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新卒社員の早期離職は今に始まったことじゃない

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 そろそろ4月も終わりに近づいてきたからでしょうね。新卒で入社した方々の悲哀が報道されるようになってきました。

 こちらの報道ではSNSでの書き込みを紹介しつつ、早期離職をした、もしくは考えている人たちのコメントなどを紹介しています。

2024年の新入社員の入社初日に、SNSでは、「入社初日にもう辞めたい」「初日でやめたい。自分じゃない感がすごい」といった投稿がありました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bf644a6188a26e28c16a3ec62a7273cf5d7229d6

 ちょこちょこと紹介していますが、新卒入社した人材の離職率は30%を超えています。これは「最近の若者」だからではなく、30年以上、継続的に35%前後を維持しているため、いってしまえば「そういうもの」だってことになります。

 さらに、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」をみてみると、新卒入社とは中卒までを含みますので、それを踏まえた数字として捉える必要がありますから、平均値や中央値って数値の扱い方には注意が必要です。

【厚生労働省】新規学卒者の離職状況

 で。

 今回は、新卒というか期待を持って社会人になったのに「なんか違う感」を抱いてしまっている人たちがいる現状に向けて、偉そうに訓示を垂れる回にしようと思います。

「自分らしく働く」ことに期待しすぎない

 まず、「自分らしく働く」とか「やりたいことをして生きる」とかって言説が多くなり、そんな甘美な物言いに誘引されている人たちがいますが、そんなのは幻想です。

 丁寧にいうならば、引く手数多なスキルや能力を保有している人だから実現できる働き方や生き方であって、そこまで実力もなければ実績もない人たちが急にそんな生き方を実現しようとすることは、登山の経験がない人に向けて富士山に登れば人生観が好転するといった言説にまんまと乗せられてしまうようなものです。

 根本的にいえば、「自分らしく働く」の定義が定まっていないのに、冒頭で引用・紹介した「自分じゃない感がすごい」だなんて個人の感想は、会社からすれば当然の話です。

 会社組織からすれば、営利組織として売上や利益を確保しなければならない市場圧力の中で生き残るために、大して戦力になるかならないかわからない人たちを経費を使って採用・雇用しています。

 つまり、新卒で「仕事もままならない人たち」はいうならば人件費ってコストのみを支払い続けなければならない存在であって、コストに対するリターンが伴わない人たちのこととなります。で、複数年経過してコストを回収できるかなと思っていたら3割以上が辞めていくってことですからなくに泣けません。

 一人の労働者として自分の時間を提供することで「自分らしく働く」なんてことを期待しているのだとしたら、そういった感情を抱くにしても多くても3割程度に抑えておくべきでしょう。

 なぜなら、会社で求められる役割はあなたのパーソナリティを全面に押し出したものではなく、会社が売上や利益を確保し存続し続けるための役割だから。

仕事は誰のためにするのか

 そもそも、「仕事」とは誰のためにするものなのかを明確にした方がいいでしょう。無論、「自分のため」ではありません。個人事業主やフリーランスとして活動しているにしても、仕事とは顧客のためにするものであり、その先にいる顧客の顧客が満足するためにものでなければいけません。

 さらにいうならば、株式会社であれば株主のものであり、株主が満足するような経営状況を作り出すことが経営者のやることであることを踏まえると、労働者側がしなければいけないことは経営者が求めるタスクをこなし、会社が定める数値目標を達成するために行動する必要があります。

 そこで「自分のため」に仕事をするだなんてことは口が裂けても言えません。というか、じゃー自分で仕事をつくって働けよって話になりますから、誰かの立ち上げた会社組織に属さず、自分で組織を立ち上げるなり、独立闊歩していけばいいのです。

 仕事の進め方やこなしかたに個人特性が出てくることは理解しますし、多くの人が自分なりのやり方や会社としての進め方の狭間で工夫を凝らしながら与えられた役割をこなしています。それが仕事です。

 もし、仮に「自分独自の進め方」で仕事をしたいのであれば、それが「自分らしく働くこと」なのだとしたら、それは会社組織に属する身で取るべき姿勢や行動ではありません

 仕事は顧客のためにするものです。雇用主のためにすべきだ、とする経営者もいるでしょうが、会社組織は株主のためにありますし、株主は会社組織に何を求めているのかといえば、投資に対するリターンでしょう。

 どうやってリターンを得るのかといえば、市場から評価されること。市場から求められ続ける状況を生み出すことです。一従業員、一労働者として果たさなければいけないのは、市場で求められ評価される状況を生み出すための仕組みに組み込まれた歯車として適切に機能すること。これだけです。

「仕事」と「生活」の切り分けとは

 「仕事」と「生活」を切り分けた生活をしたい人は多いでしょう。

 いつまでも仕事の連絡が手元のスマートフォンに通知される状態は嫌ですし、休日は休日として懸命に自分を癒したり家族のために没頭したい。それがあるからこそ、仕事をがんばれるのである、と。

 でも、切り離せないことがわかっているんですよね。

 休日だから仕事のことを考えたくはないのだけど、ついつい思い浮かんでしまうし、それを薄ぼんやりと考えているところに仕事関係の通知が届いたりするものだから「自分らしく働きたい」と妄言を述べるのでしょう。

 ハッキリいえば、「仕事を楽しむ」だなんてことをできる人は稀です。

 自己実現ができる人もいるでしょう。
 自らの成長を実感できる人もいるでしょう。
 自分がやったことを誇りに思える人もいるでしょう。

 でも、そういった人が多数派なのかというと、そうだとは言い切れません。仮に、そういった統計数値が出たところで、あくまでもアンケートへの回答ですから盛って回答している可能性だってあります。つまり、嘘をついている可能性を否定できません。

 「そうでありたい」と強く願っているがあまり、そうでなければならないと自縄自縛に陥ってしまい、自分の認識すら本来的な姿と異なるものにしている人もいるでしょう。

 生活であろうが、仕事であろうが、自分に与えられる役割を見出し、演じる他にありません。本当の自分、なんてものを探しに行ったところで、どこにもないのです。

 つまり、「仕事と生活を切り分ける」ことなんてできるわけがなく、それぞれの場所や時間で与えられる役割を全うできているかどうか。全うできている実感がないからこそ、「自分らしく」といった妄言に囚われてしまっている可能性があります。

 無理に切り分けるものではないってこと。ただそれだけです。

おわりに

 なんだか、湿っぽい感じになってしまいましたが、悪気はありません。

 でも、自分らしく働くだなんてことを実現できる人は本当に恵まれている人だってことは強く言いたい。そもそも自分が立ち上げた会社でもないのに、自分の"らしさ"を存分に発揮できる人なんて稀有中の稀有でしょう。

 そんな稀有な存在を無理に目指すより、身の丈に合った働き方や仕事の仕方を覚え、実現できる場所を見つけることを優先した方が手っ取り早く満足できるんじゃないでしょうか。

 ではでは。

 ゑんどう(@ryosuke_endo)


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