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#映画ドラ2019感想 @doraemonChannel #のび太の月面探査記 は見応えのある映画だった

結論から述べよう。観に行って損はない。観て納得できる、しっかりと作り込まれている作品だ。

これは映画を長男と次男を連れて見に行ったぼくの率直で愚直なまでの感想。

ここ数年、映画ポスターとコピーが注目をされる映画ドラえもんだが、今回もグッとくるものばかりだ。

テキストにするにあたり、どうしても言いたいのは、アニメや特撮の映画だからといってバカにできないよ、ということ。

特撮ものである仮面ライダーの映画であっても、相当に質が高い。

特に仮面ライダービルド、という一つ前の仮面ライダーのTVシリーズは武藤将吾さんが脚本を書かれていたが、我が家の妻も納得のオモシロさだった。ちなみに武藤さんはクローズZEROや3年A組を手がけた脚本家だ。

ドラえもんは、子どもと一緒に見に行けるという点で我が家にとって明らかにポイントが高いのは言うまでもないわけだが、改めてもう一度いう。

この映画は観て損はない。

映画ドラえもんの「何が良かったのか」ということを書いてみようかと思うが、といっても、ネタバレになるようなことを書くつもりは一切ないので、ネタバレを期待する人は読み飛ばしてもらいたい。


今回、舞台が「月」であることは、タイトルが示しているが、なぜに月へ向かうのかという説明を、月に兎がいるのか?という"異説"を軸にすることでスムーズに誘導する。

異説、というのは通説の対義語となるが、それまで信じられていたこととはまったく異なる思考のもとに生み出された説を唱えること、これを想像力という言葉に絡めて回収する。

直木賞作家である辻村深月が脚本を担当しているからということもあるかもしれないが、今回の映画ドラえもんには、いくつもの伏線とその回収が繰り広げられている。

これが本当に見事だった、とぼくは思う。

物語中の伏線の張り方と回収がスゴくすんなり、なおかつしっかりと盛り込まれていたため、展開に違和感を生じさせることなく、満足の行くカタチで物語に抑揚をつけることに成功していた。

映画は上映時間内で物語を完結させなければならないという制約がある以上、あまり冗長になってはいけない。特にいわゆる「子ども向け」とされている映画ではその難易度はさらに高くなる。

いわゆる子ども向けの映画には、"わかりやすさ"を求められるからだ、というのが現時点でぼくは考える解だ。

いうなれば、水戸黄門のような結論ありきといえば聞こえは悪いが、ベタなストーリー展開とすることで視聴する側に安心感を与えることを求められるわけだが、子ども向け映画にはその趣が強くなるのではないか、と。

そう考えると、いくつもの伏線を張り巡らせる形での物語展開は、子どもに観せる大人の立場としては、望ましいものではないのかもしれない。

この点をどちらもクリアにするには質が必要で、物語を進めるうえで、キャラクターもそうだし、場面もそうだし、ドラえもんで言えば道具たちだってそう。

それらをすべて緻密に綿密に合わせる物語を描くことによって、子どもだけでなく、大人たちにも満足のいく時間を提供できる。

その点でみても、今回の映画ドラえもんは、ものすごく満足感の高いものだった上に鑑賞中の興奮度合いも高いものとすることに成功した、と納得がいっている。

繰り返しになるが、だからオススメする。観て損はない。

ここで冒頭のポスターの話になるが、今回の映画を観終わり、改めて思ったことを書いてみよう。

ぼくはスネ夫がスキだ。これまでは「憎めない」という程度のキャラクターだったが、この映画でスネ夫について考えさせられる場面がいくつもあった。

こ狡くて、卑怯で、嫌味しか言えない金持ちのボンボンであるスネ夫だが、今回のポスターでもあるように橋を渡るシーンと、その後のシーンでポロッと出す一言など、愛すべきキャラクターだと思わされた。

のび太には、おもいやりと勇気がある。

ジャイアンには、力強さと男気がある。

しずかちゃんには、やさしさと慈しみがある。

だが、スネ夫には、何があるのかを考えなければならない。

金がある、というのは彼の人格を表すものではないし、人格的なところを言えば、ジャイアンの腰巾着で、いつもそのジャイアンを利用してのび太をからかおうとする嫌なやつだ。どこにいいところがあるのだろう。

ポスターで描かれているスネ夫が橋を渡るシーンは、そんなスネ夫の人格を見て取れる唯一無二のシーンであり、ぼくは本映画のなかで、最もこのシーンに震えた。

そして、彼の魅力について触れることが出来たという満足感を味わうことにもつながった。

スネ夫には、機動戦士ガンダムにでてくる、カイ・シデンのような人間くさい、どこか汚らしい面を引き受けるだけの潔さがある。

それは物語上のどこにも反映をされないし、表出しないかもしれない。

視聴する側にしか見えない部分なのかもしれないけれど、たしかにドラえもんを見るとしたら、必要不可欠な部分である、とぼくは思っている。

彼のことを好きになれなかったのは、彼を見ることは自分を見るような気がしていたからだと思う。

甘ったれで、泣き虫で、臆病な主役にはなれない存在。

スネ夫の魅力に惹き込まれたい場合にもおすすめの映画だ。

ちなみに、冒頭で紹介しているポスターの内容は映画を見ることでさらに味わいが深くなるものだ。もし、ここまで意図してデザインされているのだとしたら、とんでもないぐらいにハイレベルな気がするが、果たして。

とりあえず、平井 大の主題歌は最高だ。

そして、小説版も発売されているが、脚本を書いた辻村深月さんのインタビュー記事と合わせて読むと、余計に映画に対する気持ちが高ぶる。

とにかく、オススメだから観て欲しい。ただ、それだけだ。

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