見出し画像

【狂犬ブックセミナー第1弾】地域の「稼ぐチカラ」の見抜き方〜入門編〜

本日は、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんがまちづくりや地域事業、都市経営などに関連すると木下さんが独断と偏見で判断した書籍を毎回ピックアップし、著者の方などをお招きして学ぶオンラインセミナーにLDLアソシエイトとして参加いたしました。

第一弾は「自治体の財政診断入門」を書かれた鈴木文彦さんでした。昨年11月まで観光協会で勤めており、DMOの業務に携わらせていただいたにも関わらず、自治体の財政については見たこともありませんでした。そんなの知らなくてもDMOをはじめとした様々な取り組みを行っていれば良いと思っていたのです。

この本は、自治体の経営状況を民間企業と同じ目線で診断し、分析することができるようになることを込めて書かれたそうです。財政を知ることは、普段当たり前のように出しているゴミなどの公共サービス、民間企業よりも安く利用できる第三セクターの施設など、それが財政にどのような影響を与えているかを知ったり、考えるきっかけになるものだと思いました。数字だけをただ見るのではなく、下記のポイントを教えてもらいました。

・財政を利益と借入金で見る
・前年と比較して費用が増えたのはなぜか?補助金が増えたから?
・過去10〜30年と比べてどうなのか?
・損失が発生している原因は何か?プロジェクトなのか第三セクターの経営なのか?

■ 税金収入の構成比

そもそも決算カードというものが存在していることを初めて知りました。これは市町村税の状況を見ることができます。さらにさらに初めて知ったのは、税金収入の構成比が高いのは、所得税、それよりも多いのは固定資産税であることです。
まちづくりで良くある、都市計画マスタープランは投資をし、整備を行うことで新たな店舗や住宅が出来ることで長期に渡る固定資産税を見込むということなんだと考えさせられました。投資をする以上、どこをどんなエリアにするか?そこに入る店舗や、住む人がどれだけ存在するのかの中長期的な計画を立てる上でバックキャスト分析が必要であることがとても理解できました。そう言った意味では、大阪府の西成特区構想なんて、治安を良くすること以上にこういった固定資産税も目論んだ計画なんじゃないかと思わされました。
ただ、決算カードでは限界があるので、キャッシュフローが書かれた資料なども見ると原因が分かることもあるそうです。

■ 中長期計画の必要性があるのか見てみよう

従来の計画で立てる良くありがちなフォーキャスト、予測には無駄があることにも突っ込みがありました。中長期計画というと、各自治体で作成する総合計画が該当するのではないかと思います。自分も計画作成に携わった経験をさせていただきました。こうになったらいいよねという内容、またKPIを記すものですが、では具体的にどの課の誰が実行するのか?予算はどうするのか?というところまでは行きつかなった記憶があります。これは民間でいう、経営企画部が存在していないことが原因とも話がありました。
ここでは本来は理念、財政計画をバックキャスト方式で計画を出し、一般財源や交付金を投資する分、KPIもお金で示すべきであるという話をいただきました。
行政職員ではそこまで考えられないなど意見も出て、個人的には官民連携などであれば、方法はあるのではないかと思うのでした。そこには、バックキャスト方式による中長期計画を立てる必要がありますよね。なぜなら民間企業で銀行などで融資を受ける際には必要な話ですもんね。

■ 第三セクターの数字の中身を見るべき

経営状態が悪化して、銀行からの貸付が得られず、行政が支援をして、結果的に廃業せざるを得ない状況になりうるものが実はあるんじゃないかと考えさせられました。本来は補助金を得ずに自力で経営を行い、黒字経営を維持しているところも、中身を見ると補助金で補充されている、自治体の委託費なのかもしれない、減価償却費を自治体持ちだったりと表向きは黒字でも自力ではない経営状態なのかもしれないことも教えてもらいました。連結決済を出してもらうことの必要性。しかし、第三セクターは地域住民にとっては必要で世の中の役に立っているからシビアに出来ないという側面もあるそうです。とは言え、経営出来ない、赤字体質で税金を投入しなければならないとなるのは本末転倒な気もしました。道の駅、第三セクターのプロ野球球場は調べていたいと思いました。

■ 補助金のモニタリングが必要

本日一番、前のめりになった内容でした。外郭団体で働いていた経験を持つ自分とすると、この補助金のモニタリングは必要だと思います。補助金を投資にするという考え方は、ファンドであればリターンが必要になります。しかし、補助金の使われ方として「これだけ集客しました」「これだけPRしました」「これだけコンテンツを造成しました(作っただけ)」「自主事業をしたけど赤字」と実際のお金を稼ぐというところまで至らなければ、ファンドのモニタリングになれば、烙印を押されるレベルじゃないかと思うのでした。DMOの考え方の一つとしてエリアを稼がせるというのとは違う方法が必要なんじゃないかと思うのです。つらつらと書いたように中長期的な計画をバックキャスト方式で作る、それぞれにミクロの計画を立てて、民間では投資できないエリア計画など大きな枠組みの計画を立て、その場所に質の高い民間企業が入れるようにすることが必要なんだと思いました。

最後に著者の鈴木さんからガバナンスの重要性を何度も耳にしました。今日の学びに刻み込もうと思います。

まとめとして官民連携やまちづくり会社などに参加するきっかけがあれば、本日学んだことを意識できればと思っています。また、書籍に理解しきれていない部分があり読み込む必要があるので読み込み、学びを得たいと思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?