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清々しいくらいに、負けること。



仕事を前よりも少なくした私は、前よりも確実に休みがあるのだけど、
出不精なので、休みの日に滅多に家から出なかった。

そう、今日までは。

今日、いつもより早く起きた私は、
なぜかムクムクと外に出たい気持ちが湧いてきた。
そんなことは滅多にないので、その『外に出たい!』と思う私を
いい子いい子、とおだてながら、急いで出かける準備をした。
(そうしないとすぐに、外に出たいいい子な私は姿を消してしまうから)


約30分ほどで支度を終えた私は、前から行きたいと思っていた
吉祥寺にある、本屋に出かけることにした。

本屋、『百年』。そして姉妹店、『一日』。
どちらも吉祥寺の駅の近くにある。


結果的に、とても有意義な時間を過ごすことができた。
初めて知った作家さんで、
とても好みの作家さんを見つけることができたからだ。

私がやりたいな、と思ってることをやっている方で、
私より二つ年下の女性の方だった。
表紙のデザイン、紙の質感、冊子の形。
そして、彼女の文体、テーマ。
どこを取っても、私の好みだった。
私は、その冊子を手にとり、しばし悩んでしまった。
なぜなら、価格は私にとって、可愛いものではなかったからだ。
一旦、冊子を置いて、ウロウロと店内を回る。
もう一度、冊子を手にとり、そしてまた置く。
そんなことを何度か繰り返し、自分の中で
『あれと、あれを我慢する。そして、あれをこうしたら・・・』
と脳内で、一歩先の未来を過ごした後、
冊子を手にして、レジに向かった。


結果的に、清々しいくらいに『負けた』と思った。
何に負けたのだろう?
それはわからない。けれど、なぜか強く『負けた』と思った。
そして、負けたと思うと同時に、ムズムズとお腹の底から震えがきた。

ああ、ここに私がやりたいことがある。

そんな気がした。

コンセプト?デザイン?文体?
いやいや、そんなものではない。
彼女の生き方そのものだ。
私は、彼女になりたい?
いやいや、なろうと思ってなれるものではない。
私はただ、私になりたいのだ。
こうやって、彼女のように、自分を生きたいのだ。

私は今、
アクセサリー、文章、写真、冊子、
全てを自分でやろうとしている。
完璧なものなど、到底作れはしないだろう。
でも、やりたいのだ。
なぜか、そこからしか始まらないと思っている。
そこから何が始まるのか、それは自分でもわからない。
どこへ行きたいのか、それもわからない。
ただ分かっていることは、
今の私は、やりたいことがあり、
それを全力で自分で全て作ってみたい、ということだけだ。

でもそれで充分だ。
それがわかっているなら、地図は手に入れたようなものだ。

今日は清々しく負けた。
なんて気持ちの良い日だろう。


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