筋肉、骨、神経線維を取り囲み、その間を織り交ぜ、貫通しており、機能的な構造で身体を構成し、すべての身体システムが統合された方法で動作することができる環境を提供している。」

となります。

もはや皆様のイメージされていた「筋膜」からは遠くかけ離れた概念になってきたな、、という印象ですが、「解剖学的なFascia」と「機能的なFascia」に分かれてきたんだなぁ、と理解いただければと思います。

そしてこの「機能的なFascia」こそがECMと超密接な関係があるんです。

解剖学的Fasciaは、機能的Fascia、つまりFascial system(この表現どうなんだろうというのは超個人的意見)が機能していなければ全くヒトとして成り立ちません。そういう意味で徒手療法にECMの視点が絶対に必要、というのが自分の言いたいところです。この部分は少し難しい表現になりがちですが、TGAはそのあたりを完全に踏まえているというのがポイントです。

なので、組織の癒着を剥がしたりしません。癒着については

これでしたけど、adhesionを徒手で剥がすことは基本的にできません。急性期から脱して来た頃合いにもしかしたら??ですが、超痛いですし、その痛みもまた危険な反応です。それだったら別の手段のほうがいいと思います。

このあたりの説明、またするの忘れていますね、、また次回以降に。

そして、自分がこういう考え方をするようになった背景にはある方との出会いがあったのです、、またその方との話もご紹介したいと思っています。

また、筋膜やFasciaの歴史シリーズ、過去にさかのぼっても結構面白いので、20世紀のあたりも紹介できればと思います!



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