えんだーーーーーー

子どもの頃から、遊ぶときはずっとひとりだった。一人っ子だし、ひとりでいることに特に疑問もなく、実際にひとりで遊ぶのは楽しかった。

小学生の頃に好きだった遊びは、野球のボールとバットを持って、何年も放置され草が生い茂った畑に行き、ノックのようにボールをトスして思い切りバットで打ち、飛んでいったボールをダッシュで取りに行くというもの(犬かな?)。バットを持ったままとにかく走った。走るときには、ホイットニー・ヒューストンの「I will Always Love You」を歌うのがルールだった。当時はまだ声変わりをしていないので、原キーのままで歌えた。たぶんサビしか覚えてなかったはずなので、サビを延々と繰り返していたのだと思う。ボールをトスして、バットで打つ瞬間に「えんだーーーーーー」である。これが非常に楽しかった。テンションが上がってきたら転調して「えんだーーーーーー」。それをとにかくヘトヘトになるまで繰り返した。子どもの頃からビブラートは出来ていたので、中々上手く歌えていた自信がある。今でもI will Always Love Youを聴くと、草ぼうぼうで走りにくい畑と、ささくれてとげとげした木製バットの手触りを思い出す。

もう一つ覚えている遊びがある。学校で遊戯王カードが流行っていたとき、私は完全に波に乗り遅れていて、遊戯王のアニメ(アニメなのか漫画なのかも未だに知らない)も観ていなかったし、まわりに合わせて遊戯王を勉強しよう、という前向きな発想もなかった。ただ、カードをたくさん持っているのが羨ましいなぁ、と思っていた。だけど、ルールもキャラクターも知らずにカードを買うのは勿体ないので、私は家でオリジナルのカードゲームを作ることにした。画用紙をカードサイズに切って、キャラクターを描いて色鉛筆で色を塗り、対戦するためのルールを考えた(どんなルールかは忘れてしまった)。そして、デッキをふたつ並べて、ひとりで遊んだ。とても面白くて、自分が天才なんじゃないかと思った。でもすぐに飽きた。

中学生になって、携帯電話を持つようになってからも、基本的にひとりで遊んでいた。乃木坂の新内さんのANN0にたびたび登場する「前略プロフィール」を私も作ったが、誰にも教えなかった。ひたすら自分で眺めるだけだった。しょっちゅう編集を加えて、質問の回答でちょっとボケたりもした。誰も見ないのに。

「魔法のiらんど」でオリジナルのホームページを作ったこともあった。これも誰にも教えず、ひたすら自分で眺めていた。HTMLタグを使って、背景を濃いブルーにして、左から右へ「〇 • ⚪︎」などの文字を流して、雪のように見えるようにしていた。誰も来るはずがないのに、アクセスカウンターを設置したり、日記を書いたりした。すごく、すごく、楽しかった。「リンク集」というページを作ったものの、載せるリンクがなかったけれど、それでも楽しかった。

もしかしたら詩を書いて、足したり引いたりして推敲する作業は、ひとり遊びの感覚に近いのかもしれない。ルールを自分で決められるところが好きだ。もちろん、画用紙のカードや前略プロフィールと違って、詩は誰かに読んでもらいたいですけどね。


#日記 #エッセイ #はじめてのインターネット

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