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そらの作品集

このnoteには、俺が…時には血肉から取り出し…時には脳みそで生み出し…時には綿密に…時には適当に…綴ってきた作品、その(ほとんど)全てを…改めて書くッ!!

といっても本格的に創作始めたのはつい最近なので、このnote、あまりボリュームないです。すぐ読めちゃうと思います。

筆者:そら(X:@dmaikerujakuson)
絵:まるぱも⚡🐾(X:@marupamo)

執筆日:2024年3月2日(土)

※ちなみにまるぱもの本業は絵師ではなく、ミュージシャン。
JOYSOUND LIVER PROMOTIONのホープかつColorSingのトップライバー。だからめっちゃ歌が上手いのに、ご覧の通り絵心も1級品。配色、バランス、ポーズ、表情、全て完璧に俺の希望通りのルカリオを描いてくれました。食欲の神の化身に取り憑かれていること以外に欠点無いんですよあいつ。
まあ、類は友を呼ぶですね。
俺も神童と呼ばれて育った身ですから。


「お散歩日和」

私の馬鹿。
全身の筋肉が馬鹿な私なのに、
外に出た。車椅子なしで。
ふにゃふにゃの脚で、一歩一歩慎重に。
横断歩道でクラクション鳴らされた。
避けられず肩がぶつかって怒鳴られた。
発声の筋肉ももちろん馬鹿、
悔し泣きはお馴染みの大音量奇声となり
笑われた。
それでも空は、呑気に青い。
ムカつく。空も泣け。
思って即、大雨開始。
一気に増水した川の水が街を包んだ。
私の怒りが水に溶け、私は水と一体化、
藻掻く人間たちの生殺与奪を完全掌握。
ここは私の国、私が女王。
外に出て、大正解だった。
この私の、どこが馬鹿だ。


「雨音の子守唄」
逃げてきた、10歳の少年
暴力が支配する家庭から
悪意一色の学校から
大好きなおばあちゃんとの死別から
逃げてきた
逃げることから逃げられず、
知らない土地、氷点下を彷徨い、
雨宿りができそうな大樹を見つけた
冷たい木にもたれかかって数時間
すると何故だろう、
雨音が優しい
そこに懐かしさすら覚える不思議

おばあちゃん...?

その刹那、少年は何も見ていない
木の冷たさも感じていない

僕はとうとう、逃げ切ったんだ。

彼の最期は雨音と共に

※⬆補足
・少年の記憶には無いが、赤ん坊の頃、おばあちゃんに子守唄を聴かされていた
・少年の結末は凍死
・最後に失うのが聴覚らしい
つまり死に際、人体は聴覚だけになる


「絶望の先で」
名は翼、17歳、精神疾患あり
彼女は生まれつき精神構造が異常だった
小学5年の頃には既に、自己を2つにしていた そうでもしなければ気が狂う程、辛かった
正気を保つには、2倍の自己が必要だった
いや、正気なんて、さっさと捨てたかった。
気が狂えばどれだけ楽かと、思っていた。

死後の魂の行く先として最悪なケースを
考えては恐ろしくなり、死ねずにいたが、
ついに自殺を決意した。もう限界だった。
そこで、自らの辛い状況を親に打ち明けたが
「翼より不幸な境遇で生きてる人もいるのに」
一蹴された。
私から見た世界が10色なら、3色程度しか
認識できてない親。何が血縁だ。

悲しみ怒りの声が腹の底から勝手に。
叫び続け喉が潰れ声が消えたとき
片方の自己が死んでることに気がついた。
唯一の理解者たる私の義務は報復。だが突然
意識が切れ、死んだ自己と再会した。
「今からあんたの仇を、」
「私達ずっと一緒だよね!」
片翼では飛べなかった。

