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この空かならず花さく

前回のつづきです。世界を事物の集合ではなく、事物の近傍の集合とみる。近傍系としての世界。そこでは事物間の関係、たとえば順序や因果が脱落する。近傍間の関係だけが残る。それは、離れるか重なるかだけ。ずいぶん奇妙な、不自然な世界観に見えますよね。でも、もしかするとわれわれが自然と感じているふつうの世界観だって、魚や鳥からみたら、相当に奇妙なものかもしれない。ただそれに人間が慣れているだけなのかもしれない。だったら、近傍系だって、慣れたら〝自然〟に思えるのではないか。

慣れるにはべつにすごく頑張らなくてもいいんです。なぜなら近傍系は、われわれの日常的な直観の一つを拡大しただけのものですから。その直観とは、自分と、自分の周囲とを、一体視することです。うれしい時って、周りの景色もうれしい感じに見えませんか?たとえ土砂降りの雨でも、自分がうれしすぎると雨音まで手拍子に聞こえたりすることありませんか?雷が鳴ってても、稲妻が光っても、祝福の嵐に思えませんか?

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