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文学フリマ東京38出品物のご案内① 『筒井康隆論』

今年五月の文学フリマ東京38に出店いたします。四作品、全て文芸批評での出品となります。

📍ブース:H-08
🗓5/19(日) 12:00〜開催
🏢東京流通センター第一展示場

出品物の一つ『筒井康隆論』をご紹介します。

「全ての筒井康隆作品はスパイ小説である」と言うと怪訝な顔をされるでしょうが、本論考では、この命題を実証していきます。
まず、代表的なスパイは『家族八景』の七瀬でしょう。彼女は人の心に侵入して、その人を操ろうとするのですから。
また、身分を偽って過去に侵入した『時をかける少女』の深町一夫という人物もいました。
スパイ小説としての総決算は『俗物図鑑』だと言えます。特殊能力を持つ登場人物たちは全員がスパイの素質を持っています。
そして、筒井作品の特徴である、身体に対する刑罰や拷問、監禁などの残虐行為も、スパイなら覚悟すべきものです。それは自白を強要したり、人物の思想を矯正したりします。つまり、人を操ります。
筒井氏が、三島由紀夫を意識して、しばしばおちょくっていたのも肯けます。三島は、ある意味、自衛隊に対するスパイであったかのように見えるのですから。
本論考は『モナドの領域』に至るまでの筒井作品を貫く、スパイ小説としてのロジックを一つ一つ掘り起こしていきます。
おそらく、この視点で筒井作品が論じられたことはないと思います。(あったら、御免なさい。無知でした)
筒井ファンならはっとする点が少なくともいくつかはある筈です。

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