謎の死として報道された

※⬆補足
翼の失敗は血縁への幻想。親といえど並大抵の人間であり彼女の悲惨な精神構造を理解できる器ではなかった。翼と翼(既死)は同時に喋り出したが(「今から」「私達」)、翼(既死)の方が声が大きかった。目の前で不可解な死を遂げた娘に両親は困惑したが、何らかの後悔を抱くようなことは特になかった。


「怨み」
傷ついた分だけ強くなれると信じていた
信じなきゃ、恐くて痛くて人生無理だった
なのに
「過酷にずっと居れば痛覚は麻痺する」が
フィクションの話だと、分かってしまった
無痛の超人を目指した、演じた、全ては
苦痛を少しでも緩和するため
気休め?いや唯一の希望、精神的支柱だった

思い返せば、私は常に質問していた
青ざめ血涙にまみれガタガタ震えながら
あとどれだけ地雷の上を歩けば
あと何人私を殺せば
あと何度裏切られれば、いくつ奪われれば
慣れますか?
この震えが止まりますか?
返答、一切なし
災害級の恐悲憎痛の中で長く生きたが結局、 鈍感力を手に入れたどころか、

むしろ大切な殻が剥がれ落ちて
敏感さが増したように感じる
常識を超越した過酷の先に
無痛の超人などいなかった
刃物のように凶悪に尖った空気に
泣きじゃくる、丸裸の私がいるだけ
死ね この世の全て 絶対許さない

転落死した女性のズボンのポケットの中の、
メモ帳に書かれていたのはここまで。

※⬆補足
恐悲憎痛は四字熟語ではありません。


「宿命」
私は虫を潰す
人間という名の虫を、毎日たくさん潰す
太い毒針で私を刺しに来るから
やるしかない
勇者の面構えで飛んできて、
化け物を見る目で私を見て、
それから...

「楽しくてたまらない。」

何度もそう言い聞かせてきたおかげで、
自己暗示が上手くなった

しかし今でも私には私の声が届く
人を虫だと思いたくない。
対等な存在として愛したい。
戦いたくない。

そんなこと言われてもどうしようもない
私は配られた手札で精一杯やっているんだ
「魔王はここにいる。皆で殺しに来い。」
少し震えの入った声で言って、
全てを睨んだ


「源泉」
あなたの昔のアルバムを開くと
少女時代のあなたに睨まれる
この世の全てを憎んでいるかのような目で

僕はあの少女をよく知っている
あなたの、誰よりも愛情に満ちた笑顔の奥で
よく会うから

「君がいるから、きっと彼女は素晴らしい。」

いつもそう伝えている


「無慈悲なる9割」
もしも今日
君と会える最期なら
私は何を望むだろう

決まっている
10%の期待にかけて
私の全てを君に曝け出すんだ
言葉を尽くして
理解してもらえなかったら
胸を裂いて心の臓を取り出して絶命
君に拾ってもらおう
私の全てを

まさしく手に取るように
わかってほしい。

※⬆補足
コラボ作品です。最初の3行は水乃しずくさん(X:@ainoshizuku429)が創りました。
たぶん心臓を手に取ったとて「君」は「私」を「手に取るように」どころか微塵も分からないだろうし、そもそも「君」が「私」の心臓を拾ってくれるような人間なら、「私」が言葉を尽くした時点で「私」を理解してくれると思う。だから結局、「私」は理解されない。90%の確率で。悲しいことですね。


「君が愛した花を」
君は闘っていたんだな。
いつも周りに関心を示さず歩く君だけど、視界にあの花を捉えた時は、白い息をたくさん吐いて、異様に興奮した様子を見せていた。僕は気になって、あの花の持つ意味を調べたんだ。
今、とうとう永遠の眠りについた君へ。
手向けの品は、決まっている。

※⬆補足
シドさん(X:@shidpoem_825)が用意してくれた山茶花(さざんか)の写真を元に創りました。
難病に侵され、最善の治療と精神力で生き延ばしてきたが生命力あるいは精神力が限界を迎えて死亡、努めて光を見て生きてきたが悪化する精神疾患に体力が尽きて自殺、何でもいい。そこは読み手に託す。死の季節に咲き、「困難に打ち勝つ」花言葉を持つ山茶花に、「君」は生の核心を見ようとしていた。


