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視点の自由研究No.139「視点_初手は大切」

囲碁や将棋などで最初に打つ手を意味するこの言葉。映像を作っていく制作部という仕事で言えば、初手は企画を作ることにあたります。
制作進行という仕事において、この「初手」というのが実は大きなウェイトを占めているのを最近感じることが多くなりました。今回は映像制作から紐解き「初手の大切さ」を考えてみたいと思います。思いの外、様々なプロジェクトにも通じるかもとも思っている「初手」の考え方。

「企画」

映像制作において最初の企画作業は、全体の設計図を作ることを意味しています。作るべき映像の方向性、演出方法、今後作っていく映像のイメージをここで決めます。逆にここのイメージ共有をしっかりしておかないと最終的に大きな誤差を生むことにもなります。
東京で仕事をしている時には、様々な映像を集め、スタッフのイメージ共有に使っていました。今も企画作業時には、クライアントに参考となる映像を見せることを行っています。
この参考イメージとなる映像。メリットもデメリットも当然あります。まずメリットで言えば、クライアント、スタッフ共にイメージが共有されやすいこと。紙など映像化されていないアイデアですと、それを読み解ける人の数も少なくなる可能性が高くなります。そこを最初からイメージ映像が保管していくことができます。映像を作っていくのだから、最初に参考になるイメージ映像があると音楽やナレーションなど音声としてのイメージまで共有が可能です。
対してデメリットを上げると、その参考イメージ映像に全てが引っ張られてしまう点です。オリジナリティーや世に出ていない新商品など、新たなイメージを打ち出したい場合には、既存の映像はもはや踏襲すべき模範ではなく、やられてしまった先例でしかない。クライアント側に映像制作の経験値が必要なのがこの後述のオリジナリティーを求めるパターンだと思います。

「準備」

ローカルで仕事をしていると、映像制作を何度も行ったクライアントというのは、数が少なくなります。演出家の端くれとして考えれば、最初から参考イメージ動画を見せるのは悪手とも言えますが、制作側から見れば、クライアントとの意思疎通において、これ以上ないくらいの妙手とも言えなくない。

映像制作者にとって、ローカルにおける限れた予算を最大限活用したいと思っているのは間違いありません。企画の斬新さも重要ですが、それよりも実現可能かどうかは大きな意味を持ちます。

参考映像という羅針盤をうまく活用することが、その後のプロジェクトの進行を大きく左右するのは、経験上間違いありません。

「行き先の見極め」

宇宙船の軌道計算などで、よく出てくる最終地点へ向かう角度の話。最初の軌道への角度が1ミリでもずれれば遥か先ではとんでもない距離の誤差を生んでしまうというお話です。
プロジェクト進行において、終わった後にどこがターニングポイントかを見直すと実は初手の重要さがわかるかと思います。引き返せるタイミングでできる限りの検証をしておくこと。失敗すら想定の内に入れ込む気力が必要です。

正念場は一番最初にやってくる。そんな想いがよぎるのがプロジェクト進行の醍醐味なのかもしれません。




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