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社労士試験 予備校では教えないポイント解説 vol.057

労働安全衛生法(9)

作業環境測定、作業の管理等

今回の内容は当たり前のことばかりなので、正誤判断を誤ることはないかと思いますので、気楽にさらっと読んで下さい。作業環境測定の『記録の保存期間と測定頻度』だけ押さえておけば大丈夫と思います。特に。。。でしたら『石綿の記録保存期間40年間』と『放射性物質の測定頻度毎月』だけでもいいです。石綿被害は、かなり昔に石綿を取り扱う作業をした労働者も、後年になって発病するからです。放射性物質はいわずもがな特に危ないからです。

①作業環境測定

1)作業環境測定

『事業者は有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で政令で定めるものについて、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従って、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。』
『都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医(✕産業医。。。試験で引っ掛けがあるかもです。)の意見に基づき、事業者に対し、作業環境測定の実施、その他必要な事項を指示することができる。』
【政令で定める作業場】
・次の2)で作業環境測定の結果の評価を行わなくてはならない作業場
・酸素欠乏危険場所における作業場
・灼熱、寒冷又は多湿の屋内作業場
・坑内の作業場
・中央管理方式の空気調和設備を設けている事務室
・放射線業務を行う作業場
…等

2)結果の評価

『事業者は、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従って行う作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。事業者は、作業環境測定の結果の評価を行ったときは、その結果を記録しておかなければならない。』
【記録の保存期間と測定の頻度】(抜粋)
1.粉塵を著しく発散する屋内作業場…7年間(測定頻度:6月以内ごと)
2.特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場又は石綿等を取り扱い、若しくは(石綿を)試験研究のため製造する屋内作業場…3年間(ベリリウム等は30年間、石綿等は40年間)(測定頻度:6月以内ごと)
3.放射性物質を取り扱う作業場…5年間(測定頻度:1月以内ごと。一定の場合6月以内ごと)
4.有機溶剤を製造し、又は取り扱う屋内作業場…3年間(測定頻度:6月以内ごと)
5.鉛業務を行う屋内作業場…3年間(測定頻度:1年以内ごと)
6.(中央管理方式の空気調和整備の事務室)一酸化炭素、炭酸ガス、室温、外気温度、相対湿度…3年間(測定頻度:2月以内ごと(緩和措置あり))
…等
試験対策としては『少ない方を覚える』の原則で、記録の保存期間は原則3年間としてそれ以外、測定頻度は、原則6月以内としてそれ以外を覚えましょう。数字引っ掛けは、数字は無限にあるのでダミーを作りやすいので。
【評価の区分】
作業環境評価基準に基づく評価は、作業環境管理の状態を、
・第1管理区分(改善不要)
・第2管理区分(改善努力要)
・第3管理区分(改善要)
に区分することによって行われ、第3管理区分に該当したときは、直ちに、作業環境を改善擦るための必要な措置を講じなければなりません。
試験で、こんな意地悪な問題は出さないとは思いますが、第1区分が良好な状態で、第3区分が不良な状態であるという順番だけは押さえておきましょう。試験において逆に出されたら、引っ掛かるかもしれません。(いや、多分、引っ掛かかります。。。)

②作業の管理

事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければなりません。
改善には費用が掛かるので、『努力義務』です。

③その他健康の保持増進等のための措置

1)病者の就業禁止

事業者は、次のいずれかに該当する労働者については、あらかじめ、産業医(✕労働衛生指導医。。。試験勉強して知識が増えると引っ掛かるかもしれません。社労士試験あるあるです。。。)その他専門の医師の意見をきいて、その就業を禁止しなければなりません。
1.病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病にかかった者(伝染予防の措置をした場合を除く。)
2.心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく憎悪するおそれのあるものにかかった者

2)受動喫煙の防止

事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとされています。
こちらも、対応に費用が掛かるので、『努力義務』です。

3)健康管理手帳の交付

1.健康管理手帳の交付等

『都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、所定の要件に該当する者に対し、離職の際又は離職後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。政府は、健康管理手帳を所持している者に対する健康診断に関し、必要な措置を講ずる。』
がん等の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務に従事していた労働者については、他の業務に配置転換された後も事業者が特殊健康診断を行うことになっていますが、離職後は、事業者にその義務がなくなりますので、事業者に代わって政府が必要な措置をとることになっています。
健康管理手帳を交付された者は、当該健康管理手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはなりません。
【健康管理手帳交付の対象業務】
現在、全部で15業務挙げられています。今までの記事で登場したものだけ、ピックアップしておきます。(多分、試験には出ません。強いて言うなら、石綿等の『0.1%』という数字だけは覚えましょう。小数点以下から始まるので、選択式で出された場合、選びにくいです。)
・ベンジジン及びその塩(これらの物をその重量の1%を超えて含有する製剤そのを含む)を製造し、又は取り扱う業務
・粉塵作業(じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条第1項第3号に規定する粉塵作業をいう。)に係る作業
・ベリリウム及びその化合物(これらの物をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3%を超えて含有するものに限る。)を含む。)を製造し、又は取り扱う業務(これらの物のうち粉状の物以外の物を取り扱う業務を除く。)
・石綿等(これをその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物を含む。)の製造又は取り扱いの業務(直接業務)及びそれらに伴い石綿の粉塵の発散する場所における業務(周辺業務)

2.健康診断の受診の勧告

『都道府県労働局長は、健康管理手帳を交付するときは、当該健康管理手帳の交付を受ける者に対し、厚生労働大臣が定める健康診断を受けることを勧告するものとする。』
『健康管理手帳の交付を受けた者は、上記の勧告に係る健康診断を受けるときは、健康管理手帳を当該健康診断を行う医療機関に提出しなければならない。』
健康診断を行った医療機関は、その結果をその者の健康管理手帳に記載しなければならず、また、遅滞なく、報告書を当該医療機関の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければなりません。

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