「三越伊勢丹 花々祭 短歌コンテスト 応募作」
※残念ながら入選しませんでした

特別な
春の記憶に
咲く花は
己が血育ち
鉄香る紅 

※⬆補足
「己」は「おの」と読んでね。安心してください、読み方としてちゃんと正規ですから!
「紅」は「べに」と読んでね。
鈴掛真さん(X:@suzukakeshin)が詠んだ上の句「特別な 春の記憶に 咲く花は」に自作の下の句(七・七)を付けて応募するルール。
このうえなく残忍な痛めつけられ方をした春の記憶。傷口から流れ出る血液を吸って育った花は、きっと毒々しいまでに赤く、血液特有の鉄分の匂いをプンプンさせているだろう。俺の話じゃないけど。3~5月って自殺者多いらしいですよ。


「進化」
クソザコナメクジはクソザコカタツムリへと進化し、調理されてクソザコエスカルゴとなり、その後はクソザコゴキブリ、クソザココオロギ、クソザコカマキリ、勇敢なる気高き獅子、などの段階を経て最終的には普通のナメクジになるのであった。


「たしかなこと」
人生に平等なことなんて無い。
皆等しく不平等の下に生きていることを除けば。


「愛殺」
君を愛していた
だから終わらせてやった
恐悲憎痛で塗り潰された、君の世界を

辛かったね。長かったね。お疲れ様だ。
棺には必ず、君の宝物のぬいぐるみを。
墓前には必ず、君が好きだったお菓子、
アイス、ジュース、何もかも全てを。

物言わぬ冷たい亡骸が、涙で湿っていく

※⬆補足
・恐悲憎痛は四字熟語ではありません。
・息絶える寸前こそが、「君」の人生の終盤もしくは後半において最も穏やかな時間だったんじゃないかな、と俺は思ってます。
一分一秒、時には災害級の恐怖、時には災害級の悲しみ、時には災害級の怒り、時には災害級の絶望に見舞われていた「君」を想像しつつ。


「マシュマロ暴行事件」
あの日あの時あの場所にいなければ、お前がマシュマロをましまろと呼ぶことを俺が知ることはなかった。知らなければ、お前は今も五体満足でいられた。


「魔法の掃除機」
君の言葉は明るいけど、その奥に傷む君の姿をいつも感じてる。
そんなに震えて、何に怯えているんだい。
そんなに泣いて、何が悲しいんだい。
人が憎いかい。
君の苦しみを、この掃除機で全部吸い取ってあげる。
この掃除機に、容量という概念は無い。
吸い込んだものは、
僕の中に棲む怪物の栄養になるから。
怪物は火を吹く。僕の精神世界つまり人格を内側から焼き尽くそうとしているようだ。成長して火力が充分になる前に、僕は君のもとを去る。
君が大切だから。
それまでよろしくね。


「世界情勢」
愛とか正義とかは単なる記号にすぎないのに、それのためにシバき合っていいとみんなが思っている。世界はもはやロケンローである。


「あの丘の木に向かって」
両親殺した身で自転車を、こいで休んでこいで休んでこいで7日目、やっと見つけた、私が首を吊るに相応しい木。丘の上の、立派な木。その木のそばで、泣きそうな顔で私を見て強く優しく抱きしめてくれたあなたは今、とっくに、土の中の骨。あの体温をまた感じたくて、心配させたくて、何度リスカしても、当たり前に、あなたは来ない。あの時より数センチ背が高い、切り傷だらけの手首の私が現れたら、おもいきり悲しんでくれるはず。自転車のペダルを強く踏む。

※⬆補足
「あの丘の木に向かって」は進撃の巨人139話のサブタイトルです。あまりにピッタリなので使っちゃいました。これくらいは別に許されるっしょ。我が創作人生において唯一のパクリ!
勘が鈍い人のために書いておきますが、主人公の「私」は最後、過去に自殺未遂した木へと、自転車で向かっています。今回は絶対に未遂で終わらせずやり遂げる気でいます。つまり死にます。「私」を置いてこの世を去った「あなた」に、とうとう会いに行くんです。


「切実な祈り」
天に与えられ、無条件に約束されていたはずの「未来」を、惜しみながら手放して逝った、手放すしかなかった者たち。その無念の魂が、どうか最後に癒やされますように。


「こときれる場所を求めて」

男は歩いてきた。
携帯も金も持たず、身一つで。
何日目かの夜、石畳の上、満身創痍。
「あの暗闇の先へ」
それだけ思って、一歩一歩
強く前を見据える。
ところが何故だろう、
目の端の照明が異様に美しい。
良い気分だ。
翌朝、痩せた男の死骸が、石畳に寝転がって、涼しく笑っていた。

※⬆補足
シドさん(X:@shidpoem_825)が用意してくれた写真(夜、石畳の道、奥は暗闇、道の脇で何か光ってる)を元に創りました。


「ひとりじゃない」
身の回りの人すべてが嫌いでも、外に出て出会う人間がすべて敵に見えても、インターネットの中にさえ味方を見つけられなくても。それでもこの広い世界には必ず、あなたと全く同じ思考をして、あなたと全く同じ孤独に包まれてる「誰か」がいるはず。そんな人に、会いに行けたらいいのにね。


「すれ違い」
出会うはずだと信じていた
運命を信じていた
結局出会えなかった私達
どこですれ違った
何を間違えた
わかっているのはひとつ
私達は互いを信じていなかった


「憤怒」
非常にディフェンス能力の高い蚊が現れてうざい
「危機」
非常にオフェンス能力の高い熊と遭遇してやばい
「脱・イキり合いピリピリギスギス社会」
世界を救うのは嫌われる勇気ではなく舐められる勇気、そして覚悟。


「仮面舞踏会」
あなたの勇猛、豪胆、不敵
すべて偽物なんでしょう?
仮面の奥が見えてしまって 私、
興醒めしそう。
あなたに合わせて踊るから
もっと巧く騙してよ。

「仮面舞踏会b-side」
お前さんの繊細、弱虫、神経質
すべて偽物だろ?
お前さんの仮面は、
ギラギラ光る野心を隠しきれてねえんだ。
結構。嫌いじゃないぜ。
とことん付き合ってやるさ。


「土曜の夜の目」
※コラボ作品です。
⬇まずシドさん(X:@shidpoem_825)の作品⬇
空に
彼方に
土曜の夜(よ)

周りは煩くて(うるさくて)
たくさんの人がいる

人混みに流されつつ
私だけが
ポツンと立ち見する

遠くで

あなたと目が合った

私だけじゃないと
少し嬉しくて
少しだけ照れくさかった
⬆ここまでシドさんの作品⬆

※それを引用リポストして、⬇ここから自作

翌日本屋で偶然同じ本に同時に手をのばし、手が触れ合い、互いの目を見て 「あの時の...」。それ以降定期的に会う関係になり好意を寄せ合い結ばれて、ある土曜の夜、あの日と違って静かな場所で、あなたの目をくり抜いて食べてあなたは永遠に「私だけ」のもの、The End.

※⬆補足
「私だけじゃない」と嬉しがっていたのに、愛する人を「私だけ」のものにするために破壊して、とうとう本格的に「私だけ」になってしまったという…。


「パピプペポ川柳コンテスト関連作品」
※どこかにパピプペポを入れるのがルール。
※どれも入選しませんでした
「パピプペポ短歌」
パピプペポ
つぶやく僕を
鬼が喰う
腹の足しにも
ならんだろうに
「パピプペポ川柳」
パピプペポ 唱えてみても 仏なし
地下室に 響くパピプペポ 君の夢
人知れず 描くパピプペポ 彼の夢
綿密に 綴るパピプペポ 俺の夢
転がってる パピプペポたち 夢の跡

※⬆補足
パピプペポってなんだか空虚な感じがするから、それ唱えても仏は動かないだろうし、パピプペポという空虚しか残ってない空っぽな「僕」を食べても鬼の腹は膨れないだろうなぁってのが最初の2つ。続く3つはパピプペポに夢を込める人間たち。音楽で成功して地上波進出したいけど今は地下室で歌や楽器の練習するしかない「君」、生前評価されなかったゴッホのように人知れず絵を描き続ける「彼」、読んでくれる人が少なくても綿密に文を綴り続ける俺、みんな夢を見ている。最後の1つは、人類が滅亡した後、みんなが夢を込めたパピプペポたちだけが残ってるのをイメージして。


「亡者は浮かぶ」
誰かに呼ばれた気がして
夜空見上げたら
寒さに見合う、たくさんの星。
いずれ私もあの輝きの一部になるのか
あの巨大な黒に、優しく迎え入れられるのか 「悪くない。」
言って苦笑し、目を伏せた。

※⬆補足
qさん(X:@q00konkon)の作品に触発されて書きました。亡くなることを「星になる」と表現すること、多いですよね。


「すれ違い(時代劇 ver.)」
向こうから 武人がひとり
距離が縮まってきた
殺気!? 思わず武人の顔を見る
武人は私を見ていない
その目は何も見ていないかのよう
思い過ごしか...
すれ違う
寸刻後、腕に感じる生温かい液体
肩を斬られていた
振り返ると、武人はもういない
なんて速さだ!


「冷酷」
我々は切実に
「行かないでおくれ」と願うが、
あれは沈む。消える。
非情に、無責任に、冷酷をもたらす。
ある仲間は凍え死んだ。
ある仲間は耐えかねて自ら命を絶った。

あれが再び昇りあたためてくれるまで、
どう生き延ばす?いくつ死ぬ?

ああ、死の季節の...夜は長い。

※⬆補足
綿帽子さん(X:@poemu_man)が用意してくれた、今にも山に沈みそうな夕日夕焼けの写真を元に創りました。
「我々」がどんな存在なのかを読み手の想像に任せてます。文明を外れず育った人間なら「あれ」ではなく「太陽」と呼ぶし、「いくつ」ではなく「何人」と数えるでしょう。冬とはいえ日が沈んだだけで命の危険に晒されることからも、少なくとも現代の真っ当な文明人ではないことが分かります。


「知ったかぶり」
今日は29日、明日から3月
「うるうどしって、何であるんだろ?」
君の問いに、僕は困った
そこらへんについての知識無くて。
今年はうるうどしなのか?
4年に1回、どうたらこうたら
全然分からない。とりあえずこう答えた
「少ない日数の分だけ大切を愛すため」
我ながらナイス!

薄暗い教室で二人きりなのに
ただ黙々と、卒アルを仕上げるだけ
お前との距離を縮めたい
「うるうどしって、何であるんだろ?」
うるうどしが何かも知らないで
むりやり会話を仕掛けた俺。
「少ない日数の分だけ大切を愛すため」
即答したお前。いろんな意味ですげぇ。
その「大切」に、もちろん俺は。

※⬆補足
2月29日の深夜に思いついて急いで書きました。無事、3月になる前に投稿できました。でも23:59に投稿は流石にギリギリの奇跡すぎた。詩の神が憑依してたね完全に。


「かえる」
※コラボ作品です。
⬇まず水乃しずくさん(X:@ainoshizuku429)の作品⬇
君が疲れて帰る日には
大人のお子様ランチを作ろう

黄色い卵で巻いた
ケチャップライス
タルタルソースたっぷりの
エビフライ
デザートには
固めのプリンに
さくらんぼを添えて

本当は甘えたいのに
外でがむしゃらに頑張る君に
とびっきり甘いひとときを
私があげるの
⬆ここまで水乃しずくさんの作品⬆

※それを引用リポストして、⬇ここから自作

疲れ果て、今まさに還ろうとする君に
僕は何をしてあげられる?
還らないでと泣きつくのは易いが
今の君には酷だろう。堪えるさ。
手を握ろう。愛を歌おう。
それと...頭をよぎる、
あの時もらった、甘いひととき。
うん、おいしいご飯を作ろう。
再び君の所に帰る日を楽しみに、
僕は明日へ歩き出す。

※⬆補足
元々はご飯にありったけの睡眠薬を入れて送り出すつもりでしたが、水乃しずくさんの「君が疲れて帰る日には~」に繋げるために、「君の所に再び帰る{=僕もいつか必ず土に還る(死ぬ)}」を絶対に組み込む必要があって、Xの文字数制限的に、睡眠薬を入れる場面は惜しみながら省きました。なんで上限140文字なんだよ200文字にしとけよ。


「いきもの」
生命の本質は、ティラノサウルスとトリケラトプスがシバき合っていた時代から今現在に至るまで何も変わっていない。


「DEAD or ?」
保険証を破損したのが始まりだった
再発行に一週間かかるらしく、
診察予約を来週に延ばした
精神医療において突然薬を断つのは禁忌
毎日7種飲んでいた彼は初めて思い知った
強い空腹でかじった食パンがまるで毒物
眠らない頭、鼻血ドバドバ、震える手足
記憶が、点滅して消えていく

彼は死にたくない一心で病院へ向かった
何度も意識が飛び真っ直ぐ歩けなかった
だが、足下に絶望が潰れる感触
「これはゲームだ」
全ての絶望を踏み潰した先に、病院
そう信じ、一歩、一歩...

休診日だった。

後ろ振り向くと、潰してきた絶望たちと
目が合った。みんな残忍に笑っていた。 [GAME OVER]


「親」
55歳の誕生日おめでとう。
私を育てるのは大変だったでしょう。
全てに感謝してるわ。
世に産み落とされたこと以外の全てに。
あなたの55年分の苦痛
私は16で超えた
あなたが55年かけて学んだこと
私は20で網羅した
教わることは、とっくに無い
これ以上の親孝行があるかしら。


「いつかまた、どこかで」
突然死してしまった仲間が生前、僕にオススメしてくれた音楽がある。僕の心の奥底にある本音や家族にも話せない秘密を共有できる唯一の友達だった。まさに仲間だった。それを聴くとその人のことを思い出して苦しくなるのが分かっていたから遠ざけていたけど、聴いた。あまりにも苦しすぎる時間だった。
僕にとってあれほど美しくてあれほど恐ろしい旋律は他にない。その仲間が今も生きていたら、話したいことが山のようにあるというのに、永遠に口をきけない現実。もし僕のことをどこかで見ていてくれたら、幽霊でも妖怪でも何でもいいから、会いに来てほしい。


「物申す」
「弱っちい人を見るとムカつくのは、たぶん俺(私)が強い人間だから」なんて思ってる人達へ。お前ら別に強くないよ。ただ運が良いだけな。深い傷を負って倒れて、それでも自分を鼓舞して立ち上がる、それ繰り返してきた奴、すなわち自分の弱さとたっぷり向き合ってきた奴が本物の強者だよ。勝ち戦しか知らない分際で自分を強いと勘違いするな。


「脚本家」
君の自己憐憫を歓迎する。
え、悲劇のヒロインぶりたくない?いや、でもさ、実際に悲劇のど真ん中にいるんだから、君は気が済むまで、辛い感情吐き出していいんだよ。
その全て、私が聞こう。

彼女の悲劇を執筆した私に、
甘美な喜劇が実を結ぶ。

これだからやめられない。


以上、そらの作品集でした。ここまで読んでくださった方に心よりお礼申し上げます。時間は命。たとえ数分でも、あなたの命を俺に使ってくださってありがとうございました。